そうしてあたしはマイクを取り上げられ、そのままステージの袖へスタッフに引っ張り込まれた。
急ぎ幕が降り、スタッフが説明に出る。
「みなさん、先ほどは失礼しました。
あれは、七瀬リオのサプライズイベントです。
彼女の言ったことは、真実ではありません。
みなさんを驚かせるための、彼女なりの演出でした。
今回のことについては、また改めてお話をさせていただきますので、
本日は、これで終わりとさせてください。お願い致します」
頭を下げるスタッフに、会場からはブーイングが起こった。
「七瀬リオを出せー!」
「リオちゃんの口から、ちゃんと真実を聞かせろー!」
ブーイングの響くステージ裏で、あたしはスタッフに頭ごなしにとがめられていた。
何を考えてるんだ!と。
自分の立場に自覚はあるのか!と。
いったい何をしでかしたかわかってるのか!と。
わかってます。
あたしは、そう答えて、さらに自分から怒りを買った。
「契約を破ったので、あたしを解雇してください。
契約は、『破れば、即刻解除する』でしたよね?」
あたしの言葉に、「いいかげんにしろっ!!」と、スタッフは声を荒げ、「少し頭を冷やして考えろっ!」と、怒鳴った。