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#_ 抗えなィ 三代要求 。
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km×gt🔞無し
なんでも許せる人向け
雑、話の流れ早い
「」→ぐちつぼ以外
『』→ぐちつぼ
ぐちつぼ視点
涼しさが残る昼頃、朝から10層攻略に勤しんでいた俺は疲れ果てて塔の前の柱に座り込んでいた。
沢山のパーティーがゲートに入って、出てきて、、、。
ボロボロな人もいれば達成感に満ち溢れて嬉しそうに称号を掲げる人もいる。
街の中で一、二番目に人が集まる塔の前は少々騒がしいが、パーティーが攻略の相談をしたりくだらない雑談しているのを盗み聞きするのは案外楽しい。
隣には一緒に10層攻略をしたこめしょうがいて道行く知人に声をかけまくっていた。
そんなに元気ならこんなとこに居座っていないでどこか出かけたら、と小言を言ったら「ぐちさんが心配なんで。」と返された。
心配するようなことなんてないし俺を理由にしてないで疲れてるならそう言えばいいのに、と言ったらちょっと睨まれた。
ぼんやり人の流れを見ていたらだんだんの塔の前に人が増えてきた。
黒い服に身を包んでいる人が多い、ということはこれから10層攻略に行くのだろう。
メンツも、前線を一緒に駆け抜けた人たちばかりだし。
がんばってほしいな〜なんて適当に考えていたら突然視界が黒い服でいっぱいになった。
見上げると綺麗な金髪を靡かせるたらこがいた。
「ぐちさん10層クリアした?」
俺の隣にどかっと座りたらこは言う。
『うんついさっき。』
「へー、やるじゃん」
『まあな。たらこは?』
そう聞くとむふー、と自慢げな顔をしながらこちらを見る。
「俺今から行ってくる。ぐちさんは何回もトライしたかもだけど俺は1発でクリアしちゃうもんね。」
なにかと煽らないと気が済まないらしい。
10層をクリアして気分が良い俺にそんな煽りは効かないけど。
俺はポン、とたらこの頭に手を乗せる。
いろんなチームの手助けをして前線から外れたたらこだけど負けず嫌いだから本当は俺より先にクリアしたかっただろうな。
それでも楽しそうに笑う彼に今日くらいはちゃんとしたエールを送っても良いかもしれない。
『がんばって』
少し頭を撫でてそう言う。
たらこは一瞬驚いた顔をしてから嬉しそうに笑った。
「まってて。すぐ攻略するから。」
俺の肩に頭を置いて珍しく甘えてくるたらこ。
疲れてるし、もたれかかられるの嫌だけど今は許してやろう。
「ねー、ぐちさん」
『なに?』
「俺が無事に10層クリアして帰ってこれたら、、、結婚しよ。」
「は!?!?」
「あ、呼ばれてる。俺そろそろ行ってくるわ」
『いってらー』
適当なプロポーズをしたと思ったらパーティーメンバーに呼ばれてたらこはゲートへ姿を消した。
俺はまた柱にもたれかかって景色を眺める。
「、、、いやまって!?何今の!ぐちさんがプロポーズされてた、、、!」
『こめしょーうるさい』
俺の隣で色んな人と雑談していたこめしょうは突然のたらこから俺へのプロポーズに理解が追いかないまま口をぱくぱくさせている。
他の人と話してたくせに“結婚”って単語が出た途端ぎゅるんとこっちを向いて割り込んできたのは流石に笑ってしまう。
「もー、こういうのがあるからぐちさんの隣離れられないんだよな」
頭を抱えてこめしょーが言う。
