入院の費用が高すぎて、即日の退院を決めた。まだ歩くとふらふらするけど、家でじっとしているのも精神的に辛かった。あの公園でいろんなことを思い出しながら休むことにした。
“ここにいれば必ず来都くんに会える場所”
そう思えるぐらい、この場所が特別な場所だった。働く環境にも頑張って適応しようとした。それでも無理だった。今日は、これからどうしようという気持ちで公園に座る。
仕事があったからここに住んで、ここで来都くんに出会えて。乗り越えなきゃいけない壁だとわかっていた。それでも、私にはもう限界しか感じられなくなってしまった。私には何ができるんだろう。これからどう生きるのだろう。1人で考えるにはとても辛い問題だった。
ポツポツ…
天気予報にはなかった雨が降ってきてしまった。まるで私の心を読まれているみたいな天気。このままぐちゃぐちゃになって、どうにでもなれ…
ヤケクソになるしかなかった。
「もも!!!」
雨の音だけが雑音のように鳴り響く中、来都くんの声だけが心に響いた。ずぶ濡れの来都くんが一生懸命に走る。涙と雨で視界がぐちゃぐちゃなのに、その姿だけはしっかりと見えた。でも私は、立ち上がることができなかった。すごく体が震えて止まらなかった。
私の目の前まで来た瞬間、咄嗟に立ちながら抱きついてくれた。
「あまり心配させないでくれよ」
涙目になった来都くんは、私のことを優しく見おろした。不安や辛さが、来都くんの匂いと柔らかさと温もりに包まれてどんどん消えていった。「もものやりたいことって、こんなことじゃないだろう。なんで好きな自分になろうとしないんだよ。」
目線を合わせて私にそっとささやいた。普段は大きい来都くんが小さく見えて、まるで私のものになったような気分だった。私のやりたいこと…なりたい自分…好きな自分……幼少期のことを思い出した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!