テラーノベル
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「七瀬、2位とかすげーじゃん。めっちゃ跳びも伸びてたし。」
「ほんとにやばかったよ、お前もう鳥じゃん。」
朝礼の会、私は賞状と小さなメダルをもらい、拍手された。
2位の、銀メダル。
クラスメイト、特に男子は大袈裟に声を上げて盛り上げた。
私も悪い気などせず、ありがとうと言った。
そう、2位だ。
表彰台に上がれる順位。
メダルをもらえる順位。
褒められる順位。
そして、一番悔しい順位。
「七瀬、今日部活自主練だけど、行く?」
「うん…、行く」
そう聞いてきたのは、金メダル保持者。
隣のクラスの、川野。
前回の大会では、表彰台に私より一段高く登った。
彼女は何気なく言う言葉に、私は意地の悪い気持ちが湧く。
この前まで、私の後ろにいたのに。
私が跳んでいたのに。
あれから彼女の背中を見ると、それは鏡のように、私の陰気な弱みと愚かさが映る。
返事をした時に気づいた。
いつの間にか、私は川野と話す時、
思わず顔を逸らすようになっていた。
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