※完全自己満異中年捏造小説
※キャラ崩壊、解釈違い有
※捏造設定、 学パロ要素有
※過激な暴力表現、性的表現有
※苦手、地雷は回れ右
わんくっしょん
「今日から、このクラスで一緒に授業を受ける仲間が増えます!」
担任なのであろう女性の言葉に、教室内がザワつく。
「グルッペンくん!どうぞ!」
「はい」
短く返事をし、ザワつく室内へと足を踏み入れる。
すれば、元から五月蝿い教室が、一気に五月蝿さを増した。
「では、自己紹介お願い!」
背後の黒板に何かを書きつつ、此方を振り返ってそう指示を出す。
自己紹介なぞ、面倒この上無い。
嗚呼、転入生とは、こんな気持ちなのか。
そんなしょうもないことに頭を向け、だが、指示はちゃんと聞く。
「……グルッペン・フューラーだ」
「出身はドイツ、日本語は、……この通り」
「……それだけ?」
不服そうな声色で、此方へ問いを投げる女教師。
「これ以上、何を伝えることがある?」
「そ、そうだね~……」
苦笑いを浮かべ、目線を泳がせたかと思えば、徐に、ある1つの机を指した。
「じゃあ、グルッペンくんの席は彼処!
「1番後ろの、右から2番目の席、エーミールくんの隣ね!」
1番後ろ、右から2番目。
指定された席まで行くと、左側、窓際の席が空いていた。
此処が、エーミールとやらの席なのだろうか。
まあ、支障は無いからどうでもいいのだが。
リュックサックを横に掛け、席に腰を降ろす。
と、通路を挟んだ右側の席の生徒が、声を掛けて来た。
「君の隣の席、エーミールって奴、アルビノだから虐待されてるらしいよ?」
だから、あんま話し掛けない方がいいと思うよ。
そう、忠告するように音を下げるもんだから、思わず、俺は声が大きくなってしまう。
「だから何だと言う?」
“アルビノ”、それは、世間から好かれることの無い存在。
極少数派の病気らしく、俺も実物は見た事が無かったのだが、まさか、こんなに近くに存在したとは。
「……え、wだから、エーミールと話さない方がいいよ?って」
「……どうでもいいな」
「其奴に興味は無い」
我ながら、無愛想な人間だ。
可愛げ無い。
話し掛けて来た生徒はそれっきり、何かを問うて来たりすることは無かった。
それ所か、クラスの空気まで変わったようにも感じる。
成程。此奴がこのクラスの中心格か。
で、アルビノと言う点と、此奴の言い方の点から、エーミールとやらは虐められていそうだな。
少女漫画のあるあるだ。
高校生とは言え、行動パターンはまだまだ子どもだな。
そんなこんなな初日を迎え、時は流れ、特に誰とも仲良くするつもりも無く呑気にしていれば、既に1週間が経過していた。
「行ってきまーす」
誰も居ないリビングへと声を掛け、家を出る。
ふと、見知らぬ人影を見付けた。
「……制服、一緒だな」
声を漏らすと、その人物は、何処かへと走り去ってしまった。
不思議には思ったが、如何せん、学校に遅刻しそうになっているのだ。
あの人物のことは忘れようと頭を振り、学校へと足を向けた。
さて、今日も今日とて授業を終わらせ昼休み。
やることなんざ、とうに終わらせた。
暇だ。
寝るか。
そう思い机に突っ伏す。
すると、クラスが何やら騒がしくなった。
ギャーギャー騒いでいる訳で無い。ヒソヒソと、声を絞って騒いでいるのだ。
そして、背後を人が通る気配。
不審に思い顔を上げると、1人の男子生徒が居た。
左隣の席に腰を降ろし、周りの目なんか気にせず、大人しく座っている。
此奴が噂のエーミールか。
確かに、全体的に色素が薄い。
亜麻色の髪は、陽の光を受け黄金に輝き、その瞳は、伏し目なせいでよく見えない。
「何か、用でしょうか」
エーミールが口を開いた。
透き通った、弱い、風鈴のテノール。
「……嗚呼、転校生さんですか」
「どうも、初めまして」
冷淡な声で発音していく。
美しい。
一言で彼を言い表すならば、それだ。
「……あの、何か用でしょうか?何も無いのなら、此方を見ないで下さい」
伏し目が開かれる。不審そうに此方を見るその瞳は、母から聞いたものよりも、大分色素が薄いようだ。
殆ど白に近い、ビー玉のような瞳が、じっと、此方を見詰めてくる。
美しいな、やはり。
口から零れたようだった。
「……は?」
目が見開かれる。
正気か、そう言いた気に。
咄嗟に、口を回した。
「失礼、唐突にそんなこと言われたって困るよな」
「初めまして、転校してきた、グルッペン・フューラーだ」
「……アルベルト・J・エーミール、です」
アルベルト。その名を聞いて、脳裏を悪い噂が過る。
英国の、没落貴族だとか。
相手も同じく悪い噂を思い出したのか、また伏し目がちになって問い掛けてくる。
「貴方……ドイツの出ですか?」
「……そういう君は、イギリスの出かな?」
「大正解……」
顔を逸らし、また戻って来た時には、表情が崩れていた。
「……ふふ、仲良くなれそうですね?」
「日本語上手な珍しい目のドイツ人さん」
弛む口角から、暫く目が離せなかった。
高校生にしては大分大人びて、それでいて、子どものような無邪気さを併せ持つその笑みに、釘付けになってしまう。
比率で言えば、美人8:可愛い2、と言った所だろうか。
その状態で数秒、チャイムの音で我に返った。
「……5限目は化学ですね。移動教室ですよ」
そう言う彼だが、教科書類は疎か、立ち上がる素振りすら見せない。
もしかして此奴、
「……サボるのか?」
「ええ、当たり前じゃないですか」
化学なんて3単位もあるんですから、これくらい平気ですよ。とか言いつつ、ふわりと、髪を風に靡かせる。
何だこの、絵に描いたような美人は。
声に出てしまいそうなのを堪え、少し頭を回す。
正直、もうちょっとでいいから、エーミールのことは知りたくなって来ている所だ。
生徒と馴れ合う気は更々無かったが、エーミールなら、馴れ合ってもいいような気がしてきているのだ。
「……何なんですか貴方、さっきから変なこと言ったり、変な目で見てきたり」
「……変な目??」
「何処かいやらしさを感じるその目ですよ」
何やと???
いや、確かに、美しいを越えて早くも惚れてしまいそうにはなっているのだが。
そんなつもりは無い!!
「……気の所為ですか?」
「そうなんじゃないか!?」
声よ、裏返ってるんじゃない。
怪しまれるだろうが。
「……ふーん?言っときますけど、私、ちゃんと男ですから」
「貴方がそれでいいのなら別に、私も何も言いませんけど」
「、え?」
どう言うことだ。
訊こうとしたが、チャイムの音に遮られる。
……あれ、授業始まったくね?
「あーあ、授業始まりましたよ?どうするんです? 」
どうしよう。
いっその事、サボってやろうかな。
「一緒にサボります?」
「……同じことを思っていたよ」
「なら、此処で話するのもなんですし、場所を移しましょうか」
ふに、と笑って立ち上がり、手招きをする。
何処へ行くのだろうか。
コメント
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ふわぁ〜… ふつくしい…ふつくしい世界です…(*´Д`) 中年組…と私が呼ぶのには失礼にもほどがあるのですが、透明感のある空気とアンニュイな風景、そして外部に淀むどこかドロっとしたもの。そんな世界が見て取れるようで、とても素敵です! 続き楽しみにしています(=゚ω゚)ノ