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“家族”で大皿に盛られた夕飯のおかずに箸を伸ばしていた時、斜め向かいに座っていた佐久間が唐突に、こちらに向かって問いかけを寄越してきた。
「照、次の日曜何してる?」
そう聞かれた直後、気まずさに思わず顔が歪んだ。
「えっと…、その日は…ぁぁっと…」
誤魔化すべきだろうか。
いや、包み隠さず話すこと自体は別に構わないのだが、躊躇う理由も確かに存在しているのだ。
気遣うべき人物の方をチラと見やれば、その子はこちらの会話には一つも興味を示さずに、その小さな口に見合うくらいの量の炊き込みご飯を上手に箸で掴み、一心に頬張っていた。
「んま。涼太、味ついた米うまいぞ。康二が涼太に味薄いやつ作ってくれたよ。はい」
「ぁー!んむっ!んまんま!」
「おいしい?」
「ぉいち」
「んぐッ!?ぇ”っほ!え”っほぉッ!?」
「阿部ちゃん大丈夫?はい、お茶飲んで?」
「げほっ、ごほっ、、しぬ”…っ…!」
「それはまずい。よし、阿部ちゃんこっち向いて、俺が飲ませてあげる。口移しで」
「結構です」
「ひどい。そんなとこもすき」
「はいはい、どうもね。そんなことよりラウ!聞いた!?」
「聞いたよ!すごいね!」
「今ちゃんと言ってたよね!「おいしい」って!はぁん…尊い…かわぃ…」
「坊がたくさんおしゃべりしてくれるようになる日が楽しみだね!」
…この状況なら伝えてもいいかもしれないな…。
むしろ、真面目に捉えている方が馬鹿らしい気がしてきた…。
話題の中心が、我らの宝物である坊に向いたのをいいことに、佐久間にこっそりと告げた。
「旅行行こうと思ってる」
その回答を聞くと、佐久間は大絶叫を上げた。
「えぇ!?嘘でしょ!?」
「ちょっと…!声でかいよ…っ!」
案の定、食卓を彩る話の種はこちらに蒔き直されてしまった。
額を抑えてため息を吐いてから「ごめん、なんか用事あった?」と尋ねると、佐久間は「信じられない」といった顔を全面に出した。
「用事どころの騒ぎじゃないよっ!」
「え?なんか約束してたっけ?」
「照の誕生日でしょ!?みんなでパーティーするつもりだったのにーっ!」
「あ。そうだよね。事前に相談してなくてごめん。いや…たださ…」
「ただ、なに…?」
「予約のキャンセル出来なさそうなんだよね…」
「……だよねぇ〜ッ!」
「うん、ごめんね。だから今年は俺のことは気にしないで、みんなで楽しくご飯食べて」
「そういうことならしょうがないか、楽しんできて!」
「うん、ありがと」
先日のふっかの時のように、俺の誕生日にも何かしてくれようとしていたのかと知れば、申し訳なささと感謝の気持ちが反発し合った。
この屋敷では、イベント事は全力で楽しむという暗黙の了解がある。
全員の誕生日はもちろんのこと、クリスマスやお正月なんてものも、本格的に最初から最後まで気合を入れて取り組むのだ。
翔太が家族としてこの家に住むようになってからは、その中にハロウィンも追加された。
これからもありとあらゆるイベントが我が家に取り入れられそうな予感がしている。
今年はそのルールを勝手に破ろうとしていたというわけなのだが、こればかりは譲れそうになかった。
あれはそう、ふっかの誕生日の翌日のことだ。
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「照っ…あのさ…」
「ん?」
「えと…っ、」
「んふふ、どうしたの?」
珍しくふっかが部屋を訪ねてきてくれたのだ。
俺がこいつの部屋に行くことの方が多いので、どうしたのだろうと首を傾げたのが記憶に新しい。
そいつは両手を背中に隠して入ってくるなり、視線をあちこちに彷徨わせながら、もごもごと口を開けたり閉めたりしているばかりだった。
躊躇っているようだが、表情は暗くなかったので悪いことがあったわけではないのだろう。
ひとまずその様子に安心して、下を向いている頭を撫でた。話しやすいようになればと、目を合わせてこちらから問いかけてみると、驚くほどか細い声がぽつりぽつりと聞こえてきた。
「ここいきたい…いっしょに…」
そう言われ目の前に出されたのは、先日親父から渡されていたあの温泉チケットだった。
「照と行きたい、やだ…?忙しい…?」
なんとも可愛いその言葉遣いとお誘いに息が止まりかけた。
断るわけがないというのに、その瞳は不安げにゆらゆらと揺れていて、自信が無いからなのか顎を引いて上目でじっと見つめてくるその仕草全てに、きゅうぅ…と心臓が締め付けられた。
狙ってやってないのが怖いよ、ほんと…。
「いやなわけないし、ふっかといられるならいくらでも時間作る。一緒に行きたいって思ってくれてありがと」
そう伝えてから優しくその体を抱き締めると、耳元から「んへへ…やった」と安堵に満ちた声が聞こえてきた。
こいつ…どこまで好きにさせるんだよ…〜ッ!もう!
