イギリスは、目の前で見てしまった。
北朝鮮の身体が、爆発の炎と衝撃と破片、爆風によって、
バラバラになる所を────
最悪だ。
味方が無惨に、目と鼻の先で2人散った。
イタ王の瞳は怒りに満ち満ちており、それは殺気と言うべきであろう。
後悔していた。
何故2人がこの様な目に遭うことを阻止しようとしなかった。
誰かが言っていた通りだ。誰だったか、
過去に、その 誰かが私を意地っ張りだと称していたのだ。
「…」
イタ王は、近い距離で起きた爆発に軽く巻き込まれていた。頬など、所々に破片の掠った傷が見え、ほんの少しの赤い血が滴る。
そのままイギリスを横目で見、話しかけた。
「皆、ioの事を貶すんね」
「確かに、ioは負けた。裏切った。だけどお前らは…」
言葉を選びつつ、哀愁を感じる様な運び方に僅か、昔の感情が蘇りかけた。
「…許せない。」
イタ王のこの一言には、今までの莫大な感情がひとつに込められている。ただその一心で此処に居る。
あまり乗り気で無いイギリスに、刺さる言葉をもう一押し。
「そっか、君は『栄光ある孤立』だから、わかんないかァ!」
英国紳士はその皮肉がお気に召さなかったらしい。
「ふざけているんですか?…辞めていただきたい所ですね。」
敬語で話すその言葉にはどこかしら威厳や重みを感じる。過去の事を引き釣り出して掛け合いに出してくる奴は嫌いだ。
「嫌なんね♡」
明るい声色で話す彼はイギリスに銃口を向けていた。イギリスは動じず、杖刀を出す。
よく手入れされた刀身は白く、また青く光っていた。
「イギリスはさっさと処分しなくちゃいけないって言われてるんね!」
体感10秒程の沈黙ののち、杖刀の先がイタ王の目と鼻の先まで振り下ろされた。
「ぅわ、びっくりしたぁ!」
バカにする様な口調で大袈裟なリアクションをするイタ王。
「仕留める気だったのですがね。…」
自分の手に握られた杖刀をゆっくりと眺めるイギリス。是を握るのは相当久しぶりなのではないだろうか。
お互いに早目の決着を望んでいる事は分かり切った事だ。
次で殺る。
2つ分の決意がそこにあった。
先に仕掛けたのはイタ王。
「ッ!危な、」
イギリスは間一髪、銃弾を食らう事無く済んだ。すかさず反撃の突きを入れようとするも、イタ王も同じくひらりと躱してしまう為決まらない。
イタ王は銃、イギリスは杖刀である為イギリスは少々不利とも言える状況。流石の英国であろうが至近距離まで近付いた状態で撃ち込まれてしまえば反応する事は不可能だろう。
お互い、休みの無い攻撃を続けているがイタ王はまだ余裕のある表情を見せていた。
また、相手の癖が少々出てきた事で攻撃が意味のある物と成っていく。
イギリスの裾は既に何ヶ所か切れている。だがイタ王も同じ程度、軍服の所々が切れている。
イタ王の銃弾一発を躱したイギリスが飛び付くように斬りかかった。
イタ王の首元を斜め上、右から左へと刃は振り下ろされた。
しかし、イギリスの手にはなんの感触も伝わって来なかった。
それは攻撃の失敗を意味していて。
今迄以上に大きく振りかぶった分失敗の反動も大きい。イギリスの体制が崩れ、隙が生まれてしまったのだ。
イタ王がその一瞬を見逃す筈が無かった。
すかさず襟を後ろから強く掴み引き寄せられる。
銃による攻撃を警戒していたイギリスは少々動揺を見せた。何をされるのか、と身構える暇は無いに等しかった。
瞬き一つ分の短時間の間にイギリスは首を絞められていた。
イタ王の長い腕でイタ王よりも小柄なイギリスの細い首を掴まれ、絞められ、足の爪先は地面に着いていない。
「ッう゛、──ッぁ゛」
喉元から呻き声が溢れ出てくる。
透き通った青の瞳からは、生理的な涙が頬を伝っていた。
「苦しいでしょ?」
嘲笑う様な口振り。
「沢山の国を苦しめる側だったお前はこんな感覚知らないだろうね。」
イギリスは何も言い返せない。
ただ、腹いせなのか、自由の効く足でイタ王のはらわたを思いっ切り蹴り上げた。
イタ王の表情が歪む。
イギリスはその隙を突いて逃げようと試みた。だが、それは叶わなかった。
先程の構図とは打って変わって、イタ王がイギリスに馬乗りになる姿勢。
体重をかけられ、それまでの倍以上の力をかけられイギリスは抵抗さえままならず苦しむ。
「ぁ゛ッ…ぅッ、──離せ、ッ… …………」
もう何も考えられ無かった。
ただ、辛さと遠のく意識の中で思った。
敗北なんて有り得ない筈だったのに、
と。
「さようなら。お馬鹿さん。」
イタ王の言葉を最後に、イギリスの身体は動かなくなった。
〜本日の犠牲者〜
イギリス
〜残り 生存者〜
アメリカ
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中国
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国連
国盟
日帝
イタ王
ナチス
パラオ
コメント
8件
流石イタ王、容赦ない… 戦闘描写かっこいいですね!
イギリスぅぅぅぅぅぅぅ?!?!
イ、イギリスゥゥゥゥゥゥ