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ut「終わった…」
自室で力の無い一言を呟き、机に伏せる。
今ちょうど溜め込んでいた書類の数々が終わりを迎えたのだ。
いや、厳密に言うと、俺以外の奴らが溜め込み続け期限内に提出できなかった書類である。
赤色と橙色と桃色と灰色のせいで今日は日付が変わるまで作業させられていた。
諸々の書類をまとめ、寝具に身を包もうとしたが先程摂取したカフェインのせいでどうにも寝付けそうにない。
ut「くそ…最悪だ」
なかなか寝付けないのと書類諸々のストレスで極限状態に近しい状態になっていた。
ut「…屋上にでも行くか」
そう言葉を残し、一箱の荷物を持って古い自室の扉を開けた。
外の空気は少し冷たかった。
9月半ばの少し体が冷えるような風が体を包む。
カチッ
持っていたライターを付ける。
火が煙草につく。
一息吸って、空に煙を飛ばす。
ut「はは…朧月みてえだな」
今日は満月だ。
自分の吹いた紫煙が雲みたいになって満月にかかっていく。
なんとも秋らしい風情のある瞬間だ。
ut「1人で秋を独り占めしてるのはなんかもったいないな…w 」
かといって誰かを呼ぶのももったいない。
今は自分のストレス解消のためにゆっくりしてるんだ。
邪魔されたらたまったもんじゃない。
そう思い口に一息、煙を吸い込む。
もちろん、最初は周りに煙草は止められてた。
健康に良くない、周りに見られたら立場的にも良くないから。
けど煙草が吸いたくなったというのもまた事実。
みんなが寝静まった夜の屋上で吸うことにしているのだ。
多分数人にはバレてる。
だが別にいい。
これは自分なりのストレス発散法であり、溜め込んでいた書類が終わった後の楽しみでもあるのだ。
まぁ吸いすぎないように気をつけるようにはしている。
この1本吸い終わったら部屋に戻ろう。
そう思っていた。
来訪者が屋上へとやってくるまでは。