愛おしさも悔しさも何もかも、込み上げてくる気持ちが抑えきれなくて、衝動のままにその薄い体にきつくしがみついた。
「ぐぇっ、ぐる”じ…っ!内臓でるっ…!」
「ふっかが悪い」
「待”て待て待”てッ”…!なん”でそうなる”っ!?」
「さぁ、自分で考えてみたら?それより、いつ行く?」
「その前に”っ…腕緩めろ”ッ…!」
「はぁ…しょうがないなぁ…。はい」
「っはぁ…、えっと、さ…お前が良ければ、さ…」
「うん?」
「お前の誕生日の日に、行きたいな、って…」
「…へ」
「俺の時さ、お前、時間全部くれたじゃん?だから俺ので良ければ、お前に全部あげたいって…ぐぇ”っ、お”ま”ッ!いちいち締め上げんの”や”め”ろ”ッ”!まじで夜飯でる”ッ”!!」
「いい加減にしてよ…苦しい…」
こいつと暮らすようになってから随分経つが、これから新しく知っていくことも多いだろう。
とんでもなく深い沼に、もう既に片足どころか両膝あたりまでズブズブとハマってしまっているような心地がしていた。
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そんな一コマがあった夜に、次のデートの約束をしたのだった。
みんなへももう一度「ごめんね…」と伝えてから、炊き込みご飯を口に運ぶ。
「旅行って、一人で行くんすか?」と目黒が唐突に聞いてくるので、米粒が喉につっかえそうになる。
咄嗟にふっかの方をチラと伺うと、そいつは翔太の方に目をやってからフルフルと僅かに首を振った。その合図に小さく頷いて了解の意を示し、「うん、たまには一人で遠くまで行ってみたいなって思ってさ…」と返答すると、阿部とラウールが両側から目黒の腕を肘で小突いた。
阿部から構ってもらえたと思ったのか、目黒は嬉しそうに体を弾ませた。
…のも束の間、阿部から何かを耳打ちされると、箸を持ったままの右手で額を抑えて天を仰ぎ始めた。
どうやら俺「たち」の企ては、ここにいる数名にはお見通しのようだ。
ありがたいやら気恥ずかしいやらで、くしゃくしゃに緩みそうな顔を隠すように、お椀をぐっと傾けて味噌汁を飲み干した。
「ふっか、飯終わったらマ○カーしようぜ!負けた方がジュース一本奢り!」と声を張っていた佐久間に、心の中で「ごめんね」ともう一度伝えておいた。
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二週間ぶりの二人きりの時間に、今日は朝から心が弾んでいた。
二人で立てた二泊三日の旅行プランはだいぶざっくりとしている。
誕生日の前日から出かけて、当日は二人で一日中ゆっくり過ごし、翌日はみんなへのお土産を選んでからまったり帰ろう、と大まかに話し合って決めた。
張り切りすぎていなくて、とても良い。気ままに過ごせそうだ。
着替えや必要なものを詰め込んだボストンバッグを二つ玄関の前に置いて、居間でまったりしていたみんなに「行ってきます」と声を掛けてから車に乗り込んだ。
みんなの気遣いを無駄にしてしまわないよう、ふっかには先に車で待っててもらった。
あくまでも、今日から三日間は「一人で旅行に行く」ことになっているのだ。
「お待たせ、いこっか」
「おー。遠いけど、運転よろしくな」
「任せて、途中で寄りたいとこあったらちゃんと言ってね」
「あいよー」
シフトレバーを引いて、ゆっくりとアクセルを前に傾けた。
目的地までの所要時間は約四時間程だったが、思ったよりも早く宿に到着した。
そう感じるのはきっと、隣にふっかがいるからだろう。
こいつといると、時間がぐんぐんと進んでいくのだ。
退屈なんて感じたことはないし、毎分毎秒ごとに思い出が更新されていくのがたまらなく嬉しかった。
その分、この旅行も終わるのがすごく早いのかと思うと寂しいが、今はこのひと時を目一杯に楽しもう。
ふっかだって、組全体の運営に関わる部分を一人で切り盛りしてくれているのだ。
忙しくないわけがない。
目の前のことに思い切り気持ちを向けることが、三日間の全部をくれたこいつに俺ができる恩返しだろう。
「老舗の高級旅館」という言葉がしっくりくるほどの綺麗な佇まいをした建物のエントランスへ車をつけると、着物を着た女将さんらしき女性が出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ」
「あ、どうも…、今日からお世話になります」
「お荷物とお車、お運びいたします」
「あ、ありがとうございます…」
「フロントにてお名前頂戴いたしますので、こちらへどうぞ」
