長めのお話の途中ですが息抜きに可愛い元貴さんと若井さんを書きたくなってしまいました···。
普段俺の元貴は何したってとっても可愛いわけで。
それでも音楽や曲のこととなると人が変わったように自分にも人にも厳しく自分自身をも追い詰める。
まぁ俺や涼ちゃん、サポートメンバーたちもそれは一緒で···ギターやだ!となりそうになるくらい厳しい指導を今日も受けていた。
「こう、違う。そうじゃなくって」
何度も繰り返し、時にピリッとした空気感の中で少しずつ形になっていく。
それでもまだゴールまでは少しかかりそうなので一旦今日はここまで、ということになり皆ぐったりと、涼ちゃんでさえ言葉数少なめに帰っていった。
さて帰ろうか、今日はさすがに元貴も疲れてるから誘われることもないかなぁと思っているとパーカーの裾をクイクイっと引っ張られる。
振り返ると元貴がそのまん丸の瞳で今日うちに来るよね?って俺を誘っていた(と、思う)
うん、と頷くとさっきまでとは別人のように穏やかな顔でにこっと笑ってくれる。
俺はこの顔に弱いんだよな、なんて思いながら2人で車に乗り込んだ。
疲れと眠気もあって車の中では俺は無言で少しウトウトとしてしまっていた。
元貴の家についてもぼんやりしてしまい、そのまま静かに部屋にお邪魔する。
せっかく誘ってくれたのにこれじゃいけない、と眠気覚ましにコーヒーでも買いに行こうかと一旦ソファに座ったものの、鞄を掴んで立ち上がると元貴が慌てて俺の腕を掴んだ。
「あ、元貴もなにか」
欲しい?と言いかけて見たその表情はしょんぼりと叱られた子犬のようで。
どうしたのか戸惑っていると、元貴は少し震えた声でごめんね、と謝った。
「若井、ごめんね···今日、色々強く言っちゃって···」
「え?」
「ずっと車でも静かだったし···。ごめん、帰らないで···お願い···」
そうか、元貴はずっと静かな俺が実は怒っていてやっぱり帰ろうとしていると勘違いして引き留めたんだ。
俺はわざとおっきなため息をつく。
それを聞いて元貴の身体がびくっと震える。
「そんなこというなよ」
そう言うと責められていると思ったのか元貴の黒い瞳がみるみる間に濡れて涙が今にも溢れそうになった。
「ご、ごめん···っ」
うわ、可愛い。
相当いじわるなのはわかってる···けど俺のことを引き留めながら泣くのを我慢しながら耐えている姿にきゅんきゅんと胸が高鳴る。
元貴の頬を両手で挟むと、ぽつり、と一粒の涙が溢れた。
「そんなこと言わなくていいって意味。元貴がすごく真剣にやってるのはみんな理解してるんだから、謝ることなんて何もないの」
「そう、なの···?」
「そうなの!···それに俺、さっきまであんな感じだった元貴が泣きそうになってこんな可愛い顔してるって思ってギャップにやられてるんですけど···」
「俺、可愛くないよ···」
泣きそうって言われたからか、元貴は慌ててごしごしと目を擦る。
「擦っちゃだめだって···他の人には見せちゃだめだけど、俺には泣き顔いっぱい見せて?すっごく可愛いんだから」
むに、と頬を軽く寄せると元貴はようやく少し笑った。
「やだよ···恥ずかしい」
恥ずかしがって逃げようとする元貴を抑えて少し濡れた目尻ぺろっと舐める。
「もぉ···若井ってば···」
「ふふ、怒ってるのも照れてるのも可愛い」
元貴は諦めたのかすっかり俺のされるがままになっている。
「明日もあるけど、泊まりたいなって言ったら怒る?」
「···泊まるってくれるのはいいけど···その、するの?」
上目遣いで俺を見つめる。
「だめ?」
こんな可愛い元貴を前に何もせずに寝るなんてちょっと無理そうで、負けじと見つめ返す。
「いっかいだけなら···」
「それは約束出来ないかも」
すぐに否定してにっこりと笑う俺を頬を赤くした元貴が軽く叩く。
「じゃあだめー」
「うそうそ、ごめん!努力するから!元貴くんそんなこと言わないで」
必死な俺を見て元貴は思わず吹き出した。
「じゃあ先にシャワーしてきて?ベッド整えておくね」
世界一甘い誘いにクラクラとしてしまい、約束した気持ちはさっそく揺らいで。
案の定1回では終わらなかった行為に翌日元貴から怒られてしまう俺だった。
コメント
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そりゃあ⋯ねえ?1回でなんて止められないわな。