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スーパー帰りの参拝は幻想郷に繋がっていた

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スーパー帰りの参拝は幻想郷に繋がっていた

3 - 第3話 円は紙屑、卵は財宝、そして黒い魔法使い

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2026年01月20日

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「え?あ、あの霊夢さん?」 豹変した霊夢の眼光に、俺は後ずさりした。さっきまでの「不審者を見る目」はどこへやら、今の彼女の瞳には、俺が握りしめた五万二千円が、まるで神々しい御神体か何かのように映り込んでいる。

「あんた、それを『ごまん、にせんえん』って言ったわね? それが全部、外の世界の『最高額紙幣』なわけ?」 「は、はい。まあ、一万円札が五枚と、千円札が二枚……」 「五万……二千……」

霊夢がぶつぶつと計算を始めた。その顔がみるみるうちに赤らみ、ついには見たこともないような営業スマイルを浮かべて俺の手を両手で包み込んだ。手汗で湿ったお札ごと。

「さあさあ、こんなところで立ち話も何だわ。上様、どうぞこちらへ! 最高の特等席を用意するから!」 「うえ、上様!? いや、そんな待遇はちょっと……困ります! それよりお腹空いてませんか? 卵、割れる前に何とかしたいし!」

俺は必死に霊夢の「接待モード」を振り切り、神社の隅にある焚き火の跡地へと逃げ込んだ。五万二千円の札束をポケットにねじ込み、レジ袋から「特売のネギ」と「十五個の生贄(卵)」、そして一緒に買っていた「白だし」のボトルを取り出す。

「もういいです、自分で作りますから! 霊夢さんも食べるでしょ!」

半ばヤケクソで、俺は手際よく調理を始めた。ネギを刻み、卵をボウル(霊夢が貸してくれた古びた器)に割り入れる。コンロなんてないから、霊夢に火を起こしてもらい、持っていた小さなキャンプ用フライパンを火にかけた。

ジュッ、と食欲をそそる音が響く。出汁の香りが、ひんやりとした境内の空気に溶け込んでいった。

「……何よこれ。変な色の水(白だし)を入れただけなのに、とんでもなくいい匂いがするじゃない」 霊夢が鼻をひくひくさせながら覗き込んできた、その時だった。

「おーい、霊夢! なんだか博麗神社から、宝の匂いと美味そうな匂いが同時に漂ってきてるぜ!」

空を切り裂くような声と共に、上空から黒い影が飛び込んできた。 凄まじい風圧とともに着地したのは、大きな三角帽子を被った少女ーー霧雨魔理沙だ。彼女は箒を放り出すなり、俺が焼き上げたばかりの「黄金色のだし巻き卵」に飛びついた。

「なんだこれ! 見たこともないくらい黄色くて、ぷるぷるしてるじゃないか!」 「ちょっと魔理沙! これは私の……いえ、上様が作ったものよ!」

霊夢の制止も聞かず、魔理沙は俺が差し出した箸をひったくると、熱々のだし巻き卵を口に放り込んだ。

「あふっ、あふっ……! ーーっ!!」

魔理沙の動きが止まる。 数秒後、彼女は目を見開き、叫んだ。

「なんだこれ! めっちゃ美味いじゃないか! 噛んだ瞬間、中から魔法みたいな旨味が溢れてきやがる!」

「でしょ!? あ、私にも寄越せ!」 霊夢も負けじと、一切れを口に放り込む。 「……っ!? ……ふふ、ふふふ。そうよ、これよ。五万二千円の味がするわ……!」

「いや、ただの特売の卵ですって……」

俺の呟きは、夢中で卵を頬張る二人の咀嚼音と、「おかわりだ!」という怒号にかき消された。幻想郷に来て最初にしたことが、特売のネギを刻んで巫女と魔法使いに餌付けすることになるとは。俺は重くなる一方の右肩(レジ袋の重み)を感じながら、次の卵を割り入れた。

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