車の鍵と荷物を女将さんのそばにいた番頭さんへ渡し、ふっかと並んで中へ入ったが、先ほどからジワジワと汗が滲むような心地がしていた。
「大丈夫かな…」という言葉で頭の中がいっぱいだ。
場違い、というか…場慣れしていない、というか…、落ち着かないのだ。
こんなに立派な旅館に泊まったことはおろか、足を踏み入れたことさえなかった。
「親父…俺には勿体無いかも…」と優しい面影に心の中で声をかけてみると、想像の中の親父は、何故か親指を上げてこちらにウインクを飛ばしていた。
カウンターの前まで案内されると、そこに立っていたスタッフの方は「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」とにこやかに一礼をしてくれた。
品のある所作が高級旅館であることを一層意識させては、余計に体が硬くなった。
「本日よりお泊まりの“岩本様”ですね」
「ぅぁっ?は、はいっ、ぁ、い、いわもとです…」
「お部屋は梔子の間になります」
「ど、どうも…」
「では、お部屋までご案内いたします。どうぞ、ごゆっくりお過ごしくださいませ」
受付を済ませたあとは、ずっと鞄を持ってくれていた番頭さんが俺たちを先導していく。
彼は歩きながら館内の説明や、部屋の中にある設備からアメニティーの内容に至るまでを丁寧に教えてくれた。
「お食事は19時にお運びいたします。お二人がご入浴に行かれている間に床の間のご用意をいたしますが、その際はマスターキーを使用してお部屋に入れせていただきますので、貴重品は金庫の中に保管くださいませ。それでは失礼いたします」
一礼ののち、彼は部屋を後にした。
ボストンバッグのファスナーを開け、充電器をコンセントに差し込んだり、持参したシャンプーのミニボトルとフェイスタオルを出口の隅に置いたりしながら身支度を整えた。
「ねぇ、予約取ってくれたのふっかなのに、なんで俺の名前にしたの?」
「い…ぃや、別に…」
「全然「別に」って感じじゃないじゃん。ねぇなんで?」
「…だって…お前がそうがいいつったんじゃんか…」
「ん?」
「俺の名字もらってくれたんだろ?旦那さんよぉ?」
「な…っ…!?はぁぁぁ…」
「でっかいため息つくなよ!」
そういうことかよ…っ…。
もぉぉぉぉっ!ほんとにずるいってばぁッ!
このシチュエーションに既に気分が昂ってしまっているというのに、あと何回こいつに無自覚に煽られるんだろうと想像すると、深いため息がこぼれた。
自分が言ったことの大きさに気付いていないのか、ふっかは恥ずかしさを遠くへ吹き飛ばしたいかのように大声を上げていた。
この調子でこいつの言うことにいちいち反応していたら、時間がいくらあっても足りない。
「冷静になれ、俺」と必死に心の中で三度唱えてから、浴衣と茶羽織を左腕に抱えてそいつの方へ向き直った。
「とりあえずお風呂入りに行こ。そのあと温泉街歩くんでしょ?早くしないと夜ご飯の時間になっちゃう」
「ぉぉ、そうだったな。ぅし、行こうぜ!」
「忘れ物ない?シャンプー持った?」
「…ちょっと待って…。ぁ、れ…。…そもそも持ってくんの忘れた」
「まぁ、お風呂の中にあるやつ貰えばいいんじゃない?」
「うん、そうするわ。よーし、行こうぜー」
館内にある大浴場で全身を洗い、満足するまで広い湯船に二人で浸かってから浴衣に着替えて外に出た。
硫黄の匂いが立ち込める街をゆったりと二人で歩く。
温泉まんじゅうが入っているのであろう正露から漏れる蒸気を横目に眺めながら、カラコロと下駄を鳴らしていく。
普段なかなか着る機会の無い浴衣と茶羽織に気分が上がっているのか、ふっかは両袖の端を掴んでぴらぴらと翻し、鼻歌を歌っていた。
たまにこういう可愛いことをするので、油断しているとすぐに心ごと何もかも持っていかれそうになる。
屋敷の中なら俺たちしかいないので(みんなそれぞれの恋人に夢中だし)何も問題はないが、今俺たちは知らない土地で、知らない人が周りにたくさんいる状況に身を置いているのだ。
もしも、すれ違う人たちがふっかに一目惚れでもしたらどうしようと途端に不安になった。
「こいつは俺のなのっ!」なんて子供みたいな主張を心の声で張り上げ、ふるふると自由に舞う手を攫うと、ふっかは頬を染めながら戸惑う素振りを見せた。
「ん、、?ど、どした…?」
「虫除け」
「…? まだ蚊の季節じゃなくね?」
旅館に戻り、温まった体と疲れた足を一休みさせてから、二人で部屋の探索をした。
行きがけの道中では「宿に着いたらとりあえずひと風呂浴びて、温泉街に繰り出そう」と話していたので、夕食の時間までに帰ってこられるだろうかと少し焦っていたのだ。