「とりあえず家かえりましょ。疲れてるんなら寝るのが一番。たらこさんが帰ってきて結婚されたら困るし。」
俺の手を引っ張って無理やり引きずってく。
ちょうどお昼時だしそろそろ飯にしてもいい。
抵抗するのも面倒で大人しく引きずられることにした。
「ぐちさんがプロポーズされてた、、、」
「はい?」
「ぐちさんがたらこさんにプロポーズされてた、、、」
『だーかーらー!』
こめしょうと俺とこんそめとかねごんで食卓を囲んでいるがこめしょうが元気なく呟くせいで全く飯が進まない。
パーティーメンバーの他2人は10層クリアしてすぐなのにカジノに入り浸ってしまった。
そろそろ帰ってくるだろうけど。
「ぐちさんが、プロポーズ、、、されてた」
『あれは“俺この戦争が終わったら今付き合ってる彼女と結婚するんだ。”みたいなあるあるフラグを建てただけでしょ。』
「えー、たらこのことだから本気で言ってるかもよ」
「変なこと言わないでくださいそめさん!今ぐちさんの説明で安心したのに!」
「あははっこめしょー苦労するね」
何回も「あれはフラグ」と説明しているのにこめしょうは納得してくれない。
納得してもこんそめやらかねごんやらのヤジでまた頭を抱える。
全く苦労しているのは俺の方だ。
こいつら俺で遊びやがって。
「そもそも!距離近いんすよたらこさんと!なんで頭撫でたりするんすか。あんなの俺にはしないじゃん」
『たらこは、、、なんか違うじゃん。べつにこんそめにもかねごんにもしないよ。』
「それが問題なんすよ!たらこさんだけ特別じゃん!」
『こめしょーにしかしないことだってあるしこんそめにしかしないことだってあるじゃん』
「それはいいけどたらこさんにやるようなことが恋人にやるようなことだとモヤモヤするじゃないっすか。」
『はー、めんどくさ』
「は」
「あ〜あ、、、」
「うわぁ〜、、、」
ピリッと空気がひりついたのを感じ取ってこんそめとかねごんがため息をついた。
別にこめしょうを傷つけたいわけじゃないし関係を悪くしたいわけでもないのに強い言葉が出てしまった。
だってこめしょうのことは大好きだしそれをなるべく伝えているのにこめしょうはいつだって俺がどこか行かないか心配になっている。
たらこと仲がいいこともわかってほしいし縛らないでほしい。
「めんどくさ、ってなんですか。ぐちさん、目合わせて。」
『、、、』
椅子から立ち上がり俺の肩に手を置いてこめしょうは突然真剣な声で言う。
なんとなく目を合わせられなくて下を向く。
こんなのまるで喧嘩じゃん。
そう思っても意地張っちゃって前を向けない。
こめしょうだって悪いんだし。
わがままばっかり言ってあれがやだこれがやだ、って俺はこめしょうのこと縛ったことないのに。
「ぐちさん、、、話そうよ」
『、、、なにを』
「、、、まず目合わせて、おねがい。」
「ぐちつぼー、あんま拗らせんなよ」
「そうだよぐっち。ちゃんと話さないと」
2人に諭されても話す気にはなれなかった。
俺も今冷静じゃない気がする。
お互い、1人の時間が必要だ。
ぐっとこめしょうの胸を押して立ち上がる。
『今のこめしょーとは話したくない。』
「っ!ぐちさ、、、いって、!」
引き止めようとするこめしょうにバチバチと電気が流れた。
一瞬意味がわからなかったが俺の手も同様にバチバチと電気をまとっている。
サンダーストームが漏れ出たのか。
俺は今、魔法の制御ができないくらいイラついてるのか、、、?
