コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
彼女は隣のクラスの転校生である天音アイリさんといい、先日行われた全校集会の際に校長先生の話の途中で貧血を起こしてしまった生徒の一人でもある。
そのため彼女の顔色はあまり良くはなく、今も保健室で休んでいたはずだったのだ。
それなのに今は何故か僕の横にいて、まるで最初からそこにいたかのように自然な感じで座っているのである。
「……君は一体いつの間にここに来たんだい?」
「ついさっきですけど何か問題でもありますか? それにこの学校ではこれが普通らしいですし、別に不思議ではないと思いますよ」
確かに彼女ほどの美貌の持ち主であれば多くの異性を引きつける魅力があるかもしれないが、それにしてはずいぶんと酷いことを書かれているものである。
特に最後の項目に関しては反論の余地も無いぐらい正論だと思うのだが、いったいどこを気に食わないと思ったのだろうか。
おそらく彼女は生まれながらにして勝ち組であったために努力などする必要もなく、今までの人生を全て思い通りにしてきたのだろう。
だからこそ自分の言うことは全て正しいと思い込み、相手の言い分を聞き入れようとしないのだ。
まったくもって迷惑極まりない話ではあるが、こちらとしてはそのような理不尽な理由で殺されてたまるかという気持ちである。
そもそもの話として、このような脅迫文じみた手紙を渡されて素直に従う奴がいるとは思えない。
そんな単純なことが分からない時点で彼女の頭の悪さが窺えるというものである。
さすがにこれではあまりにも可哀想なので、せめて僕だけでも付き合ってあげることにしよう。
それで少しは溜飲を下げられるだろうし、きっと感謝してくれると思う。
「……ねえ、ちょっと聞いてもいい?」
「はい? なんですか?」
「あなたっていつも一人で本を読んでるわよね。友達とかはいないの?」
唐突に話しかけてきたかと思えば、まさかそんな質問をされるとは予想外である。
やはり彼女とはあまり関わり合いにならない方が良さそうだ。
「えっと……まあ、あまりいないですね」
嘘をつく理由もないので、正直にありのままを話しておくことにした。
別に誰かから憐れまれたかったわけではないが、事実をそのまま告げられて少し凹んだ。
まぁ確かにこの学園に入ってから色々と失敗しているし、我ながら情けないと思うこともあるけどさ……
だけど誰だって最初から上手くできるはずもないじゃないか! それにあの時は最善の選択をしたつもりだったんだけどな~。
今となってはもう後の祭りだし、後悔したところで仕方ないけどね