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#高校生
第48話 「夏、再び」
2021年8月。
柳城高校は甲子園へやって来た。
昨年とは違う。
2020年。
柳城は福岡を制した。
だが甲子園はなかった。
だから、この景色は初めてだった。
開会式。
甲子園のアルプス。
校歌。
行進。
三年生たちは一歩一歩かみしめるように歩いていた。
主将・柴田は空を見上げる。
「やっと来れたな」
誰に言うでもなく呟いた。
その言葉には、昨年の先輩たちへの思いも込められていた。
大会が始まる。
柳城は初戦を突破。
続く二回戦も接戦を制した。
甲子園ベスト16。
全国の高校野球ファンも柳城の名を覚え始めていた。
「また柳城が勝った」
「一年生投手がおるらしい」
「ショートも一年生やろ」
塁と史陽の名前も少しずつ知られるようになる。
しかし福間監督は変わらない。
練習後。
宿舎のミーティング。
「浮かれるな」
それだけだった。
選手たちは苦笑する。
監督らしい。
ある日の夕方。
宿舎近くを散歩していた舞は、一通の封筒を受け取る。
差出人は東京。
小早川啓介だった。
舞は驚く。
兄から手紙など珍しい。
部屋へ戻り、そっと開く。
中には短い文章だけだった。
『甲子園を楽しめ』
『勝っても負けても、甲子園は一度しかない』
それだけ。
舞は思わず笑った。
「相変わらずやね」
もっと色々書けばいいのに。
でも兄らしかった。
翌日。
準々決勝。
相手は関東の強豪。
優勝候補の一角だった。
試合前。
福間監督は選手たちを見る。
柴田。
塁。
史陽。
そして三年生たち。
「行くぞ」
短い言葉。
全員が立ち上がる。
柳城高校。
復活の夏。
その挑戦は、いよいよ全国の頂点を見据えるところまで来ていた。
第48話 終
コメント
1件
第48話、読み終えたよ…! 2020年に福岡制したのに甲子園がなかった悔しさ、それを経て初めて踏んだ聖地の景色——柴田主将の「やっと来れたな」がマジで胸に刺さったわ。手紙の「甲子園を楽しめ」って啓介からの言葉も、短いのに重みがあるよね。舞が笑ったのも分かる。 福間監督の「浮かれるな」も監督らしくて、このチームの空気をちゃんと締めてて好きだ🔥 準々決勝、めっちゃ楽しみ!