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天樹
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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜2nd season
最終章 『囚われた名探偵』
〜命と引き換えに〜
第2話 マフィアのお姉ちゃん
『お姉ちゃんは今何をしてるか…?』
『知りたい?』
『……。』
私はぎゅっと手を握る。
(お姉ちゃんがもし自分の手を汚してるのなら止めなきゃ。手遅れになる前に。そしてちゃんと言うんだ。自分の気持ちを。)
『教えて下さい。クロウザーさん。お姉ちゃんが、マフィアのボスとして何をしてるのか。』
『マフィアの俺と取引するんだ。それなりの対価は用意してる?』
『私にあげられるものなら、なんでも…』
『おい主様…!』
『欲深いマフィアの俺になんでもとは。流石麻里衣の妹だな。まぁ俺も麻里衣の事は好きだし、後払いでいいよ。』
『今さらっとすごいこと言ったっす。』
『クロウザーお前主様のこと好きなのか?』
『ふふ、もちろん。気高くて美人な女性は好きだよ。俺の手で泣かしてやりたくなる。』
『うわぁ…=͟͟͞͞(( ᷇ᵕ ᷆ ; )引。』
『失礼だな君達。』
私は紅茶を啜る。
『マフィアのファミリーから聞いた情報によるとね。彼女はスリックの街の荒くれ者。及びマフィアを清掃してる。』
『清掃?』
『もしや、私がやったような…。』
『あぁ。君がやったのはあくまで主を守るためであって、殺してはいない。』
『!?』
『まさか、お姉ちゃん…っ!!』
私はガタンッと席を立つ。
『あぁ。彼女の清掃は息を止めるまでが清掃だから。スリックの街は今恐怖に侵されてるよ。彼女に脅えて彼女の傘下に下る奴や命知らずで歯向かう奴…スリックの街が物騒なのは知ってるけど、彼女が棲むようになってからより増したね。』
『嘘、嘘だ、お姉ちゃんは誰かを殺したり出来るわけない!!』
『…でも事実だ。残念ながら。彼女は今赤い悪魔として恐れられてるよ。スリックの街でね。』
『ルカスさん、もしこの話がグロバナー家及び、他の大地の方に知れ渡ったら…。』
『…っ。主様は罪人として処刑されると思う。いくらマフィアでも人の命だ。罪もない人を手にかけてるのなら…尚更だ。』
『そんな……。』
スリックの街 リリィファミリーのアジト
『〜•*¨*•.¸¸♬︎〜•*¨*•.¸¸♬︎』
『ボスご機嫌だな。仕事帰りだとは思えねぇよ…。』
『見ろよ、あの顔、返り血、だよな?』
『当たり前だろ。ボスは強いからな。やられることなんてないだろ。』
コツコツコツ……。
『麻里衣。帰ってたのか。』
『…!ディッド様。』
私は頭を下げる。
『返り血が付いてるぞ。』
『クスッ。美しさが増すでしょう?』
『冗談言ってないで洗い流してこい。美人が台無しだ。』
『ふふ、残念。』
私は鼻歌を歌いながらお風呂へ向かう。
『……ふっ。』
やはりあの夜お前を拾ったのは間違いではなかったな。
遡ること数日まえ、主様が行方不明になる夜のこと。
『…ここ、は……?スリックの街?わたし、いつのまにこんな所へ……。早く、帰ら―― 』
帰る……?どこへ……?
コツコツ…。
『おやおや、こんな夜にこんなところでどうした?綺麗なお嬢さん。』
『!』
声をかけられて振り向く。
そこには顔立ちがよく背が高い年上の男性。
『貴方は……?』
『そうだな…君の救世主とでも言っておこうか。』
『きゅうせい、しゅ…?』
『君の瞳、とても美しい。赤色の瞳…全てを飲み飲み引き込んでしまう…。そして、闇を抱えたその黒い瞳…堪らないな。』
グイッ!
腕を引っ張られてクビにネックレスをつけられる。
『はな、して、なにするの…っ。』
『私に見初められた証だ。君は悪魔執事の主だよな?』
『…っ。もう、違うわ。』
『それなら都合がいい。俺がお嬢さんを拾ってやる。その代わり、お嬢さんの強さを見込んで頼みがある。マフィアを清掃してくれ。君の手で……殺すんだ。』
『っ、何言ってるの…?殺す…?そんな、こと、できるわけな――』
と、その時だった。
シュッ!
香水のようなものを吹き掛けられる。
『……っ?』
(何、この甘い、香り…。)
ぐたっ。
私はその場に倒れ込む。
『麻薬作用のある薔薇。ハワイアンウッドローズ。種子に含まれる幻覚作用でろくに足も動かせないだろう。体内に摂取すれば…より従順になる。』
『やめ、て……。』
薔薇の花弁を口に含まれる。
……ごくんっ。
『――。』
私はそのまま意識を失う。
『君はこれから私の駒として働いてもらう。表向きはマフィアのボスとして、そして…裏では私の従順な可愛い花として…傍で可愛がってあげる。』
チュッ。眠りに落ちる瞼にキスをする。
お姫様抱っこをしてアジトへ向かう。
『次に起きた時君は…マフィアのボスだ。名前はどうしようかな…』
俺の腕の中で眠る姿を見て思いつく。
『白い肌…綺麗だ。そうだ。百合のような綺麗な肌…。リリィ。君の名前は今日からリリィだ。俺の可愛い百合の花。枯れないように、1番近くで愛してあげる。』
コツコツ……。
『俺の綺麗な百合の花。枯れるその時もきっと美しいだろう。でも今はまだその時じゃない。俺が欲しいのは――。リリィ。お前はまだ蕾の状態だ。君が綺麗に咲いて枯れるまで――そばで愛でていてやる。』
俺はゴクッとワインを飲み干す。
『お姉ちゃんのやってることが、フィンレイ様にバレたら――。』
『…残念だけど、捕まるね。そして、処刑される。』
『私のせいだ……っ。お姉ちゃんが、変わってしまったの。私があんなこと言わなければ……。』
『…落胆してるところ申し訳ない。麻里衣率いるリリィファミリーにはまだ一人ボスが存在する。』
『え…? 』
『ディッドって言う男だ。俺のノックスファミリーとここ最近敵対視してる。麻里衣を取り込んだ奴はきっと俺のファミリーに攻撃をしかけてくる。実はもう取り決めをしてるんだ。
いつ会って交渉するかって。まぁ、こっちも血生臭いことしたくないから穏便に済ませたいんだけどね。君たちが良ければ…一緒に来る?』
『!』
『我々は行きます。主様を止めるのは、我々執事の役目です。』
『流石。執事の鏡。それで、君は?百合菜。』
『……。』
『百合菜様。双子の姉である麻里衣様を止められるのは貴方しかいません。お願いします。必ずお守りすると約束します。我々と一緒に来てください。』
ベリアン達は真っ直ぐ私の目を見つめた。
私の答えなんて―――とっくに決まってる。
『行く。行くに決まってる!!』
ダンっとテーブルを叩く。
『お姉ちゃんの妹として、自分のした責任は取る。連れて行ってください!』
『その答えが聞けて安心したよ。交渉日は1週間後だ。それまで覚悟をしておいて欲しい。きっと、君にとって―――見たくないものを見せることになるから。』
次回
第3話 望まぬ再開
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