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今、俺の手元にボールがある。ひろゆき、俺、戸部しかいない状況で戸部に当てたら俺とひろゆきが死ぬ。そんな状況だ。
「戸部!よく聞け!俺は今からお前にボールを渡す!それをひろゆきに当てろ!」
俺は大声で戸部に呼びかけるように言ったが返事は帰って来なかった。そうして俺は投げずに転がして戸部に渡した。戸部はボールを取り、大きく息をすった。
「高橋。何故お前は俺達を生かそうとするんだ?敵だぞ」
と質問を投げかけてきた。
「生かす理由?お前らは俺と同じだからだよ。お前らも第1ゲーム『 双六』をしたんだろ?だったら俺と同じだ。」
「どういうことだ?」
「お前は友達は居たか?」
「ああ。居るぞ」
「そいつらは今生きているのか?死んでいるのか?」
「・・・」
「それが答えだ。俺も全く同じだ。その気持ちが俺の気持ちだ。同じ気持ちの相手を殺したくない。それだけだ。」
「なるほどな。高橋、お前は興味深い人物だ。お前と戦えたことに感謝する。」
そう戸部は言い、ひろゆきに当てた。
「ありがとう。戸部。」
「おい!リーダー!先に言ってるぞ!」
「あぁ。俺も行くから。」
と、俺とひろゆきは最後の言葉を交わした。
「ここで問題だ。戸部。この状況で生き残るのはどちらでしょう」
「・・・。俺だ。ボールはお前が持っているこちらから何も手出し出来ない。」
「は…?おい!リーダーそれが狙いだったのかよ!自分を犠牲にする事が!」
と牢屋側から色々な声が聞こえてきた。多分遥輝が看板の事を喋り、見せないようにしていたのだろう。
「とべっちー!死なないで!」
「高橋さん!」
みんなの声は俺の耳には届かなかった。
「戸部。後ろを向け。」
「分かった」
そう言い、戸部は後ろを向いた。この時点で俺の負けは確定していた。
「ありがとう。俺の分までこいつらを引っ張ってくれ。お前らのチームもな」
「分かった。」
俺は最後の言葉を言い終えて、戸部に向かって思いっきりボールを投げた。
「ごめんな。みんな」
と言い残し俺は死ぬ覚悟を決めた。
しかし結果は違った。俺はあいつの事を少しばかり舐めていた。あいつはこちらを向き、ボールをキャッチしたのだ。そうして俺に投げつけた。人間とは思えないほどの速度だった。
そうしてドッジボールは幕を閉じた。