少し動揺しながらここで立ち止まるのは気まずすぎるから、と歩き出す。
初めて、完全な拒絶。
バタンッと玄関のドアを勢いよく閉めた。
陰鬱な気持ちと暗い部屋の空気とは打って変わって外はさっぱり涼しい風にまるで絵に描いたような青空。
なんか、しょうもなくなってきた。
あんなことで喧嘩して、1人で家出てきて。
『はぁ、、、』
思わずため息が出る。
今更「やっぱごめん」なんて言って家には帰れない。
とりあえず追って出てきた時に鉢合わせないよう歩を進める。
自然と足は塔に向かっていた。
塔からざわめきが聞こえる。
もしかしたらたらこ達が10層をクリアしたのかもしれない。
『!たらこっ!』
「ん?、あ、ぐちさん!」
『クリアした?』
「当たり前!」
たらこの髪は乱れ服は汚れところどころ破れている。
それでも満面の笑みを浮かべるたらこにこちらまで嬉しくなってつい抱きしめる。
さっきまでのモヤモヤなんかどっかいってしまった。
「あははっ、なに俺より嬉しそうじゃん!てかまじでやばかったよ、回復するとは思わんかった!」
『ね、でもあれで終わったらちょっとアッサリじゃない?』
「まーねー?」
たらこはぐーっと伸びをしてさっと髪をかきあげる。
「そーいえばさ、結婚、しよ?」
『あ、』
突然センシティブな話題に触れられて体が固まる。
それが原因で喧嘩してるんだった。
『今喧嘩してんだよね、こめしょーと』
「え?俺のせいそれ?しーらね」
『もー、どうしてくれんの、、、。!たらこあぶなっ』
スキルの暴発かアーチャーの鋭い弓がたらこの背後から飛んでくる。
止める算段なんてないが咄嗟にたらこのうしろに手を伸ばす。
とその瞬間ドン、と誰かとぶつかって背中が押された。
『え』
「え」
俺とたらこの唇が重なった。
柔らかい感触、“キスした”と理解する前に歯がぶつかりガチっと嫌な音が鳴った。
『っ、いって!』
「、ぅえ、?」
ヒュンと2人の横を矢が通り過ぎる。
止める必要はなかったらしい。
『ここでスキル暴発やばすぎない?』
「、、、え、いや、、、ファーストキス、」
『、、、は?』
目の前には唇に手を添えたたらこが顔を真っ赤にしていた。
普段のちょっとスカしたようなバカにするような表情でも、優しく俺を見る目でも頑張ったねって褒める目でもない。
初めて見た、こんな真っ赤にして状況が理解できていないのか困惑している顔。
罪悪感か、ドキッと心臓がなる。
いや、でもまてこいつ、、、
『今のは事故でしょ、!』
さっきのを“キス”だって?
そんなんダメだ。
いくらこめしょうが見ていないからと言ってこめしょうじゃない誰かと“キスした”なんて事実を残しておくわけには行かない。
あれは事故。
事故だと言うことにしなきゃ都合が悪、
「ぐちさん、、、?」
『え』
「今、キス、、、して、、、た?」
こめしょう視点
「追いかけなよ」
のんびり飯を食いながらこんそめは言う。
俺がぐちつぼが出ていったドアをアホみたいに眺めていたから。
頭の中ではいろんな思考がぐるぐるしていたけど一番思ったのは“初めて喧嘩した、、、”という浅い感想だった。
「早くしないとどこ行ったか分かんなくなっちゃうよ」
突っ立ったままでいる俺にかねごんも声をかける。
俺たち、初めて喧嘩したはずなのにこの2人は何故こんな対応に慣れているんだ、、、?と思ったがきっとぐちつぼと喧嘩したことがあるからだろう。
なら2人の言うことに従った方がいい。そのほうが簡単に解決しそう、だけど、今ぐちつぼに会いに行って何を話せばいいか、、、。
「ちなみにほんとに急いだ方がいいよ。こういう時ぐちつぼってたらこに会いたがるから。」
「いってきます」
うだうだ考えてたけどそうなったら流石に走るだろ。
勢いよくドアを開け外に出る。
不安や悲しさとは裏腹に外はあまりに眩しい。
