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「この怪現象を終わらせるには、お母さんあなたの覚悟が必要です。過去に自分が犯した罪を娘に伝えなくてはならない。その覚悟はありますか?」
母親は目に涙を滲ませながら、頷いた。
「わかりました、早速始めましょう」
僕は美海を手招きし、母親の隣に座らせた。
「今から2人同時に霊視をする、美海、お母さんの記憶を見るかもしれないが、お母さんの好きな所だけを考えろ、優しい母親、家族との思い出そんな事だけを信じろ、わかったか?」
美海は戸惑いながらも頷いた。
俺は迦楼羅炎を解放した🔥背後を灼熱の炎が燃え上がる。
その炎を両手に集中して2人の手を握った。
俺が見る光景はこの親子にも見えるはず。目の前にあるのは、あの一軒家と外には母親の姿がある。
中から数人の若者が出てきた。事件のあった当日のようだ。この家の中に千尋がいるはず、俺は家の中に入って行った。
中はごく一般の作りになっている。空き家になってからおよそ10年くらいか室内は埃っぽい。一階には千尋はいない、2階か?階段を登り2階に向かう。
中は夕方ともあり薄暗い、2階に上がると3つ扉がある。少し物音がする一番左の部屋に入る。
千尋の姿が見えない、でも畳には僅かな血痕跡がありこの部屋で間違いない。
部屋の左手に押し入れがある。押し入れの中から音がする。
「ガリガリガリ」
襖をゆっくりと開けると膝を抱えてうずくまる千尋の姿がある。
肌が露出してる部分にはアザが複数あり、なんとも無残な姿だった。
それから場面が変わり、彼女の自宅であろう場所にかわった。
千尋は部屋を飛び出して廊下の突き当たりにあるトイレに駆け込む。
嗚咽をしながら、トイレで倒れ込む。千尋の力なきその手には妊娠検査機が彼女は妊娠していた。
きっとあの時、暴行された時に宿されてしまったのであろう。
そのまま場面が切り替わる。寒空の河川敷?
千尋は国道が上を走る橋下にいた。少し膨らんだお腹に手をあて、ゆっくりと川の中へ引きづり込まれていく。
結果的に千尋の独断で生まれてきたいという新しい命の希望をたってしまった、若き母親、千尋であった。
僕はゆっくりと目を開けた。寝の前には泣き崩れる親子の姿があった。
「今のはお母さんに憑いている千尋さんの当時の記憶です。当事者は恨まれても仕方のない、許されぬ行為だったと思いますか?」
「はい。。。」母親は涙をハンカチで拭いながら小さな声で返事をした。
「千尋さんは貴方と娘さんに同じ報いを望んでいます、俺の力では娘さんは救うことはできても貴方のことは救うことはできない。」
「貴方が全てを背負うと言うことで千尋あんと交渉しますが、その覚悟はありますか?」
「娘が助かるならどんな事でも構いませんお願いします。」
俺はわかりましたと回答し、3人でパラドックスに一度戻った。
午前0時までこの店から絶対でないよう美海に伝え、母親とともにタクシーにのり込み。
自殺した河川敷に向かう。当時と同じような凍てついた風が吹き付ける河川敷、周りには誰もいない。
「いるのはわかっている、出てきてくれないか?」
ピリピリと霊気が辺りを漂う。千尋が姿を現した、ずぶ濡れの制服姿、体はふやけて、所々肌が溶けている。
そしてもう1人、千尋の生まれてくるはずだった娘だ、20歳くらいか?生まれてくればこのくらいであろう年頃だ。
ただ、数多くの念や呪い殺した、子供たちの念を吸収したせいか単体というよりは複合体だ。
まずは話ができるようこちらの力を見せつける必要がある。
俺は力を解放し迦楼羅炎を燃え上がらせる。さてとどう交渉するか。