テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
最近。
⸻
兵団内で密かに広まっている噂があった。
⸻
それは。
⸻
「リヴァイ兵長って意外とかっこよくない?」
⸻
だった。
⸻
古参兵たちは呆れた。
⸻
「今更?」
⸻
「何年見てきたと思ってる」
⸻
だが。
⸻
104期や若い兵士たちにとっては新発見だったらしい。
⸻
「いや、怖いのは怖いですよ?」
⸻
アルミン・アルレルト が言う。
⸻
「でも理不尽じゃないし」
⸻
「強いし」
⸻
「部下のことちゃんと見てるし」
⸻
周囲が頷く。
⸻
さらに。
⸻
女性兵士たちの間でも。
⸻
「最近雰囲気柔らかくなったよね」
⸻
「前より話しかけやすい」
⸻
「笑う時あるし」
⸻
「かっこいいよね」
⸻
そんな話が増えていた。
⸻
もちろん。
⸻
本人は知らない。
⸻
知ったら嫌そうな顔をする。
⸻
その頃。
⸻
分隊長室。
⸻
〇〇は書類整理をしていた。
⸻
すると。
⸻
同期の女性兵士が身を乗り出してくる。
⸻
「ねぇ」
⸻
「ん?」
⸻
「リヴァイ兵長ってかっこよくない?」
⸻
〇〇は瞬きをした。
⸻
突然だった。
⸻
「いきなり?」
⸻
「まあたしかに」
⸻
〇〇は少し考える。
⸻
背も高い。
⸻
強い。
⸻
顔立ちも整っている。
⸻
仕事もできる。
⸻
「うん」
⸻
頷く。
⸻
#夢主
そら
255
みゅう

68
「かっこいいと思う」
⸻
即答だった。
⸻
友人たちが盛り上がる。
⸻
「だよね!」
⸻
「やっぱり!」
⸻
「最近特にかっこいい!」
⸻
〇〇は苦笑する。
⸻
確かにそうかもしれない。
⸻
恋人だから贔屓目もあるだろう。
⸻
でも。
⸻
純粋にそう思う。
⸻
だから。
⸻
そこに嫉妬はなかった。
⸻
全く。
⸻
むしろ。
⸻
そう思ってもらえるのが少し嬉しいくらいだった。
⸻
一方。
⸻
それを偶然聞いていた人物がいる。
⸻
ハンジだった。
⸻
そして。
⸻
その日の午後。
⸻
兵士長室。
⸻
「ねぇリヴァイ」
⸻
「何だ」
⸻
「朗報」
⸻
嫌な予感。
⸻
非常に嫌な予感。
⸻
リヴァイは顔を上げない。
⸻
「聞かねぇ」
⸻
「〇〇がね」
⸻
ペンが止まった。
⸻
即座に。
⸻
ハンジが笑う。
⸻
「聞いてるじゃん」
⸻
「……」
⸻
「女性兵士たちがリヴァイがかっこいいって話してたんだよ」
⸻
沈黙。
⸻
「で?」
⸻
平静を装う。
⸻
完全に装っている。
⸻
ハンジには分かる。
⸻
「〇〇に聞いたの」
⸻
「……」
⸻
「兵長かっこいいと思う?って」
⸻
リヴァイが書類を閉じた。
⸻
聞く気満々だった。
⸻
「そしたら?」
⸻
「即答だった」
⸻
沈黙。
⸻
ハンジがニヤニヤしている。
⸻
「かっこいいと思うって」
⸻
静寂。
⸻
兵士長室が静まり返る。
⸻
数秒後。
⸻
リヴァイは咳払いした。
⸻
一回。
⸻
そしてもう一回。
⸻
耳が少し赤い。
⸻
「そうか」
⸻
短い。
⸻
だが。
⸻
機嫌が良くなった。
⸻
分かりやすいほど。
⸻
ハンジは笑いを堪える。
⸻
だが。
⸻
続きがある。
⸻
「でもね」
⸻
「何だ」
⸻
「嫉妬ゼロ」
⸻
沈黙。
⸻
今度は別の意味で。
⸻
「ゼロだった」
⸻
「……」
⸻
「全く気にしてなかった」
⸻
「……」
⸻
「むしろ同意してた」
⸻
リヴァイが黙る。
⸻
ハンジは肩を震わせている。
⸻
「どう?」
⸻
「何がだ」
⸻
「少しは嫉妬してほしかった?」
⸻
即答はなかった。
⸻
それが答えだった。
⸻
ハンジが机を叩いて笑う。
⸻
「やっぱり!!」
⸻
「うるせぇ」
⸻
だが。
⸻
実際。
⸻
少しだけ。
⸻
本当に少しだけ。
⸻
思った。
⸻
〇〇は信頼してくれている。
⸻
疑っていない。
⸻
それは嬉しい。
⸻
もちろん嬉しい。
⸻
だが。
⸻
ほんの少しだけ。
⸻
ほんの少しだけ。
⸻
「誰にも取られたくない」
⸻
みたいな顔をされても。
⸻
悪くなかったかもしれない。
⸻
その日の夜。
⸻
仕事終わり。
⸻
〇〇の部屋。
⸻
「今日ね」
⸻
〇〇が紅茶を飲みながら笑う。
⸻
「また兵団の女の子たちがリヴァイの話してた」
⸻
「聞いた」
⸻
「え?」
⸻
〇〇が吹き出す。
⸻
「絶対ハンジさんだ」
⸻
「……」
⸻
否定できない。
⸻
そして。
⸻
〇〇は自然に言った。
⸻
「だってかっこいいし」
⸻
リヴァイが視線を逸らす。
⸻
「事実だよ」
⸻
「やめろ」
⸻
「なんで?」
⸻
「恥ずかしい」
⸻
〇〇は大笑いした。
⸻
その様子を見ながら。
⸻
リヴァイは思う。
⸻
嫉妬はしてくれない。
⸻
独占欲もあまり見せない。
⸻
だが。
⸻
それは。
⸻
信頼してくれている証拠なのだろう。
⸻
そう理解している。
⸻
理解しているが。
⸻
それでも。
⸻
ほんの少しくらい。
⸻
「私の恋人なんだから」
⸻
なんて言われてみたい気もする。
⸻
もちろん。
⸻
そんなことは絶対に口にしない。
⸻
だが。
⸻
その考えを読んだように。
⸻
〇〇が笑った。
⸻
「でも」
⸻
「?」
⸻
「リヴァイはわたしの彼氏だよ」
⸻
完全な沈黙。
⸻
そして。
⸻
数秒後。
⸻
耳まで赤くなったリヴァイを見て。
⸻
〇〇はまた楽しそうに笑うのだった。
コメント
1件
ああ、もうこの回めっちゃ好きです……!リヴァイに対する評価が兵団内でじわじわ上がってる設定がまずツボなんだけど、〇〇がまったく嫉妬せずに「かっこいいと思う」って即答するのが逆にリヴァイの心にチクッと刺さってるのがたまらないですね。最後に「私の彼氏だよ」ってさらっと言う〇〇、強すぎる。リヴァイの耳が赤くなるシーン、何度でも見たいです。