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コメント
4件
突然使えなくなったもの…ぞわわわぁですねw
面白いです!続きはどこですか!楽しみにして待ってます!
第1話 「一生一緒」
雪宮視点
練習が終わってすぐ。
体の汗を流す為にシャワー室へと向かう。
行く途中に嫌な視線を感じたが、気のせいだと思い無視する。
「はぁ….今日の練習、いつにも増してキツかったな…..」
そんな一人言を呟きながらシャワー室に辿り着く。
そこで、彼にとっては崇める対象である神にも似た人物….潔 世一に出会う。
「あ、雪宮も今からシャワーするのか?」
「うん、という事は潔も?」
「おう、今日は中々ハードだったからな(笑」
そう談笑しながらシャワー室へと入る。
いつも通り服を脱ぎ、いざシャワーを使おうと思ったら….
「あれ?使えない….?」
「雪宮ー?どうしたー?」
軽めにシャワーを叩いたりしてると、その音が聞こえたのか潔が脱衣場から顔を出す。
その仕草がとても可愛らしく、雪宮はシャワーの事を一瞬忘れて崇めそうになった。
が、当初の目的を思い出し踏みとどまる。
「いや、何かシャワーが使えなくって…」
「へぇー?故障かな?」
そう言いながらトテトテと近付いてくる。
あまりの可愛さに膝から崩れ落ちそうになった…危ない危ない。
暫く叩いてみたり見てたりしたが、何も出来なかったのか、
「んー駄目だ。明日アンリさんに言ってみるか!」
「だね、そうしよっか」
「なぁ、大浴場行こうぜ。今日はもう何も無いだろ?」
1つ返事で答えれば、潔は早く早く!と言い雪宮を引っ張る。
この可愛いものは盗られないようにしないと、と雪宮は本気でそう思う。
だから雪宮は気付かなかった。
自分が先程まで居たシャワー室の方を、潔がジッと睨んでいたことに。
また、シャワー室の方から不穏な空気が立ち込めていたことに。
夜、雪宮は急に目が覚めた。
そして、何故かは分からないが呼ばれている気がした。
部屋から出て、ある場所へ向かう。
向かう先はーーーーーー
シャワー室だった。
シャワー室に着いた途端、雪宮の意識が途切れる。
そして虚ろな目をしたまま、練習終わりに雪宮が入ろうとした個室へと向かう。
『おいで……..おいで………』
黒すぎて形状が分からない手が、ゆっくりと手招きする。
それに惹かれるように雪宮は…….。
「なぁ、俺の仲間に手ぇ出すなよ」
刹那、突風が吹いた。
そして黒いモヤが消失したと共に、雪宮は倒れる。
「…..あぶね」
そう言い、何事も無かったかのように部屋に戻る。
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潔視点
雪宮が使えないと言ったシャワーには、黒いモヤが立ち込めていた。
いや、それは普通の霊感しかない奴が言うセリフ。
潔には、ハッキリと見えていた。
大きすぎる目玉を、飛び出さんばかりにかっ開いて雪宮を凝視している人が居た。
「シャワーを態と止めて、近くに寄らせるためか….」
けど残念だったな。
雪宮はすぐそこから離れて、潔に話しかけた。
スンデの所で離れられ、連れて行けなかった。
だからこんな強硬手段に出たのだろう。
「そんな事したら、俺じゃなくても見つかる筈なのに」
だから低級悪霊は困るんだ。
そう口には出さずに、潔は雪宮を背負ったまま部屋に戻る。
もうあの霊は現れないだろう。
「俺が居たのは、運が悪かったな」
なんせこの最強男に祓われたのだから……。
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雪宮視点
翌日、問題無く目覚めた。
昨日寝惚けてシャワー室に行った気がするが…..。
翌朝布団に戻されてたし、誰も知らなかったようなので夢という事にしておく。
だが……
「潔、昨日俺の夢の中に入ってきた?」
「え?」
昨日の潔の声は少しだけ届いてたらしい。
まぁ、自分の欲が出たのだと思っておく。
何事も無かったし、それで良いのだ。
下手な勘繰りはしない方がいい。
皆も、突然使えなくなったものには気を付けてね♪