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どうやら近くで大きな雷鳴があったらしい
それはもう、随分と大きな…
兄と顔を合わせ、暫く考えてからこう言った
「…少しだけ外、見に行くか。晴れてるし雷ではないだろ。駐屯兵団が砲弾を落としたのかもしれねぇ」
私は兄の”だから”という言葉の先が気になったが
外に出ることで冷静になれるなら
それが最善だと思った
しかし、互いに膝が折れそうな思いだったので
外に出る為の扉がとても遠く感じた
半ば千鳥足で扉に手を触れる
そして、その直後
先程の雷鳴よりも、ずっと大きな揺れと音がした
「ッ何だ?!」
あまりの揺れに、家の窓ガラスが割れる
一時の揺れが落ち着くまで兄は私を抱えた
なんだ、なんなんだ
爆風か
大きな爆弾でも落としたのか
叫び声が聞こえた
何か大きな物が絶えず落ちてくる
心臓の音がうるさい
怖い
「クソッ…!」
『お兄ちゃん待って!』
床に座り込む私を置いて、兄が先に扉を開ける
それに続いて辺りが見える位置まで移動すると
眼前に、壁にあいた大きな穴
そして壁の上から見える
『ッ……!』
あいつ?
あいつなの?
あれが、巨人ってやつなの
あいつが壁に…穴を
「み…ミロア、巨人が入って来た…逃げなきゃ…」
兄の声で我に返る
少しだけ余所見をした瞬間
その赤い巨人は、蒸気を立てながら沈むように消えていった
「聞いてんのかミロア!!死にたくねぇなら…!」
『駄目…駄目だよ』
周りをよく見ずと判る
壁の瓦礫と巨人のせいで、人と家が潰れているんだ
私は既に頭の中で”最悪”を思いついてしまった
「おい!どこ行く?!」
声が届くよりも前に、私の足はもう動き出している
そうだ、今は無差別に何もかも潰される可能性がある
つまり
ジュニー達がいる院も例外ではない
分かっている
壁に穴が空いてるから、巨人だって入ってくる
早く逃げないといけないのに
『(置いていける訳無い…!)』
私の思惑が分かったのか、兄の走る音が後ろから聞こえる
2つほど角を曲がると、すぐに院へ着いた
『ッ…!』
あぁ、やはり最悪だった
母の命を繋いでいた院は
既に大きな岩により半壊し
瓦礫の下から血が流れている
居ても立っても居られなくなった私は
瓦礫を退かそうと必死になる
「やめろ!もう遅い何してる!!俺達だけでも…」
『だって、だってね、ここにっ…!お母さんとジュニーが!!』
「?! ミロア駄目だ!伏せろ!!!」
兄の声の数秒後、大きな音がして
一閃、飛び散った瓦礫は私と兄を貫いた