宴会場の片づけを終え、廊下を歩く。
律は先を歩き、華は少し後ろをついていった。
「……まあ、悪くないです」
あの言葉が耳に残って離れない。
ただの一言なのに、胸の奥がじんわりと熱くなる。
「ふふっ……」
気づけば、小さな笑みがこぼれていた。
律が振り返り、「何か?」と訝しげに問いかける。
「い、いえっ! なんでもありません!」
慌てて手を振る華に、律は首をかしげつつも足を進めた。
――その背中を見つめる視線は、もう研修生のそれだけではなかった。
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