剣達が人外屋敷に住んでからしばらく経ったある日、誰かが剣と月華の部屋の扉を叩いた。
「?はーい…」
剣がゆっくりと扉を開けるとそこに立っていたのは獣人だった。白い毛色で片目は隠れていて、赤いパーカーに特徴的なハーネスがついている。そして黒い帽子をかぶっていた。
「よ、新入りさん達。」
「えっと……。」
突然の訪問に戸惑っていた剣はなんと言えばいいのか分からず固まってしまった。するとその獣人は察して話を続けた。
「あー…最近新入りが二人来たって聞いてさ。月弥から。でも周りの奴も俺も別のとこに泊まったりしてたから挨拶できてなくて。自己紹介がまだだったな。俺はギルト。よろしく。」
そう言って手を差しのべてきた。剣はその手をとって
「よろしくお願いします…。」
と返した。先程までは無反応だった月華も、立ち上がってギルトの方へ歩いていき
「よろしく。」
と軽く頭を下げた。
「ん、よろしく。じゃあまた後で。俺は用事があるから。」
ギルトはそう述べた後、二人の部屋を後にした。
「人外屋敷…名前からして人外がいるのは予想がついていたが、まさか獣人もいるとはな。」
月華は意外とでも言うようにギルトの去っていった方向をぼんやりと見つめていた。
「あっ、向こうから挨拶してもらってたけど俺らから挨拶できてない……。ねぇ月華君、今から回らない??屋敷内の人達に挨拶。」
「それがいいな。向こうから挨拶されるのを待っているのは失礼だ…。」
周りの人物が他の場所へ居たとはいえど、自分達から挨拶をしないのは不味いと感じ、二人は部屋を出た。このときはまだ、二人は厄介なことに巻き込まれることを知らない。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!