幸いにも早めに戻ってこられたので、気持ちにゆとりができた俺たちは駆け足に豪華な一室を隅々まで見て回った。
食事をする部屋とは別に寝室があるようで、襖で仕切られていたそこを覗いてみると既に布団が二組敷かれていた。
洗面台の上には高そうなアメニティーがいくつか置かれており、ありとあらゆる「忘れた!」を想定しているのだろうと、その気遣いに感心するばかりだった。
そして、何よりも目を丸くしたのは、室内にある風呂場だ。
脱衣所のその奥へと続いている引き戸をガラガラと開けると、その向こうには露天風呂があった。
「やけに部屋まで距離があるんだな」と番頭さんの後ろを着いて行きながら思っていたが、この梔子の間はどうやら離れだったようだ。敷地の端にあるこの部屋は、まさに日常を忘れるにはもってこいの場所に思えた。
「え!?露天風呂あったの?!すげぇ!」
「あると思ってなかった!」
「明日はこっち入ろうぜ!」
「うん!そうしよ!」
そう決めたものの、明日までのお楽しみに取っておけるほど、俺もふっかもこの時ばかりは我慢強くいられなかった。足だけ…と、堀を囲むようにして並べられた岩の上に腰掛け、ほかほかと湯気が立ち上るそこへ足を浸した。
「ほぁぁ〜…あったか…」
「贅沢だねぇ」
「そういえば、さっき歩いてきたとこにもいくつか足湯あったね」
「あー、あったな。あれはあんま興味そそられなかったけど、これは好きだわ」
「うん、俺も静かなとこでの方が好きかも」
「ねぇ、俺いいこと思いついちゃったんだけど」
「ん?んふ、なに?」
「飯終わったらさ、また足だけ入んない?酒飲みながら」
「最高。天才じゃん」
「だろ?!」
「たまにはいい事言うんだね」
「ぉおい!たまにはってなんだよ?!」
「ふひひっ」
しばらくして、いい加減に上がろうと地面に足を付けてヒタヒタと音を立てながら部屋の中に戻ると、ちょうど晩御飯の時間になっていた。
美味しい料理に舌鼓を打ち、お腹も膨れたところで最後にお酒を頼んだ。
お膳を下げてくれた後、番頭さんはお猪口をふたつととっくりを一本お盆に乗せ、片手には一升瓶を抱えて戻ってきてくれた。
「こちら、岩本様への贈り物としてお預かりしておりました」
そう言って差し出されたのは、見るからに高そうな日本酒がたっぷりと入った大きな瓶だった。お酒にそこまで詳しいわけでもないが、明らかにその辺で買えるものではなさそうだった。
仕事終わりに夕飯の買い出しを頼まれることがあるのでよくスーパーに立ち寄るが、そこで見かけたことはなさそうだったことから、かなりの銘柄なのでは?と推測した。
しかし、「贈り物」とはなんだろう。それに、「預かっていた」とは?
「誰からですか?」と番頭さんへ尋ねると、「長らくご贔屓にしていただいている方からです」とだけ返ってきた。
この旅館に泊まることができたのは誰のおかげか。
そして、いずれここに泊まることを予想できたのは誰か。
その二つからこれを贈ってくれた人物が誰かを導き出せば、「あぁ」と感嘆が漏れた。
「ありがとうございます」と心の中で伝えてから、落としてしまわないようにそーっとその瓶を受け取った。
心ゆくまで月見酒と足湯を楽しんでから、布団に入った。
「マジ大事に飲も」と極まり切った目をお互いに見合わせ、同時にウンと大きく頷いた上でキュポンと栓を開けたことは確かなのだが、初日にして半分空けてしまっていた。
そして、長いことお湯に浸かっていた足の裏は、いつの間にかシワシワにふやけ切っていた。
それくらい、時間を忘れていた。
今は日付が変わったくらいだろうか。
夜空を照らす真っ白い月を見上げながら、たくさんのことを話した。
内容自体はくだらなくていつも通りなのに、いつまでも話題は尽きなかった。
次にデートをする場所、お土産の候補、最近のちびっ子たちのブーム。
佐久間が自分の部屋にガラスケースを置きたいと喚いては毎日相談に来ること。
まだ買ってもいないのにそのケースの組み立てを手伝ってほしいと頼まれたことがあったこと。
…などなど、出てくるのはみんなのことばかりだった。
離れていると、その存在たちの大切さをより実感する。
やかましくて、楽しくて、かけがえのない大事な“家族”だ。
ふっかは「あいつらホント毎日手がかかりやがる、可愛気ねぇしさ」なんてぼやいていたが、言葉とは裏腹にその目は優しく細められていた。
それぞれとに大事な思い出があって、全員に対して等しく抱いている想いがあるのだろう。
見ていればわかる。
いつもチャランポランでテキトーなことばかり言っているが、その心の中にはとても深い愛情があるのだと。
