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【恋愛反則ダーリン】
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この世界の人間には、
人それぞれ能力がある。
能力っていうのは、
身体能力とかそういうんじゃなく……
物を浮かせたり、
「浮見さん!そこのファイル取ってくれます?」
浮見「はいよ〜」
「ありがとうございます!!」
火を吹いたり、
「は、っ、ハッフゥ!!!」
「ちょっと石火矢さん!!?
書類に火つくんであっち向いてくださいよ!」
石火矢「すまん、我慢できなくて……」
それから……
『ごめんね。別れよ』
「っ………!!??」
浮見「あれ?朝来くんどうしたの?」
朝来「………また未来見えたちまった、!!」
未来を見たり。
そういう非現実的な“能力“である。
______________
朝来「はぁ〜………」
石火矢「まぁまぁ。そんな落ち込むなよ。
それにしても彼女と別れる未来とか最悪 だ
な……」
朝来「そうでしょ!!?、そうですね………」
浮見「で、でもさ!?別れるって決まったわけ
じゃないんだし……」
朝来「……俺がみる未来って、
大体当たるんですよ。」
______________
初めて未来を見たのは小学校3年生くらいの頃
最初は未来を見れるなんて最高とか思ってた。
けど、未来が見えるなんてそんなにいい事じゃない。
未来は変えたくても、
そう簡単に変わるものじゃない。
『……別れよ。』
朝来「っ……!?なんだ、今の、」
それは初めて彼女ができた中学1年生。
未来が見えた。
彼女と別れる未来。
そしてその数日後。
朝来「……まさか、な、」
彼女に色々気を遣ったり、
色々してみたのだが……
彼女「別れよ。響真くん。」
あっけなくその日は来てしまった。
それから彼女ができて、
別れる前には必ず未来が見えた。
______________
朝来「そういうわけなんですよ………」
2人「あー………」
俺がそう話すと、2人は気まずそーな顔をして言葉を探しているようだった。
本来ならこういう話はあまり人にしたくないのだが、普段から仲の良い先輩達なので、今日だけちょっとめんどくさい後輩になろうと思う。
朝来「いいですよ、無理に慰めなくても……
慣れてますし……ただ今回は3年も続い てて結
婚とかも考えてた彼女だってだけですか ら…」
石火矢「…今日、飲みにでも行くか?」
浮見「奢るわよ」
朝来「………おれ焼き鳥食いたいです」
浮見「……….アンタ落ち込んでる割には結構
元気よねさては。」
朝来「そんなことないです。」
そうこう話していると、後ろからコツコツと
足音が聞こえて来た。
「おい朝来。なにサボってんだよ。」
朝来「げっ、泉」
泉「おい。人の顔見てげってなんだよ」
泉 圭人。
コイツは俺の同期で、真面目で頑固でウザい。
そして俺以外の社員にはいい顔してんのがムカつく。
あと顔がいいのもいけ好かない。
というわけで、
俺はコイツが大大大大大っ嫌いだ。
朝来「俺朝からお前の顔なんて見なくねーもん
ただでさえ今俺は気分が悪いのに。」
泉「…?コイツどうしたんですか?てか先輩達
もサボってないで仕事しなきゃでしょ?」
浮見「あー、彼女……」
浮見さんがそう言いかけた瞬間。
食い気味に泉が割と大声で……
泉「は!!?彼女と別れる未来!?」
そう言った。
朝来「おい声デケェよお前!!!なんだと思っ
てんだここ!会社のデスクだぞ!!?」
泉「すまん。驚いて、それにしてもお前そんな
ことも視えるんだな。」
そう言って軽くふふっと笑った。
コイツ他人事だからって笑いやがって……!!
ちなみにコイツ……泉の能力は、テレパシー。
つまり人の心が読める能力だ。
人の心が読めるって言っても、ずっと聴こえるわけではなく、度々聞こえてくるらしい。
朝来「お前笑いやがったな?