少し目を細めながらぐちつぼが行きそうでたらこが居そうな場所へ走った。
「いた、、」
塔に入ってぐちつぼが好きな9層を最初に覗いてみよう。
そこで1人へこんでるかも、と思って塔の入り口に走ったがまさかの入り口で見つけてしまった。
あまり落ち込んでいるようには見えない、むしろニコニコしている。
少し安心したような、モヤモヤするような。
てか、まじでたらこさんと会ってる、、、。
急いで話しかけよう、と階段を駆け上がり声が喉まで出かかった瞬間だった。
一瞬だけど2人の唇が重なったように見えた。
見間違いだと思ったけどその後、たらこが顔を真っ赤にして照れるから確信に変わった。
なんとなく冷静になって話せる気がしたのにその瞬間頭が真っ白になった。
「ぐちさん、、、?」
震える声で話しかけたら気まずそうにこちらをみるぐちつぼと目が合った。
「今、キス、、、して、、、た?」
『っ、いやちがっ!』
「あっ!2人いたー!」
聞き慣れた声にバッとそちらを向く。
見るとじらいちゃんといちはちさんがこちらに手を振っていて後ろにはこんそめとかねごんが気まずそうに着いてきていた。
「今からみんなでボス周回しよーって!お金稼ぎたいんだよね〜」
おそらくカジノで全財産を溶かしたのであろうじらいちゃんが楽しそうに言う。
俺は一瞬ぐちつぼを見る。
今?と思いながら2人の喧嘩でチームに迷惑をかけるわけにも行かない、と思いゆっくりと頷いた。
いつの間にかたらこはチームに呼ばれていなくなっていた。
ぐちつぼもゆっくりと頷く。
「じゃこのままいっちゃおー!ぐちさんの魔導書持ってきたよ」
『ありがと、、、』
チラチラこちらを見てすごく申し訳なさそうにするから本当にたらことキスしたんだろうな。
、、、なんで?どうして、俺は?
「、、、こめしょー」
こんそめが小声で俺を引き留める。
「じらいちゃん止められんかったわ、ごめん。、、、なんとかなりそ?」
「、、、大丈夫っす。戦闘はちゃんとやるんで」
「、、、心配なのは戦闘じゃないんだけど、、、まあいっか」
俺があまりにも怖い顔しているからかこんそめは俺と話すのを諦めてゲートに入っていく。
俺は少し呼吸を整えてからゲートに入った。
『やば、俺死、』
「オッケーぐちつぼ俺起こしに行く!こめしょータゲひいといて!」
「オッケー!」
『、、、ごめんごめん、ミスった、』
「ぐちさん死にすぎじゃない?」
もう何度目かにもなるダウンに俺は呆れてそう呟く。
今日のぐちつぼはミスが目立つ。
それもそうだろう。メンタルも精神力も強くないぐちつぼが喧嘩相手と仲良くボスに行けるわけがない。
『は?こめしょーが守ってくれないから死んでんだけど』
「はいー?ボスの目の前で舐め詠唱してるから死んでんすよ!」
『こめしょーが守ってくれないから自分でわざわざバフかけてんだよ!』
「そこ!喧嘩してないでボス殴って!」
自分が舐め詠唱して死んでるくせに俺のせいにされたって困る。
ぐちつぼを見るとこちらを睨んでるから俺も睨み返しとく。
冷静にボス討伐して、メンバーには絶対迷惑かけないで、そのあとちゃんとぐちつぼと話して、、、って考えてたのに実際は何故か言い合いをしている。
俺もちょっとイラついてるんだろうな。
普段だったら「死にすぎじゃない?」なんて言わない。
『、あ』
「!、ぐちさんっ!」
自分にバフをかける魔法の詠唱で足が止まったぐちつぼに敵の攻撃が襲いかかる。
まずい、守らなきゃ。
喧嘩してる今でもナイトの本能か足はぐちつぼに向かって全走力で走っている。
頭上から体を焦がす雷が落ちる1秒前、ぐちつぼに手を伸ばし巻き込むようにして床に転がった。
雷が俺たちの体ギリギリのところに落ちる。
「あっぶね、、、」
ぐちつぼを下に床に倒れ込んでいたがすぐに立ち上がる。
次の攻撃が怖い、息をついてる暇なんてない。
