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最近、自分の部屋の窓の閉めかたを習得しました。
ずっと半開きだったので寒かったです。
🤪目線
注意
シリアスです。
自殺、流血表現アリ
俺の人生の大半は病室の景色だった。
いつもと変わらないカーテンで仕切られた大部屋。
カーテンの向こうには誰もいない。4人部屋なのに俺しかいない。
今日も変わらない空を見上げていた。
親は昔、一緒に事故に巻き込まれて死んだ。
俺は事故で大怪我をしたが生き残った。俺だけが。
大怪我のリハビリと精神的な回復をするため俺は何年も入院し続けている。
だれかと一緒の部屋になっても皆すぐに退院してしまう。
あのピンクの髪の毛が綺麗だったヤツや、おしゃれが好きでよくポテトをくっていたヤツ。
白い髪の毛で兎が好きだったヤツ。髪が長くてぬいぐるみを沢山病室に持ち込んでいたヤツ。
皆仲良くなったのに退院してしまった。
もうずっと一人。最近は新しい人も入院してこない。
寂しい。
すると突然、窓から影が堕ちた。
「…誰や?」
出窓に立っていたのは羽の生えた天使だった。
キラキラと輝いていた羽は一目見て本物だとわかった。
「…天使?」
「きみ、病気なの?」
出窓に立っている天使は入院している俺を何かの病気を患っていると思ったらしい。
「ちがう。事故で怪我したんや。まともに歩けんから。」
「ふーん。」
天使はベッドの横に降りてき、俺と視線を合わせた。
「お前、本物なん?」
「本物に天使だよー。僕、名前ほとけって言うの。君は?」
「俺は…いふ。」
天使は俺の顔を覗き込むとふふっと微笑んだ。
「君、僕と同い年くらい?」
「俺は12歳やけど。」
「僕、1600歳だよ。」
「全然ちがうやん。」
確かにほとけと俺の体つきは
一緒のように見えるが天使と人間はまたちがうらしい。
「なんでここに来たん?」
「早速本題に入ろうか。」
ほとけは俺の目をまっすぐに見つめると自分の天命について話し始めた。
「天使っていうのはね、誰かを幸せにするためにいるそんざいなんだよ。
だから君を幸せにするために君の願いを聞きに来たの。」
正直、すぐに意味がわからなかった。
天使だからといってなんでもかんでも願いを叶えてくれると言うのか。
「…なんでもええの?」
「うん。もちろん。」
俺は目を輝かせ、ほとけに自分の願いを伝えた。
「いろんな景色を見たい!!」
「いろんな景色?」
「あぁ。いろんな国を旅して沢山綺麗な景色を見たいんや!」
ほとけは俺の願いを聞いて嬉しかったのか
閉じていた羽を勢いよく開いた。
「そうと決まれば出発するよっ!!いふくん!」
「あぁ!」
ベッドから素早く降り、窓に立ったほとけが差し出す手を握った。
いつもならベッドから降りるだけで何十分もかかるのに
体がとても軽く、羽が生えたように滑らかに動けた。
「わぁっ」
「ちゃんとつかまってて!飛ぶよっ!」
俺はほとけに背負われ大空を飛び続けた。
沢山の場所を旅した。
珊瑚礁が無数に生える海、どこまでもつづく草原。
花弁が雪のように舞う花畑、光が堕ちてくるように見える流星。
沢山の場所に行って沢山のものを見た。
「わっこれ、海やないの?」
「ここはね、とっても大きな水溜まりなんだって。だからこの上を歩けるよ。」
ほとけと最後にたどり着いたのは塩湖だった。
まるで海の上を歩いているようでとても楽しかった。
「ほとけ、俺の願いを叶えてくれてありがとう。」
「…。」
「ほとけ?」
「…ほと…け………。」
医者や看護師がタンカを持って俺のそばに走ってくる。
目の前は真っ赤に染まった地面。
血にうつった自分は頭から血を流していた。
さっきまでほとけと一緒に塩湖の上を駆け回っていたのに
俺は赤い血の上で横たわっていた。
天使なんかいなかった。全部…俺の妄想だった。
救われたかった。俺の願いを叶えてほしかった。
手を差しのべていたほとけは存在しなく、俺は幻覚を見ながら
窓の外に転落していたのだった。
「…ほ…と…」
このまま死ねば、ほとけに会えるかな?迎えに来てくれる?
もっと沢山の場所を一緒に見に行こう、ほとけ。