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第4話「はじめての挫折味」
翌朝。
りんは元気に登校…するはずだった。
階段の途中で、立ち止まる。
りん(昨日の帰り、なんか…悔しかったなぁ)
なおがすぐに察する。
なお「りん。落ち込んでるの?」
りん「ちょっとだけ!ほんのちょっとだけ!」
なお「10割中、何割?」
りん「……8割」
なお「大ダメージじゃん」
教室。
みなとと目が合う。
りんは笑おうとする。
けど。
胸がギュッとなって、
視線をそらす。
みなと「……?」
颯「おいおい、どうした全力少女」
なお「こういう時はそっとして」
颯「なるほど」
昼休み。
昨日作ると言っていたお弁当を、
りんは持ってこなかった。
颯「おい、ハート0個かよ」
りん「今日は気分的に…」
なお「いいよ、休むのも大事」
みなとは静かに見ていた。
放課後。
屋上で風を浴びながら、りんは呟く。
りん「なんでかな…昨日、すごく悔しかったの」
そこへ――
ドアが開く。
みなと「りん」
りん「!」
みなと「一緒に帰らない?」
りんは目を丸くして、
少し泣きそうな笑顔で頷いた。
階段を降りながら、
りんはそっと言う。
りん「藤宮みなとくんは…優しいね」
みなと「そうかな」
りんの胸の中で、
再び火がついた。
りん(よし、また全力で行こう!!)
なお「回復早っ」
颯「全力恋愛スプリンターすぎる」
そしてりんは宣言する。
りん「明日は絶対、勝ちに行く!!」
誰に、とは言わず。
でも、
みなとには聞こえていた。
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