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「皆さんおはようございます」
朝礼が直に始まった、
あぁまた一日が始まるのか。
「連絡事項は…特にないですね!では一時間目はHR、なのでパソコンを用意しておいてください。」
…あっさり朝礼が終わってしまった、
前年では授業に食い込むくらいだったのに。
僕は特別仲のいい友達はいない訳では無い、
ただ
(…はぁ、群れたくは無いな)
群れが嫌いだ。
戯れなら抵抗は無いのだがなぜ嫌いかと問われると、
理由は一つ自分の個性が縛られる世界に、
何故僕が入り込まないといけないのか。
とずっと疑問を抱いているからだ。
まぁ、そのせいで前年の先生からもクラスメイトからもいけ好かないと定評があった。
(別に、今はあいつさえ居ればいい)
あいつって言うのは田村華澄の事だ。
中一から仲良しのクラスメイトで密かに好意を寄せている人間でもある。
そして、唯一の『理解者』。
(あいつがいたから自分がある…と思っておこう。)
いつも通りの『観察』が終わった所で、
チャイムが鳴った。
一時間目の始まりだ、
たしかパソコンを用意するんだったな…。
「…皆さん全員いますね、では早速自己紹介からお願いします。」
「うげっ」
早速始まった、毎年恒例の『自己紹介』…。
自己紹介は好きでも嫌いでもないが、
聞く分には構わない。
だが自分のことを紹介なんて出来たもんじゃない。
何せ、まだ高校になりたて
ホヤホヤで引きこもりのオドオドした情けない奴に自分のことを話せだと…。
(…………自分の事なんて、分かるはずないのに。)
世間ではこういう馴染めないヤツのことを
『逆張り』や『餓鬼』と呼ぶのだろう。
そう呼ばれる分には構わないさ。
機械的に拍手する自分にもとうとう番が回ってきてしまった。
「では、咲さん、自己紹介を…。」
「…あ、えっと」
不味い、数多の目玉がこちらをじっと見ている。
その中には中学から親友の華澄もいた。
(どうすれば、どうすればいいんだ)
「…咲さん?」
先生から名前を呼ばれ、びっくりしてしまい
「『あぁ、すみません。』
『えぇと、』
『僕の』名前は山岸咲です。
『っ…と、』
最近は小説を書いています、
よろしくお願いします。」
勢いに任せとりあえず話した。
その後拍手が鳴った、
その拍手の意味すら分からないくらい
たどたどしい舌足らずな自己紹介だった。
(…緊張していたのがバカみたいだ。)
「…ふっ」
「…?!」
誰かが、
笑みを零した低い笑みを、
嘲笑をしやがった。
(…笑えばいいさ、阿呆みたいに)
考えながら後ろを振り向くと、
明らか柄の悪そうなヤツらが
案の定ニタニタ笑っていた。
(気持ち悪い、どうやって生きてきたんだか)
垣間見れた、
こいつらの性格が
また僕を憂鬱な気持ちへと変えた。