第6話 特性
「さてと、自己紹介が遅れたね、私は騎士団本部 第3階級 団長のルナーテスだ」
「今は天使が紛れてないか学園に調査をしに来たのさ」淡々と自己紹介を行い後にゲラゲラと笑いながら一方的に雑談を始める。正直この団長さんのテンションにはついてけないな。アグランは困惑したように、イエンは苦笑を浮かべながら話を聞いていると団長の後ろから一つの影が浮かび上がり背後へと手を振りあげる様子が伺える。
また今度は誰だ、とその様子を眺めていれば突然と何かを振り下ろしては団長の頭に激突し、地面に倒れ込む、気絶したようだ。
「いやまて、何が起きた」
「俺に聞くなイエン」2人は諦めたようにため息を落とせばその影は晴れる。そして影の正体は人だということがわかった
「団長、貴方って人は一体何をしてるんだ」地面にうつ伏せで倒れた女性と同じ服を着ている。この人も同じ騎士団の人なのだろうか?
「お二方、お初にお目にかかります。俺は天使狩り騎士団本部 第2階級、エール・ベルガリーと申します。」礼儀正しいその人は海のように青い髪をしていてとても綺麗だ。
「今回俺たちは天使が居ないかパトロールしに来たと同時に団長の我儘で教室を見て回っていたんですよ」睨むような目付きで視線を下ろす、ルナーテスと呼ばれた団長は腕と親指を上げてハンドポーズを送った
「でも何でわざわざ様子を見にここまで?」イエンは青髪の男性に質問を投げかけた、その人は此方に視線を向けて軽く口角を上げる。
「この間、この学園に悪魔が侵入したそうですね、そのこともあったのでもしかしたら天使も潜んでいるのではないかと考えましてね。」そう言うと地面で潰れてた団長と言われた彼女が立ち上がり大きく笑みを浮かべて
「まぁそういう訳だから私達はそろそろ行くぞ!エール」と言って堂々たる姿勢で教室の外まで向かう、その様子を見た青髪の男性は団長を追いかけながら「団長ダサい」と一言返す。そして彼らの姿は教室の外へと消えていった。
それと同時に学校のチャイムが鳴る
「あ、もう授業か」
「昼少ししか食えなかったな…」俺たちは自分たちの定位置に収まり教科書等を出す。次の授業は天使と悪魔についての授業だ。
「では授業を始めます」先生の号令と同時にクラスの皆で息を揃えてお願いしますと返す。そして先生は教卓の後ろにあった画面に触れて何やら呪文を唱えた、その途端画面からは映像が飛び出し、生徒たちの手元へと届く。
「これからは悪魔と天使の特徴について説明です」
…
悪魔や天使は古代から居る生物、彼らの特性は未だ不明の点が多い。
そして現在、下級悪魔、下級天使は人間の言語を理解出来ないこと、というのがこの生徒達の学ぶ「わかっていること」の一つだ。
ーーー
この星には悪魔や天使を研究する団体がいくつか存在する。もちろんそれは合法的にだ。悪魔や天使を張り付けにして羽を切り落としたりわざと興奮させて魔力の変化だったり、行動を調査したり、様々な実験を行っている。その中で1人の研究者が一体の悪魔に言語を教えてみたという、だがその悪魔は言葉を一向に理解することはなく、そのまま興奮して研究者を殺したそうな、それは天使も同様だ。
そして天使は悪魔とは違い、どれだけ宥めようとしても自分のやるべき事には忠実で人を殺めようとボロボロの身体で魔法を使ってくるとか。だがそれはあくまでも下級天使、下級悪魔の話であり、中級以上に関しては捕まえて保管しておくことすら難しいため、研究はほとんど進んでいなく、それこそ情報は少ない。そのため、騎士団員が戦闘を行う際は動きをよく見て瞬時に対応できるようにと特訓されるそうだ。
…
「…」アグランはノートに天使の落書きをしながらそんな授業を聞いている。正直この話は聞いている分には好きな方の授業、そして聞かなければいけない授業だ。この情報は騎士団に入る上で重要な話になってくるだろうからそしてこの悪魔や天使の特性が理解出来た時には既に学校の鐘がなっていた、もうこんな時間か、そう思うと体を起こし正面を見上げる。
ー放課後
アグランは暖かいお茶を買ってそれを口に含む、そのまま学園を後にしようと門まで足を進めては周りを見渡す、そこには放課後まで専用武器の練習する者、恋人の帰りを待ってる者、補習を受けるものがいて活気づいていた。
「とりあえず帰るか、イエンは他の奴と約束してたみたいだしな」と言って門の外を出る
ここの生徒たちは皆家に帰るのにフォレス(ポータル)というものを使う。そしてそれは建物で覆われていて生徒以外は侵入できない仕様だ、そしてそれはどういう原理かその人が立つと行きたい場所に飛んでくれる、ふしぎなものだよな。
アグランはフォレスの上に立つ、床は光を帯びては突然自分の体から意識が離れる感覚に陥る。そして別のフォレスに転移したかと思えば意識が体の中に入る。ゆっくりと開き段々と視界がはっきりとしてくる
フォレスから降りて大きな扉を開ける、そこには一つの大きな建物がいくつも建っていてその中からは同じ制服を着た人がいるのが見える、そう、ここは寮だ
騎士団に入るためには家を出て寮での生活を強いられる、帰省時期はミール騎士団は秋休みの3日、リデルテ騎士団は春休みの3日のみだ。だが親に売られたなど訳あって家に帰れない人だったり団長や副団長は帰省が出来ない。団長や副団長が帰省できない理由は親を亡くしたもの、帰る家がないものが多いからだ。
「着いた」ここはアグランの部屋の前、扉はボディースキャン式だ、この方式は第2階級団長が作ったそう。第2階級の団長はあまり表には顔を出さないそうだがなかなかの実力者らしい。
「ただいま」一言返事をすれば部屋の中に入る。自分の部屋まで足を運べば荷物を置いて布団へとダイブして、軽くため息を落とす、何かと今日は色々なことがあったな、などと思い返していると後に意識は遠のき、そのまま眠りへと着いてしまう
…
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