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「保身のためなら、なりふり構わないところは相変わらずだよな」


健吾さんがクスクス笑うと中が締まって、感じずにはいられない。肩を竦めて快感をやり過ごすと、頬にそっと手が添えられた。

触れられた頬の上から、健吾さんのあたたかい体温をじわりと感じた。しっかり瞳を開けて、目の前を見つめる僕の視線を受けて、優しげなまなざしが絡み合うように注がれる。

添えられている手のひらが少しだけ動き、健吾さんの人差し指が耳の穴にすりりと触れた。それだけで、どうにかなってしまいそうだった。


「んっ……」

「いろんな意味で、おまえよりも腐りきっていた俺を、疑うことなく好きになってくれたのが嬉しかった」

「健吾さん?」

「おまえの優しさは、俺にとって居心地の良いもので、なによりも大切なものになった。これからも俺に、与えてくれるだろうか?」


迷うことなく、イエスと答えようとした矢先に塞がれる唇は、さっきよりも熱い。僕が感じていることがわかっているのか、さらに煽るように角度を変えて、細かいキスを繰り出す。

慌てて健吾さんの肩を掴み、強引に押し倒して難を逃れた。


「ぉ、おい!」


闇色のシーツの上にプラチナブロンドが扇状に広がり、窓から差し込む月明かりでキラキラと輝いた。


「優しさだけじゃなくて、僕の想いも受け止めてください」


「受け止めるさ。すべて受け止めて、俺のものにする」


左右の膝裏を持ち上げて角度をつけるなり、何度も自身を激しく出し挿れして、健吾さんを感じさせる。最近になって彼が感じる部分がわかったので、ここぞとばかりにそこを狙って擦りつけた。


「ん…っも…そこばかりっ、突っつくなっ……うっ、くぅっ」


喘ぎながら、躰をヒクつかせる健吾さんの言葉を無視して、抵抗できないようにすべく、両膝をぎゅっと抱きしめた。


「やめません。健吾さんが感じると、僕も気持ちがいいんです。僕をイカせる寸前まで追い込む貴方を、たくさん責めてあげますよ」

「ハハッ、おまえの本気は怖いな。んっ…それこそ抱きつぶされそうだ。ぁあっ!」


はじめて健吾さんに自分のすべてをぶつけた夜は、互いがクタクタになるまで行為が続行された。

眠ったのは、明け方近くになってしまったけれど、躰の疲れよりも心が満たされていたお蔭で、幸せを感じながら爆睡することができた。

歪んだ関係~夢で逢えたら~

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