好きだからこそ

※ユンギさん視点です。

コンコン……ガチャッ……

「入るよ〜」

「………何すか」

「…何か、機嫌悪い？」

やっと優柔不断な奴が帰ったと思ったら、また優柔不断な人が入ってきた。作業させてくれよ…

「機嫌は別に……ただ、進まねぇなって」

「ユンギはいつも詰めすぎなんだよ。たまには休むのも大事だよ？」

「ん、ありがとうございます……で？何の用事で来たんですか」

「やぁー……疲れてる奴に話すような事じゃないから、また今度にするよ」

「良いっすよ。話聞くだけなら疲れてるの関係ないですもん」

「………じゃあ、ちょびっと釘だけ刺させて。…実は、最近ホバと付き合い始めたんだけど…あんまりホバにベタベタ絡まないで欲しいんだよね…ほら、一応…恋人になった、わけだし…」

「………俺からはあんまりいかないですよ。あいつが勝手に来てるだけです」

「……じゃあ、来たらヒョンの方に来るように仕向けてよ」

「………面倒臭っ」

「やぁ！一言添えるだけで良いから！」

ホソガもそうだが、この人も…何故、直接本人に言わないんだ。ヤキモチ妬くからあんまり他の奴のとこに行くなって言えば良い話だろ。ホソガも勢いでいけるものを無駄に考えるとか抜かしてたし……

「…俺らを牽制するより、ホソガにちゃんと言った方が早いですって」

「ぅ……だ、だって………」

「？」

「……それで、重いと思われて、嫌われたら…？一ヶ月で別れるとか、嫌だし……」

「……馬鹿？」

「え？は？ば………」

「馬鹿かって言ったんです。そんなの、悩むよりGOですよ。好きだ、もっとイチャつきたいってそのまま言えば良いんすよ」

「……そう、かな………」

「ほら。さっさと言ってハグの一つや二つして甘い言葉かければオッケーですって」

「……何か雑じゃない？真剣に考えてるんだけど！それに、もしそれで嫌がられたらどうするんだよ！」

「ないって、ないない。ありえない」

「何で言い切れるの………ホバから何か聞いた？」

「……いえ？」

「聞いたな。何を話してた？僕に隠さなきゃいけないような事？」

「………自分で聞いて下さいよ」

「やぁー！それが出来たら苦労しないってさっきから言ってるだろ！」

「……俺らを介入して探り入れないで下さいよ。気になるなら自分で聞いて言えば良いのに…」

いざ知ったらこんなやり取りしていた事が馬鹿馬鹿しくなるほど単純な答えがあるというのに、何故遠回りしたがるのだろうか。…仕方ねぇか、この二人だもんな。他人の事は器用なのに、自分の事になると不器用になる。…そこが良いところなのは分かっているが…

「面倒見れないです。自分たちでやって」

「…さっき、ないって言ってたけど、やっぱり重いって思われたら…」

「うるせぇな、聞いてこいって」

「…ヒョンなんだけどな」

いつまでもブツブツ呟いているジンヒョンに失礼を承知の上で厳しく突き放せば、まだ言いたい事がありそうな雰囲気は出していたが、ため息をついた後、部屋を出て行った。…あの人も、この部屋を出てすぐにはホソガのところには行かないだろう。無駄に考えなくても良い事を考え始めるはず。…恋人は似たもの同士になるって聞いた事があるけど…

「……似すぎなんだよな」