テラーノベル
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これは、七不思議を使った魂の移動。
もしも学校に縛られた魂の存在があるのなら、それは戻さなくてはなりません。
戻したいと願うのであれば、二つの柱の力を借りて扉を開きましょう。この扉は彼岸と此岸を繋ぐもの。
しかし二つの柱は信頼により力を持ち、扉はその犠牲によって開かれます。
扉の場所は主に三箇所。
校長室に隣接した茶室、5階にあるいちばん西陽の差し込む男子便所、そして中央に位置する時計台の階段を上がって正面の窓。
このどこか一つの扉を開き、魂と共に飛び込むのです。
〈kiriyan side〉
kn 「んー、校長室の隣に茶室?掃除用具もあったかわからないし、正面に窓もあったっけな??」
nk 「そこは役割分担って感じかな。」
sh 「てか、そもそも二つの柱ってなんだ」
kr 「、、、多分七不思議のことだと思う。」
br 「え。てことはこの通りにやるとしたら」
kr 「俺らを信頼してくれている七不思議を二人犠牲にして開かれる扉。ってことだね」
nk 「怪異にあまりいい印象は抱いてないけど、信頼されている奴らをってなると、、」
sh 「気がひけるよな」
kn 「信頼してるとしたら、やっぱりあの二人か?」
あいつらにお願いすれば、スマイルは助かる。でもあいつらも元はと言えば人間で、スマイルのように魂が縛り付けられていただけなのかもしれない。
そんな人を俺は、、、
kr 「、、、他の方法探すか」
ーーー何言ってんのよ。馬鹿タレが。
鈴が優しくチリンという音は鋭い声とよく合う。後ろを振り向けば着物姿の女性がつかつかと迫ってきた。
狐 「まったく、そんなんだからいつまでも坊やのままなのよ。」
鳩 「同意見だ。」
狐 「大体、もう死んでるんだからまた死ぬとかどうとか難しいことは考えたくないのよ」
鳩 「我ももう年だ。現世を真似た彼岸を十分楽しんだろう」
狐 「え、何よその憎たらしい目。わたしはまだ年じゃないわよ。最愛の人が先で待ってるから来世にでもいこうとしてるとこなの」
kr 「でも、魂が消えたら生まれ変わらないんじゃ、」
鳩 「いいかい坊や。難しい話は嫌いなんだ
気が変わる前にやるのがよかろう?」
そんな彼らの優しさに甘えては、自分の欲望を果たそうとする自分は一体どれほど怪物なのか。
狐 「だから気にせずに助けようと言っているのよ。少しくらいかっこいい場所を作ってくれってたのんでるの。」
その声が鈴の音が心をくすぐるように優しく撫でる。でも俺の心臓はその優しさの受け止め方を知らない。
nk 「じゃあ、スマイルを探しつつみんなで扉の場所を確認してこよう」
鳩 「坊やは何処がいちばん扉がありそうかわかるか?」
そうやってすぐ切り替えて、行動に移そうとする理由がわからないよ。
だって俺の欲望で二人はいなくなってしまう、そう考えると視界がじわじわと滲む。
あぁ、なんなんだよこの気持ちは。
kr 「、、ごめ」
トンッ
sh 「、、。」シーッ
そうか、俺がここで謝ったら彼らの本当の気持ちの部分を否定してしまうことになるんだ。
kr 「俺は、男子便所がいちばん可能性あると思う。」
狐 「じゃあ私たちはそこに向かいましょう」
kn 「じゃあ俺たちは手分けしてもう二つの場所行くよ」
そうしてきんときとぶるーくは校長室に隣接した茶室に、シャークんとなかむは中央の時計台へと向かうことになった。
スマイルはきっとこの何処かに引き寄せられるだろう。それは以前、狐から聞いていた話だった。
狐 「あんた最近浮かない顔してるわよね」
kr 「俺?そうかな」
狐 「恋煩いね。」
ああ、本当に狐の勘は爪のように鋭い。
kr 「だったらなんだよ。慰めてくれんの?」
狐 「同情するのは苦手なのよ、、、でも話したら楽になるんじゃない?人生の先輩なわけだし」
kr 「死んでからの方が永いくせに」
狐 「余計な口を開けないようにしようか?」
kr 「、、、、魂と身体が分離したモノでも思考は同じなのかな」
狐 「それは、彼のこと?」
kr 「ここにいるスマイルが俺を好きだと言ったとしても、それは嘘になるんじゃないかって。また逆も然りだよ」
kr 「俺が伝えても肉体に戻った時は忘れちゃうのかな」
そう呟くと狐は少し寂しそうにしながらも、丁寧に言葉を並べる。
魂と肉体は離れ離れになっているだけで、元は一つ。魂が感じていることは身体にも伝わるし、肉体で感じることも魂には届く。
それは各個人のように見えるけれど、同じ人物にすぎない。と
狐 「もし、目覚めてから直接告白しよう。なんてロマンチックなことを考えてる余裕があるんだったら」
狐 「わたしはもったいぶらずに今の彼に伝えてあげるべきだと思うわよ」
案外真面目なことを話されて少し変な気になった。
雨の音と少し暗くて青色に包まれたこの教室のせいか、普段よりも正直になれた。
kr 「たまに思うんだ。この人は本当のスマイルじゃないんじゃないかって」
kr 「怖い、、、みたいな」
狐 「それはやっぱり生きているものとは違うからよ。特に執着するほどのものならその感情は人間の範疇を超えているものでしょうね」
狐 「前に聞いたことがあるわ。混じりモノが惹かれるのはいくつか種類があるって」
kr 「惹かれる?」
狐 「心当たりはあるんじゃない? あんたの力に惹かれてるとか」
kr 「あ。もしかして」
狐 「現世の力、思い出の場所、それと彼岸への扉に惹かれると言われていたわ。」
わたしにはわからなかった。という彼女がなぜそんなにも哀しそうなのか、なんとなく想像ができた。
kr 「愛した人はそれが見えてたの?」
狐 「えぇ。」
雫が地面に打ち付けられる音がだんだんと声を大きくしている。
それを心地良いと思ってしまうのは、心が素直になれたからだろうか。
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