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榎本くもり
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☆Ruru☆
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いか焼きサンド
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人間の姿をした異形は、ゆっくりと輪郭を失い崩れていく。まるで自分が何者だったのかさえ忘れてしまったかのように。
『ふぅ…片付いた……』
私は小さく息を吐き、魔法少女の姿を解いた。
その瞬間、背後から複数の足音が聞こえてくる。
振り返ると、一人の少年──いや、少女がこちらへ向かって全力疾走していた。
『うわぁぁぁん!! まるちゃ〜ん!!』
『ぐぇっ……!?』
勢いそのままに飛びつかれ、思わずよろめく。なんとか転倒だけは免れた。
『ど、どうしたの……?』
私にしがみついているのは、 羽結良琴雅(はゆら ことが)。
女の子ではあるが、整った顔立ちと短めの髪のせいで、初対面では大抵美少年に間違えられる。
『琴雅はねぇ……まるちゃんのこと、ちょ〜〜心配してたんだよ!?』
抱きついたまま、潤んだ目で見上げてくる。
身長はほとんど変わらない。けれどなぜか不思議と、ふとした時に妹扱いをしてしまう。
怪我ひとつしていないのに、ここまで心配されると少し申し訳なくなる。
『はいはい……ありがとね?』
そう返すと、琴雅は頬をぷくっと膨らませた。
『仲間として本気で心配してるのに、その反応は薄くない!?』
『だって、私は無事だったし……』
『そういう問題じゃないの!』
琴雅はさらにぎゅうっと抱きついてくる。
相変わらず大げさだな、と思いながらも、その温もりに少しだけ気持ちが和らいだ。
すると後ろから呆れたような声が聞こえた。
『お〜い、お前ら。そんなところで何やってんだ?』
『あ、来た来た!』
こちらへ向かって歩いてくる仲間の姿が見えた。
どうやら無事だったらしい。
そのことに胸を撫で下ろしながら、私は小さく笑った。
『心配して来てくれたの?w』
『んなわけないだろ……仲間だから。それだけ。』
『ふ〜ん……??』
琴雅はようやく私から離れると、少し口は悪いけれど本当は優しい織千亜 蓮翔(おちあ れんと)の方へ近寄り、にまにまと笑う。
蓮翔は露骨に嫌そうな顔をした。
『んだよ……』
『べっつに〜??』
どう見ても何か言いたそうだ。
けれど蓮翔もそれ以上は追及せず、面倒そうに顔を背ける。
私は少し戸惑いつつも、聞いていないふりをすることにした。変に首を突っ込むと、面倒なことになる気しかしない。
すると、もう一人の仲間がこちらへ歩いてきた。
優等生らしい落ち着いた雰囲気を纏う、迅十 蒼那(はやと そうな)だ。
蒼那はメガネを外し、レンズを軽く拭きながら口を開く。
『蓮翔、少し素直になってはいかがですか?』
『は? お前に言われたくねぇよ!! 腹黒がっ!』
その瞬間。
蒼那の笑顔がぴたりと止まった気がした。
……気のせいではないと思う。空気がほんの少しだけ冷えた。
私はそっと視線を逸らす。
面倒事には関わらないのが一番だ。
そんな空気を察したのか、琴雅が二人の間にひょこっと割り込んだ。
『喧嘩は別でやってねぇ〜?』
にこにこと微笑んでいる。
けれど――
目だけは、全く笑っていなかった。
蓮翔と蒼那が同時に黙る。
琴雅が一番怒らせちゃいけない気がする。
『もう! 琴雅も蓮翔も、蒼那も私を置いて走ってったり……歩いてったり!!』
息を切らしながら、ふらふらとこちらへ走ってくる。
彼女は星本 澪奈(ほしもと れな)。
美人で、自分が綺麗だということをちゃんと理解しているタイプだ。
ただ──
運動音痴である。
正直、魔法少女に向いているかと言われると微妙な気もする。
けれど本人なりに努力しているし、任務もこなしている。政府から何か言われている様子もないので、その辺りは問題ないのだろう。
『澪奈……運動音痴すぎ。』
私が思わず呟くと、澪奈はショックを受けたように目を見開いた。
『まるちゃ──真梨瑠ちゃんは??』
危うくいつもの呼び方をしそうになりながら尋ねてくる。
『私はそこまでは……』
言った瞬間、澪奈の表情が固まった。
数秒の沈黙。
そして、じわじわと現実を突きつけられたらしい。
『あっ……』
顔がみるみる赤くなっていく。
『私のHPはもうゼロ……』
そう言いながら両手で顔を覆い、その場でしゃがみ込んだ。
『嘘つけ。』
蓮翔が即座に突っ込む。
『蓮翔、酷い!!』
言葉にはしないものの、蓮翔の顔には「いや、お前が嘘ついたからだろ」と、そうはっきり書いてあった。
隣では琴雅がくすくす笑い、蒼那は「元気そうで何よりです」とでも言いたげな顔をしている。
『あはは……』
思わず苦笑いが漏れ、咄嗟に黙った。
『今日もみんな無事ってことで、おしまい!』
琴雅がぱんっと手を叩きながら宣言した。
まだ蓮翔と澪奈が言い合っており、それを面白そうに観察している蒼那。
この3人は、ある意味相性抜群な気がする。
喧嘩さえしなければ。
コメント
1件
第2話、めっちゃ良かったわ…!戦闘後の日常パートでキャラの個性がしっかり出てて、もうチームの空気感が伝わってくる。琴雅の過剰なスキンシップと「目が笑ってない」ギャップがたまらんし、蓮翔のツンデレっぷりも蒼那の腹黒そうな笑顔も全部好き。澪奈の運動音痴エピソードで「まるちゃん」呼びをうっかりしそうになるところ、可愛すぎだろ…。この4人の掛け合い、もっと見たいわ🔥