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「兄さん!剣術教えて」
「やっぱり教えなきゃよかったな。そうすりゃ、彼氏とか出来ただろう。」
「いいの。私がやりたくてやってるから!早く教えてよ!」
「わかった、わかった!」
私たちは、早くに親を亡くした。
だから、兄さんと二人三脚で生きてきた。
お互いに守らないといけないから兄さんに剣術を教えてもらった。今、僕が戦えてるのは兄さんのおかげかな。
そんな平和な日々が続くはずだった。なのに…
兄さんは死んだ。
くだらない戦争のせいで。許さない、彼奴だけは必ず差し違えても殺す。確実に。僕が死んだとしても。
***
「…は…ここって…」
目が覚めて見た景色は自室だった。
なんでだ。普通だったら処刑物なのに。
「起きましたか。」
「何故、殺さなかったんですか?僕が女だと大隊長に伝えれば貴方の利益になるはずですが。」
「…愛河副隊長が先程、言いにきたんですよ。“彼を処刑したらお前を殺す”と。私も命は惜しい。なので、秘密にしておくことにしました。でも、貴方の致命的な秘密を握っている。今後大きい行動はしないように。いいですね。」
「…分かりました。」
そう言うと麻生は出ていった。
愛河の言葉は口から出まかせだろ。意外と単純なのだろうか。だとしてもやばいな。これであまり大きいことができない。
どうするか…
「悠!起きたんだ。よかったぁ」
「愛河。心配かけて悪かったな。お前も、バレたら処刑だ。いいのか?隠蔽していたことになる。」
「悠は…俺のことおかしいなんて言わなかった。同性が好きでも認めてくれた。だから、俺は悠を庇ってるんだ。ありがとう。」
「…うん」
「声ちっさ!」
「うっせえ。いっとけ。」
でも、ありがとう。なんて一生言ってやんない。
***
数日後
「心配かけてすまない。もう大丈夫だ。」
「隊長は働きすぎです!もっと休んでも良かったんですよ。」
「そうですよ。俺たちの分まで請け負ってるんですよ。」
「僕は大丈夫。それより、戦況は?」
「今のところ優勢です。ただ、一般人の負傷者が多いですね。医療班が間に合ってない。」
「空襲のせいか?」
「そのようです。」
どうしたものか。医療器具も足りない。上は費用も出さないだろう。
…お、ここは…
「なあ、対華山ってもう焼かれたか?」
「いえ、そこはまだ戦地区に入ってないですが…ここがどうしたんです?」
「この山は薬草や綿花が沢山ある。だからここに仮設病院を建てろ。戦地区に入っていないなら比較的安全だしな。」
「了解です。建設班に要請します。」
「頼んだ。」
昔、兄さんと薬草を取りに行った“対華山”。
父さんと母さんが流行病にかかった時に薬草を取りに行った。
その知識がここで役立つとは…
「医療班は薬草知識ありますかね…?」
「専門書があるはずだ。軍の書庫に。」
「そこって、隊長、副隊長しか入れないですよね。」
「…わかった。取ってくる。」
「待って、俺も行く!」
「愛河、なんでついてきた?」
「嫌な予感する。君の身に何か起こりそうな予感。」
「…そ」
意外にも当たるのだ、コイツの嫌な予感は。
適当な雑談をしながら書庫に向かう。
扉の前にたった瞬間、愛河がすごい殺気を出した。
「…愛河?どうした?」
「来る…神宮が…。」
その言葉を聞いた瞬間、僕は目の前が真っ赤になった。
兄の仇、復讐
「悠、こっち。」
「は?なんで遠ざけた?今なら殺せた…」
「今じゃない。今は何も悪くない一般人のために病院立てないと。」
「…わかった…」
「不服か?すごい顔してるw」
「笑うな。こっちは真剣なのに💢」
やっぱり、此奴嫌いかも…
「あった?」
「いや、ないな。上の本棚も探したが、収穫なしだ。」
おかしい。そんなに使うような本じゃない。
まさか、神宮が借りてった?
そんな…いや、何の為に?
「俺、神宮大隊長に聞いてくるよ。君が行くと大惨事になりかね無い。」
「…わかった。頼む。」
僕は戻ろう。
「どうだ?建設班に要請したか?」
「はい。医療班もいいとの事です。」
「良かった…ありがとう。」
「専門書は…?」
「ああ、なんか無くてな。愛河が探している。僕も業務があるから。」
「そうですかって…隊長…後ろ…」
「探し物はこれか?」
「…大隊長…」
こいつが…仇…
「探し物はこれかと聞いているんだが…」
「そうです。有難う御座います。用はそれだけですか…」
隊員に不安を与えないように感情を押し殺す。
少し動いたら怒りでどうにかなってしまいそうだ。
「嗚呼、それと…」
こちらに何か投げた。
「…あ、愛河っ!何が…」
「隊員の管理はしっかりやれ。隊長のお前の責任だぞ。」
「彼が…何をしたって言うんです?」
「…」
「答えろ!大軍隊大隊長“神宮 龍弥”!」
僕はそう言って殴った。
「…た、隊長…悠!もう…いいから…」
神宮 龍弥は何も答えず去っていってしまった。