こいつの、そういう不器用なところが好きだ。
程よく酔いの回った頭はふわふわしていて、一日の疲労感を湛えた体をふかふかの布団に横たわらせると、すぐに眠気が襲ってきた。
「ふっか、ねそう…」
「んー…おれも…案外、つかれてたんだなぁ…」
「そうみたい、だ…ね…」
「ひかる…?ねた……?」
「あした、おきたら…観光、いこ……」
「んだね…ぇ…」
溶け切った頭を最後に振り絞って明日の予定をなんとか決めると、どうやらそこで脳は活動をやめたようだった。
寝落ちる寸前、「たんじょーび、おめで…と」と眠そうなキャラメルが耳を優しく撫でてくれたのを感じた気がした。
翌朝は七時に目を覚まし、部屋まで運んでもらった朝ごはんを食べてから車を走らせて、いくつかの観光スポットを目指した。
旅館に泊まることなんてこれまで無かったので「普通」が分からないのだが、こんなに至れり尽くせりでいいのだろうかと心配になった。
今回の宿泊費用は全て、ふっかが持っていた温泉チケット一枚で賄えてしまうそうなので代金の心配はないのだが、実際に自分たちのお金で泊まるとなった時、一体いくらかかるのだろうかとおおよその予測を立てて計算してみれば、たちまち身震いした。
とはいえ、考えるだけ野暮か、とも思うのだった。
温泉が有名な土地だそうで、どこへいってもそれに関係する名所ばかりだったが、なかなかに楽しめた。
温泉まんじゅうに温泉卵、地元名産の果物をモチーフに香料や少しのエキスを配合した美容パックなど、普段はあまり目にしないものばかりのグッズに、二人して目を輝かせながら気になったものを手当たり次第にカゴへ入れた。
お土産を買うのは明日の予定だったが、そこには置いてないかもしれないから今買っておかなければ…!という謎に切迫した気持ちがあったのだ。
俺もなかなかだったが、ふっかはその倍以上の量を抱えていた。
「それ何?」
「モアイの置き物」
「え、ここ日本だよ?モアイって外国でしょ?」
「でもあったんだもん」
「ちなみになんでモアイ買うの?」
「照に似てる」
「嬉しくない」
「なんで。めっちゃ可愛いじゃんこいつ」
「俺いつもこんな不機嫌そうなの?」
「そうじゃなくて。みんながバカ騒ぎしてるのに着いてけてなくて冷めてるお前の顔すげぇジワるんだよ。コイツ、あん時の照と同じ顔してる」
「ピンポイント過ぎるでしょ、まぁいいけど…」
他にも、地名が書かれた三角形の旗や、ご当地シリーズと銘打って売られている国民的キャラクターのマスコットがチャームに着いたボールペン、数種類のお菓子や漬物など、「誰がどんな時に使うことを想定してるんだ?」と思わないではいられないものばかりをカゴいっぱいに入れて、ウキウキと足取り軽くレジへ向かった。
お昼ご飯は、スマホで調べたおすすめの郷土料理屋さんで食べた。
そのあとは博物館や歴史館などを見て周り、工芸品を作る体験ができる場所で一時間ほどガラス細工を作って楽しんだ。
あっという間に日が落ちて、夕食の時間になる少し前に旅館へ戻った。
結局、体に付いた一日分の汚れや汗は昨日も入った大浴場で流して、ご飯を食べ終わったらゆっくりと露天風呂に浸かろうという話に落ち着いた。
御多分に洩れず、今日の夜ご飯もかなり豪勢だった。
天ぷらにお刺身に、すき焼きまで頂いてしまった。お供には昨日半分空けた日本酒を添えたが、食べ終わる頃にはもう、瓶の中がすっからかんになりそうだった。
満腹を取り越すくらいにタプタプになったお腹を、畳の上に二人で横たわらせた。
「腹いっぱい…もうなんも入んない…」
「俺も…。もうちょっとゆっくりしてからお風呂入ろ…」
「だな…今入ったら絶対出る…」
「消化機能落ちてきるのかな」
「怖ぇこと言うなよな…」
「子供の頃に比べると、そんなに食べられなくなってきたなって感覚ない?」
「そうか?ずっと変わんねぇ気がする」
「ふっか食細いもんね」
「そうかな。でもお前はちゃんと食っとけよ?体力仕事なんだからさ」
「うん、仕事の日はちゃんと食べるようにしてるよ。タンパク質いっぱい入ったやつ」
「出たよ、筋肉おばけ」
「ふひひ、だからふっかのことも楽に担げるんだよ?」
「言ってろ」
ひとしきりダラダラして、もう少しで牛になってしまうというところでいい加減に起き上がり、いざ露天風呂に入った。
今日は絶好の月見日和だった。
丸々と輝くそれは、右端が少し欠けている。
夜空を見上げながら、ほぅ…と何度も息を吐いた。
「いいねぇ…」
「うん、癒される」
「これウチにも作れねぇかな」
「温泉湧き出てこないでしょ」
