右に行く
左に行く←
俺は直感で左を選び歩いた
するとなんということか
明かりが見えてきたのだ
俺は人がいると思い走った
だがその淡い希望はすぐに打ち消されることとなる。
チリンッチリンッ…
鈴音が辺りを支配する。
シャランッシャランッ…
錫杖の奏でる幻想的な音が彷徨う。
カタッカタッカタッ…
下駄を鳴らすのがそこに居る。
コツコツコツ…
靴が鳴らす独特な音色がそこにある。
俺は走っていたが謎の鈴の音やしゃらしゃらとした音が聞こえてきたためこの先は危険だと思った
昔どりみーが言ってたんだ
あの世と繋がっている駅の話の中で鈴の音と錫杖の音が聞こえたら絶対に隠れろ
そうしないと……
なんだったかな…
肝心なところが思い出せないまま俺はその場に立ち尽くした
そして意を決して引き返すことにした
どりみーが言っていた隠れるというのは出来そうにない
何故なら此処は開けた平原なのだから
近くに茂みがあるわけでもなく
建造物があるわけでもない
だから俺は振り返り引き返そうとした
足を動かそうとする
……?
あれ…?体が…………動かな…い……………
チリンッチリンッ
鈴音が背後からはっきりと聞こえてくる
シャランッシャランッ
前方からしゃらしゃらと錫杖のような音が朧げに聞こえてくる
俺は聞き耳を立てた
チリリンッ……
そして鈴音は急に止まった
俺は首だけでぎこちなく振り返る
そこには鈴飾りのかんざしをつけた人が立っていた。
人と言ってはいけないかもしれない。
額から2本のツノが生えていて犬歯は鋭い、そしてセーラー服を着ている。
簡単に言うと鬼みたいな姿の華麗な女性が立って俺を不思議そうに見つめていた
? 貴方は誰?
声を出そうをした瞬間体にドクリと何かが突き刺さった
らっだぁ ぁ……
俺は上手く言葉を紡ぐことができなかった
何故ならば……彼は喉が潰れていたからだ。
俺の喉を貫通する錫杖は俺は言葉を発しようとするたびシャランッシャランッと音を奏でる
不思議と喉を潰されたはずなのに…こんなにも血が出ていると言うのに痛みは感じなかった
そして俺はだんだんと意識が朦朧としてきた
体の力が抜けその場に倒れ込む
誰かが俺のそばに寄ってきて錫杖を俺の喉から抜く
そして鬼をその錫杖で払った
錫杖を持った人は俺を見て何かを呟いている
俺は視界がだんだんと狭くなっていき音も聞こえなくなっていった
そして彼は完全に意識を失った。
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