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ある1本の電話がかかってきた。
祖母からだった。母は驚いた表情で話していた。
電話が終わると母は「すぐ家に帰るよ!」そう言った。
状況がつかめなかった。
私は母に電話の内容を聞いた。
祖父が足を滑らし川に落ちた──────────
私は思わず
「今日は何個乗り物乗れたかな〜」
と現実逃避をするような言葉をなげかけた。
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」
母が続けて言った。
私は言葉が出なかった。
急いで遊園地を出て車に乗り込んだ。
──────────
実家に着いた。
玄関に入りお風呂場へと進んだ。
手洗い場には真っ赤に染った水の中に祖父の服が浮かんでいた。
私は頭の中が真っ白になった。
お風呂場を後にリビングへ行った。
私︰「じいちゃん大丈夫かな、」
母︰「大丈夫…」
そう言って泣きそうな私を抱きしめた。
その後知らされたのは祖父が亡くなったという事だった。
今にもこぼれそうな涙を堪えながら自分の家へ帰った。
──────────
葬式の日車に乗り込む前の駐車場で
「あの時雨でも降って中止になればよかったのに」
母がそう言った。
後から聞いた話だと祖父を助けようと川に飛び込み祖父の頭を水から出すと祖母の胸の中で「はぁ」と息をしたらしい。
葬式場にいた死化粧をされた祖父はなんとなく幸せそうな顔をしていた気がした。
祖父の顔に手を触れるとあとの時とは違ってとても冷たくて硬かった。
私はその時初めて人の死を理解した。
4年ほどの月日が経ったある日────
私はふと3DSで昔にとった祖父の動画のことを思い出した。
押し入れに閉まっていた3DSを取りだして確認をした。
しかしその動画はなかった。
あの時「またじいちゃんのことはいつでも撮れるし」
そう思いながら動画消したんだった。
私は(あの時動画を消さなければ)なんて思い後悔をすることが多々ある。
それから私は何気ない日常を当たり前だと思ってはいけないということを忘れずに1日1日を大切に過ごしている。
私は高校生になった今でも電話がかかってくると身近な人の不幸なのでは無いかと思ってしまい怖くなる。
自分の幸福が他人の不幸を招くのではないかと考えてしまうこともある。
あのブレスレットを見るとあの日のことが鮮明に蘇る