「そこは入浴剤で誤魔化す」
「…もしかして、俺に作れって言ってる?」
「話が分かる奴だ」
「屋敷のどこをぶち抜くつもり…?」
「殆ど使ってない客間のうちの一部屋とか?…ぁ、いや…だめか。絶対阿部ちゃんが怒る」
「間違いない。阿部なら絶対怒る。「いくらかかると思ってんの!!」って」
「だはははッ!!言いそう!」
ふっかが大きな声で笑いながら首をのけ反らせると、お湯はそれにつられて揺れる。
「…まぁ、ずっと守ってきたあの家を傷付けたりなんかしないけどね」
そう言って優しく微笑んで月を見上げるその横顔から、目が離せなかった。
ちゃぷ…と岩にぶつかるお湯の音。
月明かりを受けて白く輝くその肌。
濡れて、うなじに貼り付く毛先。
そこから鎖骨に向かって滴り落ちていく雫。
今の今まで、何も意識なんかしてなかったのに。
なんでだろう。
すごく、すごく、綺麗だ。
衝動のままにその腕を引き寄せて、その視界から月を奪った。
一度触れればもう離れたくなくなって、もっと深く、深くとどこまでも追いかけた。
風に乗って運ばれてくる嗅ぎ慣れない旅館のシャンプーの香りが鼻腔をくすぐるたび、ドクドクと心臓が強く脈打った。
少しして、その手に優しく肩を叩かれたので渋々遠ざかる。
「まだくっついてたい」と目で訴えかけると、その意思が通じたのかふっかは困ったように笑った。
「布団、もう敷いてくれてっかな」
本当にずるい奴だ。
それじゃあ、どちらにも「解釈」できるじゃないか。
極度のはにかみ屋め。
逆にかなりやらしい誘い文句になってるって、気付いてないのかな。
気付いてないから言えるのか。
ホントに苦しい。
もうきっと、俺はとっくのとうに溺れてる。
「一組あればいい」
とだけ返し、「おばけ」呼ばわりされた筋肉を三分の一程度使ってその体を抱き上げ、寝室へ向かった。
「岩本様、おはようございます。朝食の支度に参りました」
「岩本様ー」
「…ん…んん…、…ぁさ…?」
「いわもとさまー」
「ばんとー、さん……っ!?やばい!ふっか起きて!」
「…ん”ん”…ぁ、?…ふにゃ……?」
「起きてってば!浴衣着てっ!」
「んぅ…きせて…ぐぅ…」
「せめて起き上がって!」
「岩本様?!大丈夫ですか!?」
「ぁっ!だっ、大丈夫ですーっ!ふっか!起きろって!」
「ぅんー、、ょぃしょっと…ぅ”ッ!?」
「どうしたの!?」
「こ…こし…しんでる…おきれない…」
「それはごめんと思ってるけど今はとにかくなんか着てっ…!番頭さん部屋入れないから!」
「ぁいよ…、着た」
「前閉めて!」
「はい、抑えてる」
「帯どこ!」
「知らん、風呂入る前どこで解いたっけ」
「そのあともう一回着たでしょ!?」
「着た直後「なんかキた」つってすぐ解いてその辺ほっぽったのお前だろ!なんだよ!「なんかキた」って!」
「お前が色気出したまま着崩したのが悪いだろ!」
「出してねぇ!!!!!バカが!おかけで朝方まで寝らんなかったじゃんかよ!高校生かよ!」
「…あのぉー…、岩本さまぁー…お料理が…」
「ぁあッ!はいっ!今開けます!」
一悶着あったが、布団の下敷きになって隠れていた帯をなんとかふっかの腰に巻き直して、番頭さんを部屋に通した。
配膳してもらっている間、気まずさに耐えきれず「あの…、会話聞こえてましたか…?」と尋ねると、彼はにこやかに「睦まじいのは、良いことですね」とだけ返してくれた。
その瞬間、ふっかは啜っていた味噌汁を勢いよく吹き出した。
朝ごはんを済ませた後、身支度を整えてから荷物をまとめ、フロントでチェックアウトをした。
「お世話になりました」
「ありがとうございましたー」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
女将さんと番頭さんへ挨拶をしてから車を発進させた。
帰りの道中で立ち寄ったお土産屋さんでも大量の食べ物やグッズを買い込み、屋敷まで続いている長い帰り道をゆったりとした速度で辿っていった。
屋敷に到着すると、後部座席いっぱいに積んだお土産とボストンバッグを二つ両手に提げて玄関の引き戸を開けた。
たった三日ぶりの我が家が、どうしてかとても懐かしく感じられた。
ひとまず自室に荷物を放り投げ、お土産の袋だけを持って居間の襖を開けると佐久間と康二が出迎えてくれた。
「ただいまー」
「おー!照!おかえりー!」
「照兄おかえり!」
「お土産買ってきたよ」
「ぉおお!おおきに!」
「みんな呼んでくるねん!」
颯爽と駆け出していった佐久間にお礼を述べてから、袋の中に手を突っ込もうとした時ーー。
パンッ!パパンッ!!
