ジョルノ「あれはフーゴか?」
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~遡ること1週間前~
今日は性の診断結果が届く日だ。ジョースターの家系は歴代全員アルファらしい。だから必然的に僕は生まれつきアルファだ。突然変異が起こることなんて極稀なのに毎年受けなければならない。僕はこの検査自体が無駄だからうんざりしている。寮暮らしの部下の診断結果はパッショーネ本部に届くようになっている。診断書が入った封筒を整理する作業は面倒だからミスタにでも頼もうかと思っていたが、どうやらミスタは任務に向かっているようだ。ミスタ以外に気軽に頼めるかつ、心からの信頼がおける幹部はそうそう居ない。フーゴに頼みたかったけど彼は幹部でなく、裏切り者だという認識をされている。こういう個人情報が書いてある書類を託すのは周囲にゴチャゴチャ言われそうだ。
仕方がないから、僕が担当する。
宛先を確認しながら寮のポストに封筒を入れていく。無駄な作業だ。ふと“パンナコッタ・フーゴ”と書かれた封筒を見ると、少し魔が差してしまった。
僕は、フーゴのことが好きだ。ここだけの話、麻薬チームの件の後、彼を組織の支配下に置けた事でひそかに高揚感と優越感に浸っていた。だが、これだけでは彼を完全に支配しているとはいえない。どうにかして手に入れたい。彼の事は誰よりも分かっていたい。全てを知っていたい。
僕は彼の性を知らない。
フーゴ宛ての封筒の先をスタンドで出した薔薇の棘で切っていく。
診断書が入っている。
━━━見る。
ッ!?
オメ…ガ?
その時真っ先に浮かび上がった感情は、歓喜だった。彼がオメガなら、本当にもしかしたら僕に想いを寄せてくれるかもしれない。
しかし、ふっと思考が冷静になる。これまでフーゴにオメガ特有の甘い匂いを感じたことが無い(そもそも最近はあまり会わなくなっていたのだが)。突然変異したのか?それにいつも飄々しく冷静なフーゴが僕に想いを寄せるだなんて夢のまた夢だ。彼の気持ちが最優先だ。僕が告白して傷つくのなら絶対にこの恋心は隠した方が良い。
グルグルと思考が巡る中、ずっと寮の前に突っ立っているのに気づき、我に返った。とりあえず封筒をスタンドで境目が見えなくなるほどぴったりくっつけて元に戻す。そしてポストに入れる。
自分の部屋に戻り、しっかり考える。僕はフーゴに恋心を抱いているが、フーゴの僕に対しての気持ちはどうだろう。ただ忠誠心だけなんだろうな。でも、フーゴはオメガだ。恐らく突然変異だ。オメガとアルファは惹かれ合う性質を持っている(フーゴがオメガになる前から僕は彼のことが好きだ)。…思い切って告白するか?想いを伝えずにずっとこのままボスと部下の関係は嫌だ。
この時、僕は覚悟を決めた。
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ちょうど今告白をするためにフーゴをディナーに誘おうと思っていたのだ。だが、明らかに様子がおかしい。はあはあと息が荒く、顔も紅い。…発情期か!?
大変だ。早く助けないといけない。
なるべく冷静に見えるように。醜態を晒さないように。
「フーゴ。大丈夫かい?」
僕はフーゴに声をかけた。
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