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凍える寒さは芯から身体を冷やしていく。
冷やすなんて可愛げのある言葉で済むような状況ではないのだが。
薄い小麦粉生地の様に体を覆うにしても効果の無さそうな布団で身を縮こませながら白い吐息とかじかむ手を擦りながらとこに臥せる。
「……はは、笑えねぇ。経済がガタガタだからってンな熱でぶっ倒れる羽目になるなんてよ。」
寒過ぎてガタガタと口も、歯が歯とカチンカチンと音が鳴るほどに震えが止まらない、寒いのに熱い。
こういう時は暖炉やスープで温まりたいところだが、生憎と芳しくない現状と不足がちの物資が物語っている。
「はぁ…」
言い出しっぺは自分だというのに外部からの縁が完全に切れるのは意外と寂しいもんなんだなと噛み締めることになった。
「勝手に自滅しないでよね」
軋むベッドと呆れた様子で溜息をつきながらペラペラの薄布を剥ぎ取られ暖かな毛布と羽毛布団が被せられる。
「…はっ、お前がンなに優しいのは何かの前触れかよ?」
「人手が足りないんだから早く起き上がってくれなきゃ困るよ。」
よくこんな布団で居られたねと悪態つかれながら、差し出されたボルシチを渡されても指先は熱を感じるには少し遅かった。