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想像がふくらみますね。 血を直飲みさせられてたりしたら萌える。
ふふふ…低レベルな足の引っ張り合ってマウントとってく(但し優秀な)二人やっぱり良すぎる…。 もし、二人共性格良くて自由になれた世界線をこの二人が見たら苦虫噛み潰したような顔してお互いに責任をなすりつけ合うんでしょうね。 そんなところが、いつまでたっで子供なんだよ。
いやぁ…この世界線最高ですね…。この世界の御先祖様×ドイツでリクエストしてもいいですか? それでですね、今までイイコしてきた独がもう一人で生きていけるだろう現代で言う高校3年生の18歳くらいに逃げるんですけど、逆に自分が嘗てしたように日さんに捕まって煽られて殴り合いになって収集つかなくなって今度は帝国とナチが喧嘩両成敗するっていうね。今度は全く逆の立場で同じ状況になるんですね。 何年越しに借りを返す日と自分がしたことがそっくりそのまま返ってくる独…最高じゃないですか?
パパイア 様より、分岐ルート反抗期日本
※旧国、「赤い飴玉と魅入られた子の話」必読
鎌倉様に誘拐されて十数年。
今年で13歳となった僕は、そろそろ元服の儀も近い。
事前にそこで解放されはしないと江戸様に言われていたのに、何故やる必要があるのか。
無駄に現代に合わせるご先祖様は、僕が20歳を迎えるまで帰す気などないそうで。
流石に我慢の限界だった。
元服とは本来、成人したという証明ではないのか?
僕は今まで精一杯頑張って来たのに、まだ足りないと申されるのか?
いい加減うんざりなのだ。
屋根があるだけマシだろうとか、飯が食えれば満足だろうとか、そんなの知ったことか!
僕は修行なんて望んでいなかったし、両親と平和に暮らしていければ満足だ。
ぶつけようのない、ぶつけてはいけない怒りが蓄積していく。
僕だって元は普通の男の子。
13歳の今、反抗期にくらいなる。
「…なんか目が覚めちゃったな…」
それに喉が渇いた。
修行は厳しいものの、日常ではそこまで束縛されていないため、水を飲みに行こうと立ち上がる。
着替えて布団を片付け、部屋から出た。
「…甘い匂い?」
念のため隠れて台所まで行くと、鎌倉様が鍋に火をかけ、その様子をおそらく朝食を作りながら平安様が見守っているという、なんとも不思議な構図。
鎌倉様は何を作っているのだろう?
そう思っていたら、急に鎌倉様が手首を切った。
「!?」
会話が聞こえてくる。
「ちびっ子1人のためにようやるのう…砂糖が勿体無いわ」
「黙れ。私のことにまで口を出すな」
「おお怖い怖い…わしが手を出さないからって、そんな態度は良くないのう。痛い目見るぞ?」
「うるさい。日本の服を持ってきたかと思えば、そのまま居座ったのはお前の方だ」
鍋の中に血を落としながら、鎌倉様は心底不愉快と言い出しそうなほどの顰め面で話し続けていた。
やはり、あの鍋の中身は砂糖らしい。
なぜ血を入れて…
「…まさか」
いつもいつも、妙に鉄っぽい味がすると思ったら。
砂糖でも掻き消しきれないような、あの気持ち悪い味は、鎌倉様の…
「…ッッ」
吐き出していて正解だった!
やはりこんなところにいてたまるか!!
逃げなくては!
気持ち悪くて口に含んだ後自室で吐き出していたとはいえ、自身の体液を混ぜて子供に食べさせるほどイカれているとは!
そんなこと思いもよらなかった!
