「それにしても、事故の日がズレるとは思わなかったね」
夕焼けの赤を、じわりと染めていく夜の色。街灯がぽつりぽつり、とつき始めた道路を、舞夜と並んで、自転車で走る。
「私たちの記憶は……」
ぽつり、とつぶやくように、舞夜が言った。
「んっ?」
「私たちの記憶は未来予知でもなければ、固定された事実でもない、ということは、おぼえておいた方がいいかもしれないわね」
「なるほど、確かに……」
すでに、記憶の中にある世界とはいろいろな部分が変わってきてしまっている以上、記憶をアテにしすぎるのは危険だった。
「信二が慎重に人員を配してるのは、その反省からなんだろうね」
事故は、あるいは事件は、生ケ池で起きるとは限らない。
信二の考えは、正しく現状を認識した上でのものなのだろう。
ふいに前方、街灯の明かりに、一台の自転車が浮かび上がる。
うさぎ山の方から、こちらに向か*******
**********
*************
*********************
*************************
******
*****
***********
コメント
1件