TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
シェアするシェアする
報告する

アスファルトの道が、平らに続いている。その上を、冷え始めた秋風が通り抜けた。

この通りをこのまま真っ直ぐ歩いても、退屈な毎日だけが広がっている気がした。

白地に黒いブチの入った猫が、車道を横切ってこちらにやってきた。上目遣いにミャーと鳴いて、そのまま舗道と草むらを分ける鉄製の柵をくぐった。柵は青く塗られた膝ほどの高さの簡素なもので、舗道に沿ってアーチ状に植え込んである。

プナールは車道を向いて、目を細めながら煙草を吸っている。

俺は草むらを向いた。奥の雑木林のその上に、城壁の頭が見えるのを再び確認した。これまで、何度乗り越えてみようと思ったことだろう。そして何度無理だと諦めてきたことだろう。そのくせ、無機質なアスファルト道の続く日常をひどくもてあましてきた。

「あのさ」と俺は言った。

プナールは煙草をくわえたまま、目だけこちらへよこした。

「今日、こっち寄ってくから」

「は?」

彼女の口から煙が漏れる。

猫は雑草の陰から縦に長い目をして、もう一度ミャーと鳴いた。俺はプナールと猫の目を両方見比べたあと、猫に視線を止めた。

「こっち寄ってく」

彼女は煙を吐き切り、短くなった煙草をアスファルトの上に落とすと、足で踏みつけた。

「バカじゃん」

プナールは背を向け、舗装路をそのまま進んで行った。明日から口をきくことはないだろう。

この作品はいかがでしたか?

28

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