「えっ!?なに!?」
「「「照ー!誕生日おめでとーっ!!」」」
「えっ、えっ…!?」
突然の大きな音と、廊下に横並び一列に立っているみんなとに驚き、戸惑った。
確か、「ありがたいが今年は無しで大丈夫」だと伝えていたはずだったが…。
「やらないわけないじゃーん!帰ってきたらパーティーしようって計画してたんだー」
俺の思考を見透かしたように、佐久間が得意げに言った。
「まぁ、作戦成功だな」
そう言って肩をすくめたのは、ふっかだった。
いや、え?、なんでお前がそっちサイドにいるんだよ。
今の今まで俺とずっと一緒にいたよね?え?知ってたの?
「何がどうなってんの…?」
と呟くと、親父が襖からひょこっと顔を出した。
って、なんで親父がここに?
「辰哉くんが、今日照くんのお誕生日パーティーするって教えてくれたの」
…さっきから、なんでみんな俺の心読んで勝手に会話してくれるんだよ…、そんなに分かりやすい?俺の顔って…。
「まぁ、とりあえず飯にしよか!せっかく作ったご馳走冷めてまう!」
康二の言うことも最もだと、とりあえず行き場を失ったお土産の袋は端に置いて、みんなで食卓を囲むことにした。
今年のケーキも、チョコケーキだった。
大好きなチョコレートがたくさん使われているものを、毎年みんなが選んでくれるのだ。
ホイップもスポンジも、食感を楽しめるようにと真ん中に入っている砕かれたカケラも、全部が好みの甘さで、大変に幸せなのである。
そこまで食べ終えたところで、みんながプレゼントを渡してくれた。
佐久間からは、その界隈では有名なブランドのサウナハット。
康二からは、部屋で使える懸垂機。
目黒からは、部屋に置ける限界ギリギリの重さを攻めた大きいダンベル。
阿部からは、トレーニングマットとプロテイン。
ラウールからは、普段着にもできそうなトレーニングウェア。
親父からは、かなり高そうな万年筆とインク。
翔太と坊ちゃんからは、何かの食べ物を模した折り紙をもらった。
「翔太、これは何の食べ物なの?」
「ぷりん。この前照が買ってきてくれたやつ」
「プリンだったのか」
「ぷりんうまかったから、今度は俺があげる」
「ありがとね、坊ちゃんもありがとう」
「うん」
「ぁいやちょ!」
「「「!?」」」
「親父ッ…!坊がッ!」
「うんっ…!うんっ…!」
「「「しゃべったぁー!」」」
「「「ばんざーい!ばんざーい!」」」
「ちょた、ぁいゃちょ」
「うん。俺も、涼太ありがと」
「ぁいーっ!んきゃ!」
大人が全員で何度も両腕を高く上げている中で、子供たちは二人の中だけで通じ合える意味があるのかもしれない言葉を交わし合っていた。
すっかり渡すタイミングを失ってしまっていたお土産たちを捌いたあと、程なくして解散の時間になった。
もうすぐ仕事に行くと言っていた親父は出掛ける前に、空になった袋を畳んでいた俺のところに来てくれた。
「照くん、一日遅くなっちゃったけど、お誕生日おめでとう」
「ありがとうございます、嬉しいです」
「よかった」
「へ?」
「照くんの顔から寂しさが無くなったこと、本当に嬉しいんだ」
「ぁ、、ぁはは…」
「君の頭の中にはたくさんの気持ちや言葉がいつだって溢れているような気がしてるんだ。思ったままに口に出してくれる時もあれば、心の中に留めている時もあるように、僕は勝手に思ってるの」
「は、はい、」
「ぜひ、そんなたくさんの言葉をどこかに書き留めたくなったときに使ってもらえたらなって、そんな気持ちを込めて贈ってみました。気に入ってもらえたら嬉しいな」
「ありがとうございます。大切にします。あ、あと、それと…」
「うん?」
「あのお酒も、すごく美味しかったです」
「…ふふ、バレちゃったか。あそこね、僕の大切な思い出が詰まった旅館で、あのお部屋も僕の大好きな場所なの。そこにして欲しいって女将さんに頼んでおいたんだ。気に入ってもらえたかな…?」
「すごく楽しかったですし、いい思い出になりました」
「よかったぁ…!あの子のこともよろしくね、いつかきっと、照くんが掬い上げてくれるって、僕はそんな予感がしてたんだ。僕には言えないことも、照くんになら伝えられると思うから。自分のことより誰かのことを先に考えちゃうあの子のことを、照くんが一番に大事に思ってあげていてね」
「はい、もちろん」
「お仕事の方も、いつも本当にありがとう。僕の夢を託した人が照くんで本当によかった。みんなに背中を見せてくれてありがとう。たまには筋肉休ませてあげてね」
「ふひひっ、はいっ」