玄関まで走って、確か外の紅葉を潜れば戻れるはずだ。
台所から玄関は見えない。
逃げるなら、今だ。
ひっそりとその場を離れ、息も止めて歩く。
何度水に浸けられて泳がされたと思ってる。
陸なら息もしやすい、苦しくない。
早く逃げよう、逃げて、二度と関わらないようにしなくては。
「…?意外だ、追いかけられるかと思ったのに… 」
難なく紅葉の木まで辿り着けた僕は、屋敷から出てこない鎌倉様たちのことが少し気になった。
一見僕に興味がなさそうでも、全員僕という若い芽をどう自分好みに育てるか、思考を巡らせていることくらい知っている。
「…まあいいか。気づかれてないなら、今のうちに行かなきゃ」
僕が来た時には真っ赤に色づいていた紅葉。
葉は落ちて新しくなっていたが、やはり立派に佇んでいた。
走り抜けた先は、見覚えのある墓地。
「やった…帰れた…!!」
振り返っても道はなく、あるのはもちろん墓石だけ。
「…お前、今どこから出てきた?」
あまりの嬉しさにあたりが見えていなかったようで、急に声をかけられて驚いた。
声の方向を見てみれば、僕と同じくらいの年であろう少年がいる。
「…今逃げてきたとこ。僕は日本、君は?」
「ふーん…俺はドイツだ。逃げてきたって、どこからだよ?」
「んー…頭のネジがぶっ飛んだやつらから」
「そうなのか。お前、家は?送ってやるよ」
「知らないしいらない。もう忘れた」
黒縁メガネの先には疑いの眼差し。
口を開くたびにギザギザした歯が見えて、どことなく帝国様を思い出した。
「変なやつ。なんで逃げてきたんだ?」
「はぁ?なんで初対面のやつに答えなきゃいけねえんだよ」
「可愛くねえな、このくらい別にいいだろ」
「僕はこんなところで話してる暇はないんだ、じゃあな」
このままダラダラと話していたら、追いかけてくるかもしれない。
急いで逃げなくてはいけないことを思い出し、話を断ち切って走り去る。
少し態度が悪いかもしれないが、別に構わないだろう。
「おい待てっ!!」
そんな声で立ち止まるほど、僕は良い子じゃない。
それから、約一月が過ぎた。
警察へ行って名前を言ったら行方不明の少年だと気づいてもらえて、ずっと探してくれていた家族と再会することができ、幸せに暮らせている。
ご先祖様の幽霊に誘拐されたなんて信じてもらえないだろうから、誰に聞かれても答えてはいない。
学校へは行っていなかったが、教養は仕込まれているので日常生活で困ることもなかった。
強いて言うなら、最近の電化製品の扱いがわからなかったくらいか。
今日は、ようやく色々落ち着いたからってことでお出かけ中である。
同年代の中では小柄らしい僕の手をしっかり掴んで、アスファルトに舗装された道を歩く。
最初はボロボロな手に驚かれたけど、剣道や弓道やその他勉学で優秀な成果を出しているうち、これは努力の証だと褒められ、とても嬉しかったのも記憶に新しい 。
何度か「日本が戻って来られたのはご先祖様のおかげだろうから、お礼を言いに行こう」と言って墓地に連れて行かれかけたが、必死で抵抗していたらそんなこともなくなった。
両親や周りの者たちも、誘拐現場に戻りたくはないよな、と思い直してくれたおかげだ。
「まだ完全に終わったわけではないが、今日くらいゆっくり楽しもうな。やっと家族で団欒できる」
「そうね。今までできなかった分、たくさん楽しみましょう」
「うん、すごく楽しみ」
敬語でいなくていいというのは、とても楽だった。
あの時は敬語の使い方を間違えれば、体罰込みで躾直されていたから。
子供らしく振る舞うこともなかったからか、まだ歩いているだけなのに楽しくて仕方がない。
「見つけた…」
恨みの籠った声が聞こえ、なんとなく振り向く。
その瞬間、僕の右手は母ではなく、あの時の…墓地で出会った“ドイツ”とかいう少年の手に掴まれていた。
すごい勢いで駆け抜けて、父の手も離れて行く。
「はっ、な、何すんだよっ!!」
「待て!!」
「日本!!」
追いかけてくる両親から逃げながら、僕の手を引き続ける。
墓地で出会った時よりボロボロで、顔のガーゼが目立っていた。
「おいっ、離せよ!!」
「絶対に嫌だ!!お前のせいで俺はっ…許さないからなっ!!」
訳のわからないことを返されながら、僕は振り解こうと抵抗する。
だけどドイツの方も必死で、手首を掴む手は緩む気配すらしない。
無理矢理走らされながら、どんどん両親と距離が開いていく。
見覚えのある道だ。
この先には、墓地しかないはず。
「っっ!!離せってば!!!!」
「黙れ!!!」
恨み、怒り、焦り、恐怖、色々なものが混ざったような声で怒鳴られる。
なぜ僕の不幸を助長するような行動を取るのか、本当にわからなかった。
たった一回会っただけじゃないか。
こんなに恨まれることをした覚えがない。
ようやく止まったかと思えば、そこはやっぱりあの墓地で。
「はぁ…はぁ…ついて来い」
「い、嫌に決まってるだろ!やめろよ、離せよ!」
「いいから早く!」
情緒不安定なのか、落ち着いたりキレたり忙しないやつだ。
ほとんど引きずられるように墓地の中心まで来て、そのまま雑木林で連れられる。
気がつけば、見覚えのある紅葉の木があった。
「ぁ、こ、こは…」
「誰もしない墓の掃除をさせられてたら、お前が逃げてきたんだ。初対面だし、どうでもいいと思って見過ごした 」
混乱する僕を放って、ドイツは事情を話してくる。
「でもさ、俺のとことお前のとこに繋がりがあって、なぜ逃したって怒られたわけ。お前なんか知るわけねえのに。向こうに出られて顔もわかるからって、そのまま探しに行かされたんだ 」
「…じゃあ、お前、あいつらの回し者なのか…?」
「そういうこと。1ヶ月も逃げ回りやがって。なんで俺がって思ってたけど、今となっては、同じ境遇にもう一度引きずり落とせたから良かったって思ってる」
“同じ境遇”
その言葉で全てを理解した。
事情なんか語られなくたって、わかることができた。
こいつも同じなのだ。
顔も知らなかったご先祖様に誘拐されて、無茶で狂った教育を受けながら育ってきたのだろう。
納得してしまった。
どうして自分だけって思ってたある時、同じような目に遭っている奴が逃げたと聞いたら、僕も血眼になって探すだろう。
1人だけ逃げるのはずるいもんな
だからそんなにキレてたんだな、早く見つけないといつも以上に詰められてしまうから。
外面だけは無駄に良いあいつらのことだから、頼み事か何かは知らないが、早く遂行せねば、色々と崩れてしまう。
でも、だからといって人の幸せを壊すことなど許されたことではない。
「…ふざけんなよ!!!!お前のせいで、ようやく掴めた幸せが壊れるじゃねえか!!!!」
自分でもびっくりなくらいの大声を出し、無理矢理手を振り切った。
「なんだよ、自業自得だろ?俺だけ不幸になんかなってたまるか!アッハハハハ!!!」
心底おかしそうに笑われ、ついに何かが切れる音がする。
ギュッと拳を握り、殴りかかった。
急なことで驚いたのか、ドイツはそのまま僕の拳を受ける。
「っ…てぇな、何すんだよ!!」
一瞬怯んでよろめいたものの、キッと睨んで殴り返される。
蹴って殴ってと暴力を振るい合って、躾以外の怪我を沢山残していく。
こいつを殺してでも逃げなくてはまずいのだ。
鬼が来る前にどうにかして、さっさと逃げなくてはならないのだ!
両方それなりに仕込まれているからか、争いはどんどん過激になった。
僕は逃げるため、向こうは連れていくために気絶させようとして、お互いが顔を狙い始める。
ドイツのメガネを吹っ飛ばしてやれば、お返しと言わんばかりに僕の服を破られ、帯を引っ張られた。
顔に1発。とても痛かった。
だから首を引っ掴んでガーゼが貼られた頬に拳を食らわせてやる。
僕は小柄だが、身のこなしには自信があるのだ。
そんな感じでほとんど互角に殴り合っていると、急に視界が回転した。
「ぇ、やッ…がはッ!」
見えはしないが、ドイツの声も聞こえる。
「全く…私の元から逃げ出した挙句、人様のお子さんと喧嘩するとは…成熟してきたとは言え、手のかかる子だ」
「ぁ…か、鎌倉、様…」
ぎゅぅぅと地面に押し付けられ、息が苦しくなった。
どうやら投げられたらしい。
「ぅ…ぐ…」
「逃げられないだろうと高を括っていた私も悪いがな。お前、飴をきちんと食べていなかったのだろう?悪い子だ 」
ただでさえ殴り合って体力を消耗していたのに、息ができないくらいキツく絞められては死んでしまいそうだ。
ケラケラと笑うにしてはいつもより声が低く、焦りが感じられる。
「ごぇ…な…ざぃ…」
「それでいい。彼方にもきちんと謝れ。喧嘩は子供らしくて結構だが、して良いわけではないからな」
「ゲホッ…は、はぃ…」
「ドイツ、お前もだ 」
「は、はぁ…はい…」
「うちの者が悪かったな、プロイセン殿」
「いえいえ、こちらこそ。お宅の日本くん…でしたかな?怪我を負わせてしまいすみません」
「怪我はお互い様としよう。力は強くないはずだが、後に何か謝罪させてもらう。それより、連れ戻してくれたことに感謝したい」
僕らが無理矢理謝らされている間、大人は大人の話し合いをしていた。
話だけ聞くと普通の会話のようにも思うかもしれないが、声色は恐ろしいほど冷たく、まるで冷戦のようだ。
「さぁ、子供同士謝罪は済んだようだし、私たちはこれで失礼させていただく。謝罪や礼の話は、後ほど帝国を通して連絡させてもらおう」
「わかりました。それでは、私たちも帰りましょう。行くぞ、ドイツ」
「はい…お祖父様…」
腹を殴られたのか、ドイツは手で抑えながらついて行く。
僕も鎌倉様に連れられて、手を引かれるままに歩いた。
「ほら、散々逃げ回って疲れたろう。飴玉でもどうだ?」
拒否権なんてあるわけもなく、どうだ?と言いながら食えと言われる。
いつもは黄金色の飴玉が赤い。
一月前の光景を思い出し、不快感に眉を顰めた。
しかし食べなくてはならないので、意を決して飴玉を口に放る。
苦くて不味い鉄の味がした。
吐き出したくても、それは許されないことだ。
「帰ったらお仕置きだな」
ぼそっと呟かれた言葉が、僕の反抗期を終わらせた。