TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「兄さん!剣術教えて」

「やっぱり教えなきゃよかったな。そうすりゃ、彼氏とか出来ただろう。」

「いいの。私がやりたくてやってるから!早く教えてよ!」

「わかった、わかった!」

私たちは、早くに親を亡くした。

だから、兄さんと二人三脚で生きてきた。

お互いに守らないといけないから兄さんに剣術を教えてもらった。今、僕が戦えてるのは兄さんのおかげかな。

そんな平和な日々が続くはずだった。なのに…

兄さんは死んだ。

くだらない戦争のせいで。許さない、彼奴だけは必ず差し違えても殺す。確実に。僕が死んだとしても。

***

「…は…ここって…」

目が覚めて見た景色は自室だった。

なんでだ。普通だったら処刑物なのに。

「起きましたか。」

「何故、殺さなかったんですか?僕が女だと大隊長に伝えれば貴方の利益になるはずですが。」

「…愛河副隊長が先程、言いにきたんですよ。“彼を処刑したらお前を殺す”と。私も命は惜しい。なので、秘密にしておくことにしました。でも、貴方の致命的な秘密を握っている。今後大きい行動はしないように。いいですね。」

「…分かりました。」

そう言うと麻生は出ていった。

愛河の言葉は口から出まかせだろ。意外と単純なのだろうか。だとしてもやばいな。これであまり大きいことができない。

どうするか…

「悠!起きたんだ。よかったぁ」

「愛河。心配かけて悪かったな。お前も、バレたら処刑だ。いいのか?隠蔽していたことになる。」

「悠は…俺のことおかしいなんて言わなかった。同性が好きでも認めてくれた。だから、俺は悠を庇ってるんだ。ありがとう。」

「…うん」

「声ちっさ!」

「うっせえ。いっとけ。」

でも、ありがとう。なんて一生言ってやんない。

***

数日後

「心配かけてすまない。もう大丈夫だ。」

「隊長は働きすぎです!もっと休んでも良かったんですよ。」

「そうですよ。俺たちの分まで請け負ってるんですよ。」

「僕は大丈夫。それより、戦況は?」

「今のところ優勢です。ただ、一般人の負傷者が多いですね。医療班が間に合ってない。」

「空襲のせいか?」

「そのようです。」

どうしたものか。医療器具も足りない。上は費用も出さないだろう。

…お、ここは…

「なあ、対華山ってもう焼かれたか?」

「いえ、そこはまだ戦地区に入ってないですが…ここがどうしたんです?」

「この山は薬草や綿花が沢山ある。だからここに仮設病院を建てろ。戦地区に入っていないなら比較的安全だしな。」

「了解です。建設班に要請します。」

「頼んだ。」

昔、兄さんと薬草を取りに行った“対華山”。

父さんと母さんが流行病にかかった時に薬草を取りに行った。

その知識がここで役立つとは…

「医療班は薬草知識ありますかね…?」

「専門書があるはずだ。軍の書庫に。」

「そこって、隊長、副隊長しか入れないですよね。」

「…わかった。取ってくる。」

「待って、俺も行く!」


「愛河、なんでついてきた?」

「嫌な予感する。君の身に何か起こりそうな予感。」

「…そ」

意外にも当たるのだ、コイツの嫌な予感は。

適当な雑談をしながら書庫に向かう。

扉の前にたった瞬間、愛河がすごい殺気を出した。

「…愛河?どうした?」

「来る…神宮が…。」

その言葉を聞いた瞬間、僕は目の前が真っ赤になった。

兄の仇、復讐

「悠、こっち。」

「は?なんで遠ざけた?今なら殺せた…」

「今じゃない。今は何も悪くない一般人のために病院立てないと。」

「…わかった…」

「不服か?すごい顔してるw」

「笑うな。こっちは真剣なのに💢」

やっぱり、此奴嫌いかも…




「あった?」

「いや、ないな。上の本棚も探したが、収穫なしだ。」

おかしい。そんなに使うような本じゃない。

まさか、神宮が借りてった?

そんな…いや、何の為に?

「俺、神宮大隊長に聞いてくるよ。君が行くと大惨事になりかね無い。」

「…わかった。頼む。」

僕は戻ろう。

「どうだ?建設班に要請したか?」

「はい。医療班もいいとの事です。」

「良かった…ありがとう。」

「専門書は…?」

「ああ、なんか無くてな。愛河が探している。僕も業務があるから。」

「そうですかって…隊長…後ろ…」

「探し物はこれか?」

「…大隊長…」

こいつが…仇…

「探し物はこれかと聞いているんだが…」

「そうです。有難う御座います。用はそれだけですか…」

隊員に不安を与えないように感情を押し殺す。

少し動いたら怒りでどうにかなってしまいそうだ。

「嗚呼、それと…」

こちらに何か投げた。

「…あ、愛河っ!何が…」

「隊員の管理はしっかりやれ。隊長のお前の責任だぞ。」

「彼が…何をしたって言うんです?」

「…」

「答えろ!大軍隊大隊長“神宮 龍弥”!」

僕はそう言って殴った。

「…た、隊長…悠!もう…いいから…」

神宮 龍弥は何も答えず去っていってしまった。


仇と愛〜男装少女の復讐〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