コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
わざとらしい咳払いをして風堂さんは本を読み始めました。
『“ドール神話”の始まり、始まり』
大人が五人ぐらい入れる大きさのテントの中に三人分の拍手が響きました。
『昔、昔、それはもううんと昔の事』
『そこには、双子の姉妹の神が居ました』
『姉の方は、創造神』
『妹の方は、破壊神でした』
『この二柱の神はただ永遠と広がるフワフワで、雲の様な地面の上に、たった一つだけある空色の家に二柱だけで住んでいました』
『この永遠と広がるセカイには、彼女達二柱しか居ませんでした』
『ある日、破壊神はこう言いました。「姉さん、あのね、私達二柱だけだとこのセカイはあまりにも静かで、寂しくって、広すぎるの」と』
『それに創造神は、「確かにそうね。でも、どうしたら良いのかしら、一緒に考えましょう」と答えました』
『二柱は悩みました。何年、何十年、何百年と考え続けました。ですが、そう簡単には思い付きませんでした』
『彼女達には、その答えを教えてくれる人が居なかったのです。二柱の神は、自然的に生まれたのですから、無理もありません』
『ある時、二柱はこの広い、広いセカイをブラブラと散歩していました』
『破壊神は歩きながら言いました。「やっぱりなんにも無いね」と。少し、淋しげに瞳を揺らして』
『創造神はなんと返せば良いのか分からなくなってしまいました』
『そのまま二柱は下を向いて歩き続けました。何かあるかもしれない、と言う些細な希望を持って』
『暫く歩き続けた時、創造神が「あっ!」と声を上げました』