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ゆづねこ
138
黒蜜
205
#アメソ
☆すたーだすと☆
132
この物語に、政治的意図・戦争賛美の意図はありません。また、現実とは関係はありません。
旧国が出てきます。
グロテスクな描写があります。
史実・原子爆弾の描写があります。
書き手の妄想が大幅に含まれているので、史実に忠実ではない部分があります。
それでもいい人は…先にお進みください。
1945年8月6日。
私はその時、政府の命で…沖縄から京都に避難している方々に合流して、降伏…という手筈の下、広島を経由している途中だった。
その日は…確か、27℃…だったか。朝っぱらから暑くて暑くて…。陸軍の兵器補給廠があったから休ませてもらったが…5時には起きて、支度をし、6時頃に、やっとその場を出た。
私は広島の産業奨励館…物産品の展示販売をしている場所に行き、多少の物資を確保してから向かう予定だった。 …まあ、少し時間が掛かっただけで、何とかなったはなったが。
…しかし。7時9分。空襲警報が発令した。
警報がなり、ざわざわしながら奨励館から立ち去る人々。泣いたり、不安そうな顔をする赤ん坊や子どもたち。何かを感じ取ったのか、家や路地裏に隠れる犬や猫。
ただ、それは杞憂だった。それはすぐに鳴り止み、人々や動物たちは安心したようにして物陰から出てきた。
「あ!陸のおにーちゃん!」
子どもの一人が、朝日のような笑顔で話しかけてくる。
「…勝(まさる)。大丈夫だったか?」
「うん!けーほーが出て怖かったけど、心配いらんよ!」
「お、勝じゃあねーか!」
もう一人、大人の男性、それも、「漢」とでもいうような人が出てきた。
「あっ!明(あきら)のおっちゃん!」
「…く〜ぅ…俺、今は22なんだが…、それに、何なら陸さんのほうが年上だし…」
「え〜えっ!?ウッソ〜!見た感じ僕のおにーちゃんくらいやけど!?」
「…これでも、もう生きている年はおじいちゃんだよ。勝。」
「つまり、俺も年下…てことだ、分かったら『お兄ちゃん』ていってくれ、せめて。」
「は〜い!おっちゃん!」
言われると同時、明は「ガックリ」と音がしたかのように、肩を落とした。その隙に、勝はいたずらっぽく笑い、学校の方向へ向かった。それを見て、私は久しぶりに笑った…気がした。
「…駅から行きたいのだが、今何銭で行けるか分かるか?」
「あ〜…10銭、だな。大戦中だかんな、値上げが凄いんだよ。燃料も、電力も…搾りカスみてえだ。」
「…足りないな。はあ。」
「あ゛〜…、なら、家で働くかい?3時間…いや、2時間でいい。やるよ。」
「商店だったか…?それで、売り上げは平気なのか?」
「あー、あー…気にしない気にしない…ま、大戦が終わって落ち着いたら…一杯付き合えよ、そっちの奢りでな。」
「…本当に、ありがとう…」
「へへ、まあ国の化身サマがいりゃあ、百人力だ。」
「ハハッ…そんなに私は強くないさ。」
「嘘つけい。確か、何だっけ…1師団を、一人で潰したんだっけか?2万人ぶっ潰すとか…ホント、心強えったらありゃあせんよ。」
「はあ…それは、アイツらが多少盛ったんだろう…多分」
「覚えてねえのかい。」
「…殺した奴を全員覚えていたら、それこそ軍人としてはやっていけんよ。」
確かにな、と笑い飛ばす明。
ーその後、しばらく商店の接客を手伝っていた。
「ありゃ、もう1時間か。早いねぇ。売れ具合もバッチリだよ。陸さん。」
「私は関係ないとは思うのだがな。
…確かに、『もう8時』か。」
「…はあ、今日はあっちいねぇ〜…」
「こんな日は、氷が恋しいな。」
「あ゛〜、確かにな、…売れるかねぇ。」
そんな事を話しながら、客を待っていた。
その時、B-29が、空を飛んでいるのを見た。
あゝ、あゝ。何か、用でもあるのか。
また、空襲を行うのであろうか。
しかし、其れは空を舞うだけで、
何もしなかった。何も、起こらない。
なら、良いのだ。この際、領空がどうのと言うものは、意味を成さない。…侵すだけならば。
そこに存在するだけならば、だけなのならば…それで、良いのだ。
そうして、目を逸らした。
明は、客寄せに外に出て、道行く者に商品の宣伝をしている。
今日は、無事に終わるのだろうか。
そんな事を思いながら、
道行く人々を眺めていた。
コメント
1件
あまさん、お疲れさまです。第2話、拝読しました。 戦時中の広島の、ぎりぎり日常が続いている一瞬を丁寧に切り取ったお話でしたね。空襲警報が解除されてほっとした空気や、勝くんの無邪気な笑い声、明さんとの軽妙なやりとりが、かえってその後に待ち受けるものの重さを感じさせます。 特に陸さんの「♡♡♡た奴を全員覚えていたら…」という台詞が心に残りました。彼の背負っているものがひしっと伝わってくるようでした。 続きがどうなるのか、とても気になります。素敵な作品をありがとうございます。