話している最中は親父から言葉をかけてもらえたことが嬉しくて抜けていたが、彼が次の仕事先へ出掛けていったあと、ふと思い出した。
あの部屋、親父も泊まってたのか…。
そんな大事な部屋で今日の朝方までなかなかのことをしていた、という罪悪感が募るエピソードは墓場まで持っていこうと密かに決めた。
風呂から上がり部屋に戻ると、そこにはふっかがいた。
「どしたの?」と尋ねると、そいつは小さな箱を俺に差し出した。
「開けていいの?」
「ん」
「なんだろ、、ぁ、ピアス…?」
「おう、一応な…」
「一応ってなにそれ、ぃひひ、ありがと」
「…ん」
小ぶりなフープ状のものだったので、仕事中も付けられそうだった。
重たい思考かもしれないが、これならどこにいてもふっかと一緒にいられるような気がする。
これはまた、明日から現場の子たちの筋肉トークに花を咲かせてしまいそうだ。
別に話すほどのことでもないし、隠しているつもりもないので俺としては何も問題はないが、ふっかは気にしそうだ。
構うもんか、しれっと付けてやるんだから。
俺にはふっかが必要で。
ふっかも俺が必要だって言ってくれたから。
だからきっと、俺たちは無意識に自分の分身になってくれそうな、身に付けられるものを選んだ。
重たくて、切実で、我儘な子供みたいだ。
どんな時も隣にいてほしい。
自然と追い縋るような言葉ばかり浮かぶのは、それだけ一緒にいることが当たり前で、失うことを怖いと思うから。
目の前から綺麗に消えてしまったとしたら、もうきっと、息も出来ない。
もらったピアスを早速付けて、心に浮かんだ気持ちを頭の中にあるノートに書き連ねる前に、伝えた。
「いつもそばにいる」
照れくさそうに笑う顔を覆ったその腕には、数日前に渡したブラウンのバンドに金色の盤面が輝く、あの時計が収められていた。
05.17 Happy Birthday,Hikaru.
おまけ
「俺絶対ピノ◯オ!」
「俺ク◯パにしよ。ステージどこにする?」
「モーモーサー◯ット一択」
「平和でいいじゃん、おっしゃ、始めようぜ」
「いぇーい!スタート前のアクセル準備が肝心…3…2、おっしゃ今だっ!…GO!!っ!?くそっ!!エンストした!」
「だははははッ!うるせぇな!!」
「静かにやってもつまんないじゃん!」
「まぁな、お前がうるさいと楽しいよ」
「にゃはは。んでさ、いつから行くの?」
「…ぁ?」
「とぼけんなって、みんな察してるよ」
「まぁバレるか。前日から」
「いつ帰ってくんの?」
「あいつの誕生日の次の日。夕方には戻ってこれんじゃねぇか?」
「おけー、準備しとくー」
「悪りぃな」
「そこは「ありがと」って言ってよ。お前が我儘言ってくれることなんか全然無いんだからさ、こういう時ぐらいしたいようにしてくれた方が、こっちも嬉しいよ」
「そうかよ、なら、ありがとな」
「その代わり!今年は俺とめめも好きなようにさせてもらうからね!」
「へいへい、勝手にしな。ちびっ子たちの前以外でってとこだけはちゃんと守れよー」
「わかってるって!」
「…ま、あとはあのおこりんぼがどこまで許してくれるかだな」
「そこは任せてよ、とびっきりの作戦二人で考えてんだから」
「気が早くねぇか?」
「そんだけ今年は気合い入ってんのーっ!」
「そうかよ。ま、頑張れ」
「それはこっちが言いたいよ」
「ぁ?なんでよ」
「旅館で二人っきりでしょ?好きな子と。普通はなんかあんじゃ無いのん?」
「…いや、あいつに限ってそれは…」
「ゼロって言える?」
「う…」
「心の準備ぐらいはしといたらー?」
「…いや、でも、さ…ぁはは…まだ始まってそんな経ってないしさ、あいつガキっぽいし、まさか、そんな、ね…ぁ、あははは…」
「うはははッ!マジおもしろ!ちゃんと動揺してんじゃん!」
「うっ、うるせぇっ!お前こそ何年も初恋拗らせてたじゃねぇか!」
「俺たち、もう大人の階段登ったんで☆」
「うぜー」
「おっしゃ!来た!トゲトゲ喰らえーッ!」
「は!?ぉまっ!ふざけんな!」
「この勝負…もらったぜ!っし!ゴール!俺の勝ちー!」
「くっそ…!もう一回!」
「んはははっ!やろやろ!次どこにする?」
「ね◯れマン◯ョン!!」
「おっけー!!」
続
コメント
4件

楽しかったです! 💛💜2人のいちゃいちゃっぷりも 見せつけられた感じでニヤニヤほっこり おまけパートも含めてナイスアシストの 🩷さんがさすがです👏 坊❤️の成長も楽しみです!!
もうみんながみんな良い奴すぎてなんか泣けてくる🥹🥹 ほんとこのお話大好きです😭😭😭🤦🏻♀️ 💛お誕生日おめでとう💛💜