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 《どう言って欲しいの?》
 ___え?どうって…どういうこと?
 想像していなかった翔馬の返事に、思わず声に出してしまいそうになった。
私は私が聞きたい答えが欲しいんじゃない。翔馬の気持ちが知りたいだけなのに。
私だけが一方的に好きだということなのだろうか?勢いとはいえ、愛してると言ったこともあるのに。
 〈私は翔馬さんの気持ちが知りたかっただけです〉
 と返す。
 《気持ち?言葉で返すだけなら、なんとでも返せるよ。この前、俺が好きになってとか愛してって言ったら、ミハルは答えてくれたでしょ?》
 ___それは…
 たしかにそんなことがあった。俺を好きになって、愛してと言われて、“好きです、愛してます”と言った気がする。
 〈私は、翔馬さんが好きです。本当です〉
 《ありがとう。で?愛してるってのは?》
 〈それも。本心です〉
 《で?》
 〈え?〉
 《どうやってその本心というやつを確かめればいいの?言葉だけなら何とでも言えるよ》
 翔馬が何を言いたいのかわからなくなった。好きだと思っているのは、私だけだということなんだろうか。何とも言いようのない不安に包まれたところで、昼休みが終わった。
 朝は美和子と由香理のおかげで楽しく仕事が捗ったのに、翔馬からのよくわからないLINEで午後からの仕事が億劫になった。
 「私、これで終わりだから、あとはお願いね!駒井っち」
 ポン!と背中を叩かれて、ドキッとした。昼休みまでの4時間勤務だという美和子は、昼休み終わりの私と入れ違いに帰っていく。
 「あ、うん、お疲れ様」
 「あれ?なんかあった?元気ないけど」
 私の顔を覗き込む美和子。
 「あ、ちょっとお腹痛くて」
 「生理痛?あんまりキツかったら、無理しないでね。ミスしたらまたえらい目にあうよ。じゃ、お先に」
 手を振って帰って行った。
 ___そうだ!仕事はきちんとしないと始末書はもうごめんだ
 ほっぺをペチペチと叩いて、気合を入れた。
 3時で仕事を終わらせて、今日は衣替えで出した冬物を取りにクリーニングに寄って帰る。帰宅して急いでご飯の準備や洗濯物を片付けて、一人の時間を作った。
 翔馬とのLINEを読み返す。
 ___本気を示せということ?
 離婚しろってこと?それはできない。不満はあるけど、そこまで思い詰めてはいない。
 ぴこん🎶
翔馬からのLINEが届いた。
 《いくら好きだと言っても、今の生活を変える気はないよね?だったら言っても言わなくても同じ。ただ俺が好きになってって言ったのは、好きだと言って欲しかったから。それが本気かどうか関係ない》
 どう返事をすればいいか考えてしまう。その間に次のコメントが届いた。
 《いくら好きでも愛していても、今の生活を変える気がないなら、それはセックスの時のエッセンスでしかない、違う?》
 翔馬が言いたいことはわかる。それでも私は。
 〈それでも私は、翔馬さんが私のことをどう思っているのか聞きたいです〉
 しばらく、返信がなかった。聞いてはいけなかったのだろうかと後悔し始めていた。
 
 ぴこん🎶
 《愛情を持って接している》
 ___よかった、ただ遊ばれてるわけではなかった
 その一言に、すがりついてしまった。