テラーノベル
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ステージ袖に到着すると、地鳴りのような「M!LK!M!LK!」というコールが聞こえてくる。
3歳の太智は、その音の大きさに一瞬ビクッとし、仁人の膝の裏にギュッとしがみついた。
「……じぃと、お外、ライオンさんいるの?」
「ううん、ライオンさんじゃなくて、みんな太智に会いたくて呼んでるんだよ」
仁人が優しく声をかけると、太智は不安そうにステージの隙間から客席を覗き込んだ。何万本ものペンライトが、彼の好きなソーダ色に揺れている。
「わぁ……キラキラ……。おりぇ、あれ、しってる!」
その瞬間、彼の瞳に「アイドル・塩﨑太智」のスイッチが入った。
3歳児なりに、自分が愛されている場所だと本能で悟った。
「よし、おまえら行くぞ! 魔法の時間は今からだ!」
勇斗の合図で、スモークが焚かれ、イントロが流れ始めた。
メンバーがステージに飛び出していく中、太智は仁人の手をパッと離しました。
「おりぇ、いってくる! ちゃんとみててね!」
トコトコと短い足で、でも堂々とセンターへ歩いていく小さな背中。
ステージの巨大モニターに、オーバーサイズのTシャツを着て、ひょこっと現れた3歳児のアップが映し出された瞬間――。
「ぎゃあああああああ!!??」
悲鳴にも似た、地を揺らすような歓声。
「何あれ!?」「太ちゃん!?」「可愛すぎて死ぬ!!」
動揺するファンをよそに、ちび太智はマイクを両手でギュッと握りしめ、
「みんなー! だいちだよー! ちっちゃくなっちゃったー!」
と、満面の笑みで手を振りました。
曲が始まると、彼はメンバーの足元ですばしっこく動き回ります。
本来の激しいダンスは無理だが、サビで「おてて、キラキラ〜!」と自分流にアレンジして踊る姿に、隣で踊る柔太朗と舜太も思わず吹き出しそうになっている。
そして、曲のキメ台詞のパート。
本来ならウィンクを飛ばして格好良く決めるはずの場面で、太智くんはステージの端までトコトコ走り、最前列のファンに向かって思い切り言いった。
「ねぇ、だいちのこと、いーこいーこして?」
……その瞬間、会場中のペンライトが激しく揺れ、もはやライブ会場は巨大な保育園と化した。
無事に1曲を終え、メンバーに抱き抱えられて戻ってきた太智。
「じぃと! だいち、じょうずだった!?」
と、鼻を高くして駆け寄ってきます。
でも、満足したのは一瞬。
仁人の腕に抱っこされた途端、緊張が解けたのか、太智は大きなあくびを一つ。
「……ねむい。おりぇ、がんばったもん……」
開演前の大騒ぎが嘘のように、彼は仁人の肩に頭を預け、数秒でスースーと寝息を立て始めた。
「おい、主役! 寝るなよ!」
「……まぁ、いいか。あんなに沸かせたんだし」
眠りについた3歳児の頬をつつきながら、メンバーたちは呆れ顔で、でも愛おしそうに笑うのだった。
【おわり】
コメント
3件
いつもだいちゃん受けの話を読ましてもらって楽しんでます‼️ もし良かったら仲良くしてください!🙇🏻♀️
かわいい😭😭 全然よしよししますよ(??)
ああぁぁあ…可愛いぃ〜… いーこいーこなんかいくらでもしてあげるよ…