それにぐちさんはどうせすごい辛そうな顔をしてるんでしょ。
そんなの見たくない。
「これちょっとバラけよう!一撃きたらやばい!」
かねごんの声に俺たちは走る。
前よりもボス戦が不安定だ。
いつもなら雑談でもしながらできるはずなのに、今は初歩的なコールがないと上手く動けない。
「ぐちさん離れすぎ!そっち“身代わり”届かないからこっち寄って!」
『、守られなくても死なないから大丈夫!』
「はぁ!?」
『自分のバフで耐えるし、!』
“身代わり”のスキルはダメージを俺が代わりに受けることができる。
ぐちつぼだって何回もそれで助かってるはずなのに意地張るなんて。
イライラするしモヤモヤする。
全部嫌。
好きなのに、大好きなのに。
こんなしょうもない喧嘩でぐちさん傷つけたくないのに。
、、、そうだ。そめさんが言ってた。
付き合った日、それをこんそめに伝えに走った日。
喧嘩した時、俺がどうしたらいいか、、、
「ぐちつぼと付き合ったんでしょ?知ってるよそりゃ。あいつがすげー嬉しそうに話してきたから。」
「えっ?」
せっかく伝えに走ったのにこんそめはすでにその事実を知っていた。
知っていたことにも驚いたがなにより“嬉しそうに”なんて言葉に驚く。
だってすごいあっさり付き合ったからお世辞にも嬉しそうには見えなかった。
それに恋愛話を嬉しそうに語るイメージもなかったし。
「ツンデレだから。扱いには困るだろうね」
そんな俺の疑問を察してかこんそめは言う。
「扱い、、、まあ俺にかかればイチャラブカップルの出来上がりっすよ!」
「そーかなー?案外喧嘩とかするかもよ。」
「絶対しない!絶対しないけど、、、もし喧嘩したらどうしたらいいんすか。俺暴言でどうにかしてきたんすけど」
「暴言対決も悪くないけど、、、どうせ溺愛してんでしょ?暴言なんて吐けないね」
「そっすね、、、。まじで大好きっす。」
こんそめはふふっと笑って“こっちが照れるわ”なんて小さく言う。
それから少し遠くを見る。
ぐちつぼを頭の中に写して愛おしそう微笑みながらこんそめは言った。
「どれだけ好きでも、あいつは愛されてる自覚持たないんだよ。喧嘩してもさ、こめしょーはちゃんと“好き”って気持ち伝えてあげてな。俺らはそんなん言えたもんじゃないから。」
イラつくけど、こんな状況でも意地張ってるぐちつぼのことしょーもないって思ってるけど、大好きだから。
「、、、っ、ぐちさんには!なるべく傷ついてほしくないのっ!!だから近くきて!大人しく俺に守られろ!」
ぐちつぼの足が止まる。
一瞬泣きそうな顔してから“本意ではないけど、、、”みたいな感じでこちらに走ってきた。
気合い入れて言ったせいで思ったより大きな声になってしまったからさすがにぐちつぼもこちらにこざるを得なかったんだろう。
でもいい。ちょっと伝わったならいいや。
無事に“身代わり”を撃ってダメージを肩代わりする。
『、、、だからそんな縛ってくんの?俺がたらこと関わって傷つくかもしれないから、、、!?』
「!、それは違う!、、、不安だから!」
モンクが敵を殴る音、ウィザードの魔法の音、敵の攻撃の音、ヒールの音。
戦闘の音に混ざって俺たちの声が響く。
ダウンしないようにフィールドを駆け回りながらも言い合いは止まらない。
冷静にボス討伐なんてもう無理。
「嫉妬くらい誰でもするじゃないっすか!たらこさんに嫉妬して悪い!?」
『自分だって色んな人と仲良いくせに俺が仲良くすんのはダメって言いたいのかよ?』
「〜っ!そうだけど!俺は友達にプロポーズされないしキスもしない!!」
ガキン、シュパッ
片手間で敵を殴る。
こんな口喧嘩してるのに常にぐちつぼに“身代わり”を撃って守って、ぐちつぼは範囲攻撃で雑魚敵を処理して。
やることやりながらも喧嘩は勢いを増す。
『だから!プロポーズはただのフラグだしキスは、、、事故!!』
「やっぱキスしてたんすね!!最低!」
『はぁ!?だから事故だって!』
「いい加減!気づいた方がいいっすよ!たらこさんはぐちさんがっ、!」
「それはだめ。」
バシッと口が塞がれる。
こんそめが殴るようにこめしょうの口を封じたが一瞬でそれは解かれる。
そのかわりこんそめからの鋭い視線に俺は口を噤んだ。
確かにそうだこれは俺の口から言うべきではない。
『分かってるよ、、、!たらこからの好意なんてとっくに気づいてる!でも、、、こめしょーの隣にいるじゃん!こめしょーからの愛もちゃんと分かってるわ!!』
「え」
ピタッと足が止まる。
それはすべてを説明する言葉だった。
めちゃくちゃ仲良い人に好かれてもでも、それでもぐちつぼは俺の隣にいる。
なかなか好きって言ってくれないしボディタッチもあまり許してくれないし嫉妬してる様子もないから不安になってたけどぐちさんはずっと不器用なりに俺に伝えてくれてた。
“隣にいる”ってそれだけで愛なんだ。
「喧嘩すんのはいいけど足動かして〜!」
じらいちゃんの声でまた走り出す。
イライラは消えてる。
『なんでそんな不安がるんだよ!好き同士だから付き合ってるんじゃん、、、』
「ごめんぐちさん、俺が悪かったですほんとに。ぐちさんからの愛に気づけてなかった俺が悪いです。」
あまりの手のひら返しに喧嘩を見守りながらボスと戦ってくれていたパーティーメンバーたちがたまらずこける。
だって!こんなん無理。
俺が悪いじゃん明確に!
それにぐちつぼがこんな悲しそうな顔して、普段言わない“好き”を言ってくれたのに喧嘩を続ける必要があるだろうか。
いや、でも
「まって普段好きって言ってくれないぐちさんも悪くない!?」
うん。やっぱ言ってくれないと分かんないし。
『は?それくらい察せ!』
「無理でしょ!」
『俺は伝えてるつもりだし!』
「嘘つけ!てか好意あるって分かってる相手に気安く唇許してんの今考えたら気分悪くなってきた!」
『だからあれは事故だって!』
「事故って言ったらなんでも許されると思ってます?」
『、、、たらことの距離感は気をつける』
「、、、やっぱたらこさんに負けたみたいで悔しいからいい。」
『は?』
また口がまわるまわる。
でもさっきみたいな鋭さはない。
いつもの言い合いみたいで楽しさすら感じた。
「もう不安なんかじゃないです〜!どうぞたらこさんとイチャイチャしてください?」
『最初っから不安になってんのが意味わかんねえんだよ!』
「でもやっぱり普通に嫌!俺の見てないとこでして!やっぱ見てるとこで!」
『なんなんだよ?てかイチャイチャはしないよ!』
「おーい!ボス戦終わってるよ!俺たち先帰るよ!?」
いつの間にか辺りは静かになっていた。
2人で棒立ちで言い合いしてたのにそれに気づかなかった。
すでに階段を登り今にもゲートを潜ろうとしてるメンバーたちは皆呆れ顔でこちらを見ている。
俺たちは顔を見合わせてふいっとそらしてから笑みをこぼす。
隙を見せたら負けだから。
『、、、こめしょー』
「なんすか」
『、、、さっき、、、守ってくれてありがと』
「!、ナイトなんで当たり前っすよ。」
『違うでしょ。俺の彼氏だからでしょ。“大人しく俺に守られてろ!”だって笑』
「ちょ、バカにしてますよね!?うわー、クソ恥ずい。」
『ちゃんと守れよな。俺は一生こめしょーの隣にいんだから。』
ぐちつぼは一歩前を歩きながらそう言う。
顔は見えない。
でも照れ隠しのように手に持った魔導書をパラパラ意味なく捲っている。
守らなきゃ。
大切なもん全部。パーティーメンバーもぐちさんも、ぐちさんが大事にしてるたらこさんも。
全部俺が守る。
あとぐちさんは俺のことが大好きみたいだからちゃんと俺もぐちさんの隣にいるんだ。
小走りしてぐちつぼに追いつき無理やり手を取る。
恋人のことがこんな愛おしくなるなら喧嘩も悪くない。