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私
には未来が見えているのです。
だから大丈夫ですよ! きっとうまくいきますよ! そう言って彼女は笑う。
自信満々で、強気に。
その笑顔に救われた者は大勢いた。
しかし、それは嘘だった。
彼女が見ていたものは、自分の死だけだったのだ。
私は未来が見えるんです! この先何が起こるのか、全て知っていますからね。
必ず助けてあげますよ。
安心して下さい。
そう言う彼女に救われた者もいた。
だがそれもまた嘘だった。
なぜなら彼女はただ、何も見えていないふりをしていただけだからだ。
私は未来のことを知っているんですよ。
だって見えるんですもの。
予言なんかじゃないわ。
本当に、はっきりとわかるの。
ねぇ信じてください。
私を信じていれば間違いないでしょう? ほら、ちゃんと当てたじゃないですか! 私には特別な力がありますからね! さあ、次は誰にします? そうですね……ではそこのお嬢さんにしましょうか。
え?嫌なんですか?どうして? ああ、わかりました。私が怖いんですね? 大丈夫ですよ、痛くなんかしないですから。ほら、こっち向いてくださいよ。はい、あーんして下さい。ちょっとだけ我慢すればすぐ済みますから。はい、そのまま動かないでくださいね……それじゃいきますよ! ふむ、なかなか良い感じですね。思った通りです。
さすがは我が主。お見事な腕前でございます。この調子でどんどん行きましょう。次はもっと上を狙いますよ。では参ります……覚悟なさってください。あぁ素晴らしい。これぞまさに至高の一品。こんなものを見せられてしまえば、職人の血が騒いでしまいます。もちろん作らせていただきますとも。あなたのご依頼なら、いくらでも引き受けさせていただきます。ただ、そうですね……次の納期までに仕上げておきたいと思います。
これはなかなかのものですね。あなたにはいつも驚かされてしまいます。とても良い仕事をしてくださったこと感謝いたします。しかし、まさか本当に完成させてくるなんて思いもしませんでした。やはりあなたを選んで正解だったようです。今後もよろしくお願いしますね。
この仕事が終わったら、しばらく休むことにしました。これからは新しい分野に手を出してみたいと思っています。きっとあなたにとっても面白いことになるはずですよ。
今度のデザインは、これまでと少し毛色を変えてみるつもりです。今までのようなゴシック調のデザインではなくて、もっとカジュアルなものを作ってみたいんですけど……。えぇ! そいつぁスゲェぜ!! さすがは旦那様だ!! あのねーちゃんだってビックリして腰抜かしちまうぞぉ~!?……なんて言いたいところだがよぅ、ちょいとばっかし問題があってなぁ。実はオレっちは、あんまりデザインの才能ってヤツに恵まれていねぇみたいなんだよ。だから正直言って、この仕事に関しては、かなり厳しいものがあると思うぜ。あ? それでも構わないってのかぃ? ヘッヘ、そうかい。それじゃあ引き受けたぜ。ここまで言われちゃあ断われないからな。
んん? なんだい、その顔は。……おいおい、まさか本気でこんなチビ助に任せようってんじゃないだろうな。冗談じゃないぜ。いくらなんでも無理があるだろう。こいつぁオレの大事な商売道具なんだ。今更返せと言われても困るぜ。お嬢さんには悪いけどな、これはウチの仕事なんだ。他所に行ってくれ。
―――わかった、わかったって。そこまで言うならやってやるよ。ただし条件つきだ。まず第一に、オレの邪魔だけはしないでくれ。それから第二に、何かあったらすぐ止めに入ることだ。これが守れないっていうなら話はナシだよ。わかったな? よし、契約成立だ。任せておきなって。