コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私、この惑星には、愛とか恋なんてものは存在しないと思っていたんです。
だってそうでしょう? みんな自分のことしか考えていないんだから。
他人を思いやりながら生きられる人間なんているのかしら? 少なくとも私は見たことがないわ。
あなたは私が出会ったなかでいちばん変わった人だと思う。
それにとても親切だし、やさしいし、おもしろいし、かわいいところがある。
私はもうすぐ死んでしまうけど、あなたのことは忘れないわ。あなたみたいな人には二度と会えないでしょうから。
「おまえさんが俺のことを忘れたとしても俺はずっと憶えているぞ」なんてセリフがあるけれど、私の場合、本当にそうなってしまいそうだもの。だから、私が死んでからも、いつまでも元気でいてちょうだいね。
あなたが死んだら私は泣くわ。泣きすぎて干物みたいになってしまうかもしれない。そうしたら、きっと、この世の果てまで探しに来てくれるわよね。待ってる。いつまでも待っているわ。
死んじゃえばよかったんだと思う。生きてても楽しくないし。でも、今さら死にたくない。だって、死んだらあなたに会えなくなっちゃうじゃない。それに、やっぱり死ぬのは怖いもん。
ねぇ、聞いてもいいかなぁ? わたしたちこれからどうなるのかしら? 未来に希望はあるかしら? もしあるとしたら、その未来ではどんな生活を送っているのかしら? それとも、このままここで朽ち果ててしまうだけなのかしら? わたしにはわからないわ。
わからないけれど、でも、ひとつ言えることがあるとすれば、今ここにいるわたしたちがとても幸せだということ。
だってここには苦しみはないんですもの。
それに、このお庭のお花はみんなきれいでしょう? だからきっと大丈夫だと思うの。
えぇ、そうよね。
わたしたちはもう死んでいるんだから。……ちょっと待って、何か聞こえたみたい。
あら、ほんとうだわ。誰かの声みたいなものが聞こえる。
幻聴じゃないと思うけど……。
行ってみましょう。
あれれっ? これってどういうことなんだろう? 声の正体はこれで間違いなさそうだけれど、いったいどんな力が働いているのかしら? わたしにはわからないわ。
「あなたは誰?」と少女はたずねる。
「ぼくの名前はJ。ぼくたちの名前だよ」と少年は答える。
「あなたたちが何者なのか教えてくれるかしら?」
「もちろんさ!」
彼らはまず自分たちのことを話し始める。彼らの名前はJとIというらしい。そして二人は兄弟だというのだ。
彼らが言うにはこの世界にはもともと二人しかいなかったのだという。