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天樹
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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
2nd season
最終章 『囚われた名探偵』
〜命と引き換えに〜
第1話 行方不明の主様
深夜――。
『ベリアン、主様はどこにいる?』
『それが、1度屋敷を出てから戻ってきてないのです。』
『部屋に荷物も置いていたし、そんな遠くにはいけないはずだ。』
『でも、一つだけ妙なのは――。剣を持って出掛けたこと。だな。』
年長者の4人が顔を見合わせる。
『主様ならやりかねません。百合菜様に拒絶されたショックで…。』
『一刻も早く主様を連れ戻さなければ…っ。』
担当執事8人は屋敷を出て主様を探し始める。
一方その頃――。
『……。』
(どこ行ったんだろ。お姉ちゃん。みんなに心配させるなんて。元の世界にでも帰ったのかな。)
私は、指輪を外し、元の世界に戻る。
『帰ってきてないか。てっきり元の世界にいるのかと思った。』
(パパとママは仕事か…。)
私は自分の家の中を歩いた。
『…お姉ちゃん――。』
私はお姉ちゃんの部屋の扉を開けた。
『お姉ちゃんの匂い……。』
ボフッとベットに横になる。
ふと目に入った本棚に何冊も同じノートが置かれていた。
『これ、なんだろう。お姉ちゃんの仕事関係のかな。』
ペラッ…。
『○月✕日 今日は百合菜と久しぶりのデート。お揃いのものを買いに行った。』
『日記…?もしかして、今までのこと、ずっと…?』
そこには私との思い出の文字や、写真が沢山あった。
『お姉ちゃん……っ。私、なんてこと…っ。
私はこんなに愛されてたのに、お姉ちゃんに酷いことを――っ。』
ガタッと体制を崩し本棚にもたれかかった時箱が落ちる。
『いたっ。』
箱が頭に当たり、中から物が出てくる。
『ん、これは…。』
見覚えのある物が床に散らばる。
『お揃いのミサンガ…それに、アクセサリー…。ずっとここにしまってたの?この石…。』
××年前―――
『お姉ちゃんみて!これ!』
『はーとの石?』
『うん!きれい……。お姉ちゃんにあげる!』
『わたしに?』
『うん!お姉ちゃんのことだいすきだから!』
『ゆりな……。ふふ、わたしもだいすきよ。ありがとう。』
それは、珍しい色をしたハートの石。
海辺で見つけた私からお姉ちゃんへのプレゼント。
ポタッ…。
私は涙を流す。
『こんな、こんな昔のもの……大事にしてたなんて…っ。私、最低だ…っ。』
その石を抱え指輪をはめてみんなの元へ戻る。
『ベリアン……っ!』
『あ、主様…っ。どうしたんですか?』
『私、お姉ちゃんに謝りたい…。私、全然分かってなかった。お姉ちゃんにこんなに愛されてたのに……っ。あんな酷いこと……っ!』
『百合菜様…。』
ポンッ。
『!』
『よく出来ました。主様。さ、一緒に主様のこと、探そ?俺も一緒に謝ってあげる。』
『ベレン……うんっ。』
ベレンは私の涙を拭いニコッと微笑む。
一方その頃――。
スリックの街 ノックスファミリー
『なに?新しいマフィアのファミリーができた?へぇ、初耳だな。』
『新しくできたマフィアですが、スリックの街のマフィアのほとんどがその新設されたマフィアのファミリーに壊滅させられています。』
『新しい上に強いとは、どんなマフィアなんだろ。で、名前は?』
『『リリィファミリー』です。』
『!』
(リリィ…。翻訳すると百合の花。…どういうことだ。まさか…な。)
俺は犬のバスカルを撫でる。
『そのファミリーのことを調べろ。』
『はい!ボス!』
数週間経ったが、主様は見つからなかった。
デビルズパレス 執事の食堂
『新聞に載ってると思いましたが…。やはり載ってませんね。』
私は新聞を広げる。
『元の世界にも帰ってないとなると…どこ行ったんだ…主様は。』
俺はお茶をすする。
コンコンッ。
『失礼します、ユーハンさん、ハナマルさん。』
ガチャッ。
『ベリアンさん。どうしたんですか?』
『やぁ、久しぶり。』
『クロウザーさん?どうしてここに。』
『いや、君達に至急伝えたいことがあってね。みんなを集めて食堂に来てくれないか?』
デビルズパレス 食堂
『久しぶり、百合菜。ところで、お姉さんの麻里衣は?』
『お姉ちゃんは…居ないの。』
『そうだろうね。』
『え?』
『クロウザーさん、主様の居場所知ってるのですか?』
『知ってるも何も…クスッ。最近スリックの街を脅かしてるのは彼女だよ。』
『え……?』全員
私たちは言葉を失う。
『新しいマフィアのファミリーがスリックの街を騒がしてる。それが彼女が束ねるマフィア『リリィファミリー』。』
『リリィファミリー…?』
『ふっ。麻里衣がここにいないのが証拠じゃないか。君達喧嘩でもした?』
『っ、しました、でも、仲直りするために探してるんです。でも、見つからなくて困ってたところなんです。』
『皮肉だね。喧嘩してるのに君の姉はリリィ。百合って名前をファミリーの名前にするなんて。』
『……っ。』
『ファミリーの名前って大体ファーストネームとか、自分の近しい名前を入れるんだけど…。麻里衣は何を考えてるんだろうね。』
クスクスっとクロウザーさんは微笑む。
『……私も、分かりません。』
『双子なのに?』
『双子なのに、分からないんです。お姉ちゃんのこと。』
『――知りたくない?麻里衣が今…スリックの街でマフィアの女ボスとしてどんなことをしてるのか。』
『お姉ちゃんが…?』
一方その頃――。
ザシュッ!!
『ぐぁっ!!やめろ、やめてくれ!!』
『悪魔だ、赤い悪魔だ…っ!!』
ザシュッ!!グシャッ!!
『…今日の仕事は終わりね。はぁ、早く帰りたいわ。』
私は返り血を浴びた頬を拭う。
『ボス。』
『何かしら。』
『やり過ぎですよ。生きてる奴が一人もいないじゃないですか。』
『何か問題?この街のマフィアを壊滅させ死に追いやるのが私の命令のはずだけど。ルルーナ。私のやることに文句があるの?』
赤い瞳を照らしふふっと微笑む。
『クスッ。怖いお方だ。普通でいたら美人なのに。』
『一言余計よ。さぁ、ノックスファミリーにもご挨拶しに行かないと。』
『悪魔執事の主だった貴方が…こんな汚れ仕事をするなんて。貴方の妹、そして執事たちが見たらどう思うでしょうね。』
『……クスッ。』
チャリ…っ。
私は首元のネックレスに触れた。
『早く、あのお方に献上しにいきましょう。 』
『えぇ。麻里衣様。』
闇に落ちた彼女は…そう簡単にはこちらへは戻って来れない。
次回
第2話 マフィアのお姉ちゃん