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「大2部隊、出陣せよ。」
「ねえ、聞いた?西園隊長の噂。」
「何それ?」
「西園隊長は女だって言う噂。確かに小柄だし、信憑性あるよな。」
また、あの噂…。
僕そんなに小さい?(168cm)
いやそれより…
「そう言っている余裕があるなら火器の整備をしろ。後、僕は“男”だよ。」
「…った、隊長!失礼しました。今すぐやります!」
「ニコ頼んだぞ、みんな」
「お前さんも甘いよなぁ、悠。」
「愛河。会議は?副隊長会議があったんだろう?」
「まあ…抜けてきたキラーン」
「キラーンじゃねぇよ。はよ戻れ!」
「(小声)大隊長に疑われてる。気をつけろ。」
「…そうか。誤魔化すよ。ありがとう。」
「おう!俺はお前さんの“相棒”だからな!」
「今日は皆よくやった。ありがとう。各自解散し、ゆっくり休め。以上だ。」
僕の言葉で皆解散する。
軍隊隊長たるもの、訓練だけは怠りたくない。
「いつも通りやるか?隊長?」
「手合わせ願おうか、副隊長。」
愛河は高身長(185cm) だ。
間合いも広いし、遠くまで見通せる。
本人もそれを自覚しているからか彼は大きな銃剣を使っている。
「隙がありすぎだぞ…たいっちょっ!…ってどぇ〜!」
しかし僕は小回りが効く。
だから、ナイフと拳銃を使う。そして、愛河の銃剣の下を潜って首元に銃を突きつけた。
「チェックメイトだ、愛河!」
「参りました〜!あ“〜悔しい!もう少しだったのに…」
「お前は、背が高い。だからもう少し足元を見ろ。そうすりゃ少しはマシになるだろ。」
「おっ!珍しくアドバイスしてくれた。ありがと!」
「…気まぐれだ。」
僕はあまり人と関わりたくないタイプの人間だ。
故にアドバイスや励ましを言うのは長い付き合いの愛河ですら珍しいと言うらしい。
「ねえ、悠の料理食べたい。」
「仕事増やされたいか?」
「美味しいのに…」
「…寝るか。」
就寝準備をしようと隊服を脱ぎ捨てる。
その瞬間、なにかの気配を感じた。
ー廊下だな…
ナイフを持ち、廊下の扉を開ける。
「…その胸の包帯は怪我ですか、西園隊長?」
「麻生…様…。なんですか、こんな夜遅くに。夜這いですか?」
「大隊長の側近たるもの、そんな事する訳ないじゃないですか。その胸の包帯は…」
「お察しの通り怪我ですが?古傷…いえ、抉れているので治らない傷です。気分を害されるかと…」
「そうですか。なら…」
扉の中に引きずり込まれる。
「無理矢理…明かすことになりますよ。」
「いくら側近でも、訴えたら損害賠償払っていただけますか?これ、犯罪ですよ。」
この細身の男にどんな力があるんだか。
床に押し倒され、包帯…もとい“さらし”に手をかけられている。
「“西園悠は女”。この噂、貴方も耳にしたことはあるでしょう。それを確かめてこいと龍弥様に言われましてね。こちらも仕事なので。」
「あまり、こういう手は好きじゃないんだけど‥」
僕はナイフを取り出した。
「それを取ったら貴方の首は飛びますよ。嫌なら離れて。今すぐに。」
「なぜそこまで触れられる事を拒絶するんですか?」
「人には嫌な事くらい1つや2つあるでしょう。」
なんで離れないんだ、この人。
鬱陶しいな、もういいや。
そう思い、蹴りを入れようと足に力を入れた。
瞬間…
「やはり、女でしたか…」
下半身を触られた。
「…!だから、なんですか?僕を殺しますか?」
「一つ聞きたいですね。何故、貴女は性別を偽っているんですか?」
怒りが湧いてきた。
貴様らに何が分かるのか…
「何が分かる…わからないだろ?兄を失った僕が、死に物狂いで軍隊に入った思いなんて!
僕には何も残ってないんだよ!父も、母も、兄も失ったんだ!“神宮家”が起こしたくだらない戦争
のせいで!だから、もう復讐しかないんだよ…」
叫び疲れて気絶してしまった。
何やってるんだ、起きたら、処刑台かなぁ
ごめん…兄さん…