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「あぁあぁ、勉強進まないー!」一一回想(勉強が進まないので)
期末テスト2週間前、立香の家は教育に厳しいとのことで遊べる時間は少なくなった。なんとしても立香と遊びたいと思った私は、「友達の家でお泊り会兼勉強会!」作戦を思いついた。これならもしかしたらと、立香の両親と私の両親に許可を取ったところ、うちは2つ返事でOKをもらえたが、立香はいくつかの条件が付いてきたらしい。
1つ目は藤丸家で勉強を行うこと。理由は遊んでしまわないか監視するためらしい。
2つ目は2人とも部屋への携帯の持ち込み禁止。理由はまあ、分かる
3つ目は騒がしくしないことらしい。まあ他人の家に止まらせてもらうのだからルールは守るが、まあ、なんというか遊び心がない母親らしい。日付は11月21日〜22日。ここまで決まったのが中間テスト10日前。ちなみに今日はその1日前である。
着ていく服、お土産物、教科書とノート、その他日用品などをバックに詰め込むことで頭がいっぱいいっぱいであったのだ。
やっとのことで荷物を詰め込み終わった。そのころにはもう夜の8時で夕飯に早く来いという苦情が絶えなかったことは言うまでもない。
母に車で送ってもらって、小川マンションに着いた。そこで母と別れ、1人で3階に向かう。つもりだったが、階段付近で待っててくれていた立香と合流し、扉の前に立った。
「緊張してる?」
立香に図星を付かれた。
「まあ、友達の家来るのなんて初めてだし。」
大丈夫だよ、そんな怖い親じゃないからと笑顔を造って言った。
意を決して扉を開ける。
「すみません、お邪魔します。」
出迎えてくれたのは30代半ばくらいの女性だった。
「貴女がアルトリアさんね、立香と勉強頑張ってね。」
優しそうだった。厳しいのはあくまで勉強のことだけだったらしい。条件とか付いたところで少しびっくりしたけで考えてみれば当然だった。
「あ、あのこれ、つまらない物ですが!」
近くの和菓子屋で買った饅頭を渡した。
「まあ、ありがとう。夕飯のデザートに食べましょうね。」
そして立香の部屋に入り、勉強を開始して今に至る
「立香は勉強のモチベーション下がんないの?」
秘訣などがあれば教えてほしいと思って聞いてみる。
「うーん、あんまり?どうせやらなきゃいけないし、今やらなかったら後で大変な思いするから結構できちゃうな。」
そういっていた。
「優等生だな〜、立香は。」
「やめてよー、アルトリアー。私もそんなに勉強好きってわけじゃないし、さ、やるよ教えてあげるから、見せてみて。」
その一言で私達の勉強は再開された。ちなみに言っておくと立香の教え方はめっちゃ分かりやすかった。
一一2時間後
静寂を打ち破るのは立香のお母さんの声だった。
「勉強、進んでる?お茶と糖分補給にお茶菓子を持ってきたわ」
がらっと扉を開けて入ってきた。彼女が持っているお盆にはいい香りのほうじ茶と何やら高そうなお茶菓子が乗っていた。
「ありがとうございます!」
突然のもてなしに感謝しかなかった。正直喉もカラカラだし、完全に疲れてへばっていたところだったのだ。なんで立香はこんなにも長い間一度の集中を欠さず勉強をしていられるのか不思議に思った。
「ごめんなさいね、邪魔をしちゃって。それじゃあ」
「あ、いえこちらこそ。気を使ってもらっちゃってすみません。」
そういってぺこりと礼をした。
「いいのよ、気にしないで」
微笑んで部屋を出ていった。
「さ、お茶菓子も貰っちゃったし、勉強の続きしよ、立香!立香?」
その瞳は恐怖に染まりきっていた。恐怖、危惧、憎悪そんな感情が彼女の中を渦巻いていた。
「どうしたの?」
「っ、ごめん、ちょっとトイレ行ってくる!やってて!」
そんなことを言い残してバタバタと急いで部屋を出ていった。
立香side
一勉強は苦ではないけど嫌いだ。
「勉強、進んでる?お茶と糖分補給にお茶菓子を持ってきたわ」
そんな建前を造って母は部屋に入ってきた。
まずい。瞬間そう思った。アルトリアとは少し話をしながら勉強をしていたのだ。特に母が入ってくる前は勉強に関係のない雑談をしていた。笑いながら。母はそのことを知っているの違いない。怒られる、殴られる!心が恐怖に染まりきった。
「お母さん!」
部屋から少し離れたところで母が待っていた。目つきは鋭かった
「あなた、勉強をしながら楽しくお話って、何をやっているの!」
頬に痛みが走る。また傷が増えてしまった。アルトリアにはどう誤魔化そうか。
「私はあなたが勉強が捗ると思って!友達が家に来ることを許したのに!あなたは私の気持ちなんて何も知らない!」
いつのまにか床に倒れ、叱咤、否ただの鬱憤晴らしと共に母親に腹を蹴られていた。死んだ瞳で見つめようとなんの温情もない。
「お、かあさっ」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!なんで、なんでお前が残ったんだ!失敗作が!」
腹が痛い。また痣が残りそうだ。でもまだ運が良い。腹ならば他の人の気づかれることはない。
「はあ、はあ…!」
少し疲れてきたようで私の腹を蹴っていた足が止まった
「さっさと戻りなさい、目障りよ」
そんなことを言って去っていった。アルトリアに聞こえていないだろうか、ここのマンションは壁の防音性が高いから大丈夫だろうが。私も急いで部屋に戻ろうと、立ち上がるがふらついてしまった。今のうちに部屋に戻っておこう。