他人事だからって!」
泉「いやいや悪かったって。
………おー、今日飲みに行くのか。」
朝来「……お前誰の読みやがった、??」
石火矢「あー、多分俺かな。ちょうどどの店に
しようか考えてたし。」
泉「可哀想だし俺も行ってやるよ」
朝来「嫌だ。来るなお前は」
泉「いーじゃん別に。
それに先輩達も嬉しいでしょ?」
浮見「正直言っちゃうと給料日前だから……」
石火矢「もう1人いるなら助かるよね」
泉「…だってさ」
朝来「くっそ!!」
「泉さーん!この資料確認お願いします」
泉「はい。今行きますね
そういうことだから、またな朝来」
朝来「………」
______________
カタカタカタカタ
アイツが新入社員の子に呼ばれてから、
俺と先輩達も仕事に戻った。
それにしても腹立つ!!!
アイツ絶対俺が嫌がる
ってわかってて来てんだろ!!
先輩達もなんでOKしちゃうんだ………
嫌だって言ったのに。
今日はしこたま飲んで食って3人の財布ガラガラにしてやる、!!!
そう意気込んで仕事に打ち込んでいると、
若い女性社員2人の会話が聞こえて来た。
「泉さんってイケメンだよね!!」
「わかる!黒髪に泣きぼくろとかめっちゃいい」
「彼女とかいるのかなぁ…」
「そりゃいるでしょ!!
あんなにイケメンなんだし。」
…………やっぱムカつく。
______________仕事終わり。
居酒屋にて、
仕事が終わり、
俺達は朝来の話を聞きながら酒を飲んでいた。
飲む前俺たちの財布を枯らすと意気込んでいた朝来は、机に突っ伏して酔い潰れている。
朝来「うぅ………」
浮見「私達の財布枯らす勢いで飲むとは言って
たけど、飲みすぎよね」
泉「おい、起きろ朝来!帰るぞ」
朝来「んぅ……ぅ、」
コイツ酔うと寝るタイプか…?
めんどくさい………
浮見「ダメだわ。起きない。」
石火矢「こりゃ誰かが運ぶしかないな……」
2人はそう言うと、
ジーっと俺の方を見て無言の圧をかけてくる。
泉「…なんで2人して俺の方見るんですか?」
石火矢「そりゃあ、同期だし、同い年だし…」
浮見「石火矢さんは奥さんとお子さんが居る
し、私は朝来くん運ぶだけの力ないし」
2人「「ね?」」
泉「は!?俺だってコイツ運ぶとかむり、」
2人「「ねー?」」
……どうしても俺が 運ぶ展開になりそうだな。
泉「…はぁ。わかりましたよ。
めんどくせぇな」
石火矢「…………朝来もそうだけどさ。
コイツら 俺らへの対応が周りと違く
ね??? 他の社員には猫被りまくって
るのに」
浮見「まぁまぁまぁ。
それだけ懐かれてるってことよ。」
石火矢「そっかぁ、そういうことかぁ。
そう思うと可愛く思えてくるわ」
浮見「でしょ?」
泉「ちょっと。
勝手にいろいろ言わないでくれません?」
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2人と解散して近くの公園のベンチに座る。
とりあえずタクシー呼ぶとして、
コイツの家俺知らないんだよな………
夜風に当たったら多少酔いも覚めるかと思ったけど。
朝来「んー、」
泉「………全然起きなさそうだな。」
でも家聞かないとどうも出来ないし。
無理矢理にでも起こして聞くか。
泉「おい。朝来、そろそろ起き………
ろ、って、」
朝来「……ん、」
朝来の顔を覗き込むと、
閉じた目からぽろぽろと涙が溢れていた。
泉「………何泣いてんだよ。
俺だったら………泣かせたりしないのに。」
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[おまけ]
⚪︎朝来 響真(あさらい きょうま)
・能力:未来視-前触れなく未来が見える
⚪︎泉 圭人(いずみ けいと)
・能力:テレパシー-ずっとでは無いが、
人の思考が頭に流れ 混んでくる
⚪︎浮見 風子(うきみ ふうこ)
・能力:物を浮かせる- 物を浮かせたり 、
動かしたりできる
⚪︎石火矢 豪次郎(いしびや ごうじろう)
・能力:火を吹く- そのまんま