両片思いをこじらせている二人の話。

第50話　「言えること言えないこと」

「……」

史花と別れた夏実は、自室に戻ってから数分、テーブルに置いたスマホを見据えていた。

――京輔は女性経験があるのか。

――あるなら、何人くらいとあるのか。

史花との後半の会話がずっと頭の隅に残ったまま。

直接は恥ずかしいので、会話アプリで聞いてみようと思ってスマホを取り出したわけだが――

（文字改めて打つのも、結構……ハードル高い……でもいきなり聞こうとしなければいいよね……まずは、雑談！）

とスマホを手に取ろうとした瞬間――スマホが振動した。

「！」

手がビクっと反応してから、恐る恐るスマホを手に取る。

画面には京輔の名前が表示され、『いきなりだけど、今週末時間ある？』というメッセージ。

「す、すごいタイミング……」

そのままアプリを開く。

これはチャンスだ。

雑談がてら、それとなく――

「『うん、ヒマだよ』」 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

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