コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕らはまだ死にたくない!!
第13話.過去2.
▼START▼
_____________________
🧸*̩̩̥ (玖音)目線
_____________________
久玲葉ちゃんは要らない子だった。
要らないと言われ続けてきた。
だから久玲葉ちゃん自信も要らないと思っていた。
🧸*̩̩̥ (…なんで産まれてきたんだろう。)
当時。久玲葉ちゃんは多重人格なんかじゃなかった。
普通だったし、普通だと思ってた。
久玲葉ちゃんは本当の親に会ったことがない。
いや。その時の記憶を思い出したくない。
思い出せない。私は久玲葉ちゃんじゃないから。
本当の親に育てられていたのは五歳までで、
そこからは施設に入れられた。
二歳くらいまでは普通に育てられていた。
久玲葉ちゃんにはお兄ちゃんが居た。
とても優しくて。笑顔がとても似合っていた。
久玲葉ちゃんはお兄ちゃんと仲が良かった。
喧嘩なんてした事が無かった。
両親からしたらとても嬉しい事だろう。
久玲葉ちゃんはいつだって完璧じゃなくちゃ駄目だった。
周りがそうさせたから。
両親は頭が可笑しかった。
変な宗教なんかにはまり、
久玲葉ちゃんやお兄ちゃんにいつだって完璧を求めた。
久玲葉ちゃんは小さいなりに理解が出来ていた。
久玲葉ちゃんがギフテッドというものだったからだ。
それが本当かは分からないけど。
両親は久玲葉ちゃんの事を
[ギフテッドの子供。]
[ギフテッドの子供は賢い子。]
そう言っていた。
病院に行って検査をした訳でも無い。
両親の理想だった。
久玲葉ちゃんは両親の機嫌を取るのが上手だった。
両親の機嫌を取る事なんて私には簡単だったからだ。
でも。お兄ちゃんは違った。
機嫌を取るのが久玲葉ちゃんより下手だった。
お兄ちゃんはいつも両親に怒られていた。
両親の理想の子供を演じないから。
久玲葉ちゃんが二歳のとき。お兄ちゃんは十二歳だった。
両親はお兄ちゃんが
[出来損ない。]
だと、罵った。
久玲葉ちゃんは両親の理想の子供を演じていた。
お兄ちゃんが出来ない分も。久玲葉ちゃんが。
それでも。久玲葉ちゃんが成長すると共に両親は宗教へずぶすぶと沈んで行った。
その宗教では、
【変わらないものが美しい。】
【変わるものはけがわらしい。】
【変わらないものだけを愛す。】
というものを掲げて活動していた。
両親はいつもかけ過ぎと言う程、
香水などを掛けていた。
いつも香水臭かった。
【変わらないものを愛す。】
これが久玲葉ちゃんの家族を壊した。
両親は変わってしまうお兄ちゃんと久玲葉ちゃんを許さなかった。
[なんで変わってしまうの?]
[なんで分からないの?]
[なんで?]
口を開けば【なんで】しか言わなかった。
でも。変わるのは当然だ。
成長するのだから。
そこから両親は久玲葉ちゃん達を殴ったり、
蹴ったりし始めた。
そう。いわゆる虐待だ。
この頃から__いや。
久玲葉ちゃんは産まれてからずっと。
感情が無かった。
賢い子を演じないと。
両親から見放されるから。
見放されない為に。
賢い子を演じていた。
それなのに。
両親は久玲葉ちゃんを__
愛してくれなかった。
五歳の誕生日。
久玲葉ちゃんは死にかけた。
両親が___
母親が久玲葉ちゃんを包丁で切りつけた。
父親はお兄ちゃんを殴っていた。
久玲葉ちゃんは怖くて。悲しくて。寂しくて。
一生懸命叫んでいた。
誰かに気付いて欲しくて。
それが近所の人に届いた。
近所の人が警察へ通報した。
警察はすぐに駆け付けた。
久玲葉ちゃんとお兄ちゃんは施設に入れられた。
別々の施設に。
警察は両親を逮捕した。
久玲葉ちゃんは泣いていた。
🧸*̩̩̥「お兄ちゃんと一緒がいい。」
そう、泣き叫んでいた。
お兄ちゃんは
〈大丈夫。俺が大人になったらすぐに迎えに行くよ。それまでちょっとだけ待ってて?〉
そう言った。
この時は安心した。
久玲葉ちゃんは嫌々ながら施設へ行った。
施設の人は優しかった。
久玲葉ちゃんはそれが怖かった。
両親と似ていたから。
両親と重なっていた。
久玲葉ちゃんは吐き気がしていた。
隠れて吐いていた。
ご飯は喉を通らなかった。
夜は寝れなかった。
誰とも話せなかった。
完全に心を閉ざしていたから。
でも。
ある出来事で久玲葉ちゃんは変わった。
久玲葉ちゃんは久玲葉ちゃんの中に……四人の人格が出来た。
十二歳。十八歳。五歳。二歳。
そして久玲葉ちゃん。五歳。
二歳。話せる言葉は少ないけれど、小さい赤ちゃんのような存在で、とても可愛い弟だ。
五歳。久玲葉ちゃんと同い年で、双子のお姉ちゃんのような存在。こんな私にも優しくしてくれる。
十二歳。すぐにパニックになってしまうお姉ちゃん。引っ込み思案だが、集中力が人一倍続く。
十八歳。思ったことはすぐに口に出せる。面倒くさがり屋だけど、案外面倒見がいいお姉ちゃん。
久玲葉ちゃんは……久玲葉ちゃん以外の人格が出来たことで他の人格に頼ることが多くなった。
私には何も出来なかった。
分からないから。
久玲葉ちゃんの痛みを。苦しみを。
全て消す為。
__消し去る為に久玲葉ちゃんの中に出来たのに。
私以外の人格も同じだった。
久玲葉ちゃんは他の人格にさえも心を開き切れなかった。