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そして部屋に入るとあの男がお茶を用意して待っていた。
「お疲れ様です、坊っちゃま。」
「お前は相変わらずだな。寮の管理人は身元を照会されるだろ。」
「その通りです。上流貴族の身元保証書か一定以上の勤務経験の証明書が必要ですね。」
「父上の名前を使ったのか。そしてアルヴィアン侯爵領のどこかの男爵や子爵にいたことにした。俺とは引きこもり侯爵令息だから直接的接点はない。」
「その通りです。さすが坊っちゃま。」
「本当にお前が敵じゃなくて良かったよ。」
「で食堂は行かれますか?」
「お前のことだからもう食事は用意してあるだろ?明日の昼はいい。あと今夜は久しぶりにゆっくり寝るから管理人としての仕事をしろ。」
「承知しました。やっぱり坊っちゃまはあの方の息子なのですね。」
「父上に俺は顔向けできると思うか?」
「ええもちろん。あの日私はあの方に何があっても生きていけるようにあなたを育てあげるように言われました。」
「ああ、父上は一体誰を敵に回したのだろうか?」
これは夢だ、理解している。レスター・アルヴィアン。聡明な発明家であり冷静沈着な策士、そして厳しくも優しくあった俺の父上で俺が世界で一番尊敬する人間。俺は天井の方からあの日の光景を見ている。