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#独占欲
#ダークファンタジー
カチ♪
まとめた市場分析レポート
以前指示された通り
CCにリュカの宛先を入れて
送信ボタンをクリックする
ヴヴヴ……
するや否や
直ぐにリュカからの反応があった
業務用のパソコンへではなく
私のスマホのラインへ
以前レストランで交換した
プラベートの連絡先へ
大丈夫?何かあった?
相変わらずリュカは鋭い
ただの業務メールに反応して
相変わらず私の心配をしている
まだリュカには話していない
私だけに留めている秘密
後ろめたさと
罪悪感に苛まれる
リュカを信じよう
醜い私でも包み隠さず
リュカには全て打ち明けよう
リュカ宅にて
そう誓った先日
幾日も経たずして
その誓いすら暗礁に乗り上げる
脅迫観念に迫られる決断
脅迫的に迫り来る時間制限
不安と
緊張が
恐怖へと変わり
自分一人で抱えきれない一大事に
自分自身に起きた身体の変化に
身も心も疲弊がピークを迎える
ガタッ!
冷や汗をかきながら
パソコンに向かうも
私は
眩暈と立ち眩みに襲われ
一瞬気を失ってしまった
「え?!ちょ、ちょっと水川さん!大丈夫ですか?」
駆けつけた伊藤さんに体を揺すられ
ハッとする
「う、うん。ごめん、大丈夫」
「いやいや……絶対大丈夫じゃないですよ。顔色悪いし汗凄いですよ!」
顔面蒼白
額に滲むような汗をかき
平衡感覚がままならない
(やばい……)
しばらく休んでみたものの
回復の兆しが見えず
再び迷惑と心配をかける不安から
この日
私は早退した
伊藤さんには迷惑をかけてしまった
あのままオフィスに留まっても
伊藤さんにはもっと迷惑をかけてしまっていただろう
後ろめたさと
罪悪感に苛まされながら
フラフラとした千鳥足で
私は帰路に着いた
***
——出血していた
貧血による眩暈だったのだろう
下腹部に感じる違和感
一抹の可能性だった医師の誤診
その線は無い
そう確定的に感じた
もう時間的猶予は無い
もう隠しきれない
これ以上決断を先延ばしにして
これ以上隠し続けたとしても
悪化する未来しかない
そう分かっていて尚
一歩踏み出すのに時間を要した
私には勇気を振り絞らねば
一歩すら踏み出せなかった
それから数時間後
ようやく重い腰を上げ
ようやく決心する
私はリュカに返信した
簡単な説明で
端的に伝えられる話じゃない
私はリュカに
手隙の際に通話をくれる様に伝えた
ヴヴヴヴ……
するや否や
直ぐにリュカからの折り返しがあった
「大丈夫?」
しばらくぶりの会話だった
久しぶりとの枕詞も
軽い挨拶すらも無しに
第一声が
私の心配だった
リュカは本当に勘が鋭い
「うん……大丈夫、ありがとう」
「リュカ、あのね……」
多忙なリュカの事だ
仕事を途中で中断して
抜け出してかけてきたのだろう
私の重たい雰囲気を察したのか
そんな事はお首にも出さずに
落ち着いて
冷静に
黙って私の話を聞いてくれた
言葉を口にしようとするその唇の
震えが止まらない
伝えてしまったら
リュカと誓ったあの日の全てが
覆ってしまう事になる
よしんばDNA診断へかこつけたとして
結果によっては
更に未来は悪い方向へ転換する
でも
これ以上待てない
これ以上待っても
得る物は無く
失う物しかない
私は
勇気を振り絞り
震える唇で
リュカに妊娠の事実を告げた
そして
リュカ宅に宿泊した前日の
夫との経緯を伝えた
リュカはそれを
黙って聞いていた
私が
話終わり
話が途切れ
リュカが
聞き終わるや否や
即決だった
「瑠奈の予定のつく時に対応可能な病院予約して」
「決まったら連絡して」
躊躇も迷いも一切無く
開口一番
そう告げるとリュカは
私の体を労わった
多忙なはずのリュカ
そんな事は一切お首にも出さずに
そんな気配すら感じさせずに
親猫が子猫を舐め労わる様に
ゆっくりと
心から
私の体調を気遣い
体調管理から
食事に至るまで
出来る限りのアドバイスをくれた
男性には分からない事だろうに
分からないなりにも
真摯に向き合い
私に精神的な安心をくれた
その安心が
私の精神的支柱となり
私の背を押し
一歩前へと踏み出させてくれた
長時間の通話を終えると
私は病院の詮索に奔走する
とても大事な事
出来る限り最良となる病院を探し
予約依頼フォームを提出した
私は
病院を訪れる事になる
DNA